2013年11月17日日曜日

くまの子がやって来て

くまの子がやって来て
私の顔を覗きこんだ
不思議そうな顔をしているけど
くまには「不思議」がわかるだろうか

私はそんなくまの子をみていたら
前よりすこし元気になって
元気になったら
途端に誰かと会いたくなってきて
さっさと身支度して玄関から飛び出した

冬の空気がつめたくて
なんだか清められたような気がする
電車に乗ると
私とおなじようなコが
ひとりで揺られている
いち に さんにん

「いちもくさんに走る電車だな」
電車はきっと急いでいるのだ
私は急ぎたくないのに
でも
早く降りる駅に着くことはいいことだ
たぶん

待ち合わせの場所に着くと
相手はまだ来ていなかった
くまさん
あなたのおかげで
私は外に出て
誰かと待ち合わせしている
きっともうすぐ来るだろう
笑顔で近づいてくるだろう

すると
そこに
くまの子がやって来て
私の顔を覗きこんだ
不思議そうな顔をしているけど
くまには「不思議」がわかるだろうか

2013年11月16日土曜日

冬が来る

夜空に雲がながれ
枯れ葉が舞い落ちる冬が来る
コートのポケットに手を突っ込んで
足早に駅に向かう冬が来る

あたたかい飲み物を
すすって飲んでみたくなる冬が来る
過去の思い出を1枚の絵にして
次々とめくっていきたい冬が来る

白い息を鼻と口から吐く
それが恥ずかしい冬が来る
風呂に入るとき
膚がジーンと浸みて湿ってゆく冬が来る

いじめられっこが
いつまでも視界から消えない冬が来る
いつなんのために生まれたのか
母に尋ねたことも忘れ果てた
冬が来る

2013年11月15日金曜日

あのひとが
笑ってくれたから
きょうはいい日

あの人が
怖い顔をしていたから
きょうは悪い日

あのひとが
悲しい顔をしていたら
それはどんな日?

それは・・・

それは
私が少し
期待に胸を膨らます
いい日

悲しさを癒して
嬉しい顔をしたい

私の嬉しい顔に
会いたい

そう思っているのは
私だけ?

もしそうだったら
暗い顔をして
泣いてしまう

その顔に
飛びついてきて
やさしくしてくれる人は
いま
どんな顔を誰にみせている?

その誰かは
じつは
私かも知れない

2013年11月14日木曜日

雪が舞っている

雪が舞っている
窓の外
そこも ここと おなじ
今 なのかな

きょうも
雪が舞っている
そこいらじゅう
風が 巻き上げて
舞っているんだな

未来の夜 みたいに
きょうも
雪が舞っている
それに あった
音楽をかけてみようか

私はひとりなのに
雪が舞っている
だれに 見せているのかな
誘っているのかな
寂しいダンスかな
楽しく踊り狂っているのかな

2013年11月13日水曜日

さてさて

さてさて
しめしめ
より
はてさて
めしめし

おひとよしに
いきている

2013年11月12日火曜日

私が想ったのは・・・

あさ 想ったのは
離ればなれの 友のこと
あのころの瞳のままで
好きなことをはなしてる

ひる 想ったのは
年老いた 母さんのこと
気ままにすたすたショッピング
ぼくにもなにか買ってくれ

よる 想ったのは
まだ見ぬ あかんぼう
血潮がすける やわらかいほほ
きもちよさそうにあくびした

あした 想うのは
きっと あなたのこと
たまに おなじことを思いついて
言う前に 笑ってしまったりして

2013年11月11日月曜日

きみのいのちをまもるのは

きみのいのちをまもるのは
いったいどんなものなのか
さっきたべてためだまやき
きのうまなんだりかしゃかい

きみのいのちをまもるのは
むねにだいてるそのゆめか
すてたとおもったぷらいどか
だいじにもってるおもいでか

きみのいのちをまもるのは
きみはいつからひきうけた
きみがねがってしてること?
ぼくもねがってしてること

2013年11月10日日曜日

雪の覆い

波の真似
雲のうそ
空の人ちがい
道の頼み事

川のためらい
炎の裏切り
人の憎しみ
雪の覆い

2013年11月9日土曜日

どこで 何をして

日向になった場所に
猫は移動して
いい思い出ばかりを思い出す

鳥は
過去を振り返ることなく
未来さえも見詰めずに
風を切り 風に乗り
いま 世界を見下ろしている

緑をまとったこんもりした森は
空に伸びていくと見せかけて
地中深く根を伸ばしている
夜の間も 脈々と

いったい私は
どこで
何をして 生きていったら
いいのだろう

地球は
私たちの重さをその星の命で
受け止めている

乗りかかった舟ではない
生まれるまえから
死んだ後もずっと
一緒なのだ 一体なのだ

蝉が言っていた
地面の下にいたときは
空にあこがれ
空を僅かに飛んだとき
地面の下の命に
恋をしたのだと

2013年11月8日金曜日

躯でも声でもことばでも

躯でも声でもことばでも語れない
愛した人 してきたことも
ぼんやりして
ただ佇むしかないその門の黒い柱の前

ここは壁に囲まれたすみかなの?
夢も裏切りも混ざり 湿った場所
外は闇色 悪魔が赤い舌出してうろついてる
ここにいるしかない?

青い月が道を照らして待っている
そのむこうにかがやく
露にぬれたま新しい大地
草を揺らし 靴音に励まされ
走ってゆく

未来でも過去でも時は止まっている
あの横顔 騒がしい街
去ってゆく
燃えだした塔の上を流れる川という川

白い夜がそっと閉じて
誘ってる
ずっと前から知ってた
自転車乗り捨てたその訳
握りしめた手 背中はあたたかさ
感じてる