核分裂が起こり始めたんでしょう
警報の種類が変わったわ
灰色の雲の垂れ込める海岸は
湾を挟んで対岸にある
アシスタントのミモトが
無表情にそう漏らした瞬間
私は行かなければという衝動に駆られたが
危ない状況に武者震いした
脳裏にあったのは
前回見た核爆発だった
理科の実験室で
水素を作る実験をなぜやらされたのか
今になって分かった気がしたのだった
夕刻へと向かう空模様
未来へと向かっているのか判然としない心模様
自転車で30分
ここからあの海岸までの距離だ
途中には遺跡があり
貝塚も保存されている
百代前の家族は
味噌汁の鍋をかき混ぜながら
獲れたての魚をチンしていただろうか
霞む山の上空で
仙人は見下ろしているだろうか
世間と世界の混沌が
混ざり合う様子を
2013年9月30日月曜日
2013年9月29日日曜日
古びた建物
古びた建物の喫茶店の白い壁に
ぶどうを描いた画が掛けられている
たわわに実った一房のぶどうと
青々とした葉
それに枯れかけて色づいた数枚の葉だ
建物も画も古びているが
その周りでうごめいているのは
いまを生きている人間だ
仲良しカップルは見つめあって話をしている
店員さんは段取りに忙しい
画を描いた人は
どこかで生きているのだろうか
私は画家がぶどうに向かう姿を想像する
画家が画を仕上げて行くときの気持ちを想像する
古びた建物の中で
古びていきながら
ぶどうを描いた画が掛けられている
たわわに実った一房のぶどうと
青々とした葉
それに枯れかけて色づいた数枚の葉だ
建物も画も古びているが
その周りでうごめいているのは
いまを生きている人間だ
仲良しカップルは見つめあって話をしている
店員さんは段取りに忙しい
画を描いた人は
どこかで生きているのだろうか
私は画家がぶどうに向かう姿を想像する
画家が画を仕上げて行くときの気持ちを想像する
古びた建物の中で
古びていきながら
2013年9月28日土曜日
もうゆるしてあげても
*
もうゆるしてあげても
いいのではないか
ゆるしてくれない
あのひとのこと
*
もうわすれてしまっても
いいのではないか
わすれられないものが
おいてあるあのばしょ
*
もうかえっていっても
いいのではないか
まつひともない
まちぼうけのこころ
2013年9月27日金曜日
2013年9月26日木曜日
8歩目
貯金箱のお金を出して電車に乗って
優雅に暮らすあの人に会いに行った
あの人は僕より高いお茶を飲み
当然の如くお金を払わず扉を開けて外に先に出ていった
百円玉を積み重ねて代金を払い
7歩歩いてさよならを言った
優雅に暮らすあの人に会いに行った
あの人は僕より高いお茶を飲み
当然の如くお金を払わず扉を開けて外に先に出ていった
百円玉を積み重ねて代金を払い
7歩歩いてさよならを言った
2013年9月25日水曜日
それは世間のことなんだ
それは世間のことなんだ
そこを世間というのです
海辺にできた山脈も
蒼くて高い秋空も
それを世間というのです
そこで生きてる私たち
生かされているきみとぼく
幾星霜の星月夜
かんらからから切なさと
ともに生きてる私たち
君は世間の申し子さ
世間は宇宙とねんごろさ
すすきも螢も王様も
世間の風に吹かれてく
僕も世間の申し子さ
そこを世間というのです
海辺にできた山脈も
蒼くて高い秋空も
それを世間というのです
そこで生きてる私たち
生かされているきみとぼく
幾星霜の星月夜
かんらからから切なさと
ともに生きてる私たち
君は世間の申し子さ
世間は宇宙とねんごろさ
すすきも螢も王様も
世間の風に吹かれてく
僕も世間の申し子さ
2013年9月24日火曜日
まさかのさかな
まさかさかさまのさかなのなかまはかかさまのさかなかな
かさをささないさかなかな
かさなくなくなくかさかさないさかなかな
さかにさかさにさかんにかしずくかのさかなかな
まさかさかさまのさかなのなかまはととさまのさかなかな
かさをささないさかなかな
かさなくなくなくかさかさないさかなかな
さかにさかさにさかんにかしずくかのさかなかな
2013年9月23日月曜日
聞かせてよ
お母さん 私が子どもだったころの話を
聞かせてよ
意味のないことでいいから
うれしいと思ったことばかりを
聞かせてよ
お父さん あなたがしたかったことを
聞かせてよ
不甲斐ない私を叱ってくれてもいいから
私に して欲しかったことも
聞かせてよ
初秋の街が密かにざわめいている
私たちのことを
見ない振りして
見ているから
聞かせてよ
意味のないことでいいから
うれしいと思ったことばかりを
聞かせてよ
お父さん あなたがしたかったことを
聞かせてよ
不甲斐ない私を叱ってくれてもいいから
私に して欲しかったことも
聞かせてよ
初秋の街が密かにざわめいている
私たちのことを
見ない振りして
見ているから
2013年9月22日日曜日
おいしくないメロンパン
あの
おいしくないパン屋の
おいしくないパンをたべながら
お茶を飲みたいと思い
恋人と別れてきた
その
おいしくないパン屋の
おいしくないメロンパンを食べながら
うまくいかなかったことが
思い出され
おいしくないメロンパンとともに
反芻され
癒されていくだろう
おいしくないパン屋は
客も少なく
ゆったりと座って
いつまでもいることができたから
おいしくないパン屋は
いつまでもそこにある
おいしくないパン屋の
人気メニューは
おいしくないメロンパン
あの
メロンの香りはしない
おいしくないメロンパンの
やさしさ
おいしくないパン屋の
おいしくないパンをたべながら
お茶を飲みたいと思い
恋人と別れてきた
その
おいしくないパン屋の
おいしくないメロンパンを食べながら
うまくいかなかったことが
思い出され
おいしくないメロンパンとともに
反芻され
癒されていくだろう
おいしくないパン屋は
客も少なく
ゆったりと座って
いつまでもいることができたから
おいしくないパン屋は
いつまでもそこにある
おいしくないパン屋の
人気メニューは
おいしくないメロンパン
あの
メロンの香りはしない
おいしくないメロンパンの
やさしさ
2013年9月21日土曜日
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