福島の写真家・野口勝宏さんから毎日送られてくる花の写真に、詩を付け始めて1年1か月、花と詩のコラボレーション作品集として出版されました。
詩が花に負けないように、花が提示してくる世界の広さと多様さ、ひとの心の深さと繊細さを書いてきました。出版社はIBCパブリッシング、2100円です。Amazonで買えます。
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2013年7月13日土曜日
2013年7月12日金曜日
七月十二日
どこか遠いところで
電話が鳴っている
アンパンマンに
お遣いを頼んだが
どこまで行ってしまったのだろう
いつまで待っていても 思っていても
まだ戻ってこない
日本語に裏をかかれてしまったのだろうか
疑問が尋ねてくる
何処かのドアをノックしている
電話が鳴っている
アンパンマンに
お遣いを頼んだが
どこまで行ってしまったのだろう
いつまで待っていても 思っていても
まだ戻ってこない
日本語に裏をかかれてしまったのだろうか
疑問が尋ねてくる
何処かのドアをノックしている
2013年7月11日木曜日
なすがままに
なすがままにみをまかせても
あなたのおくちはおしゃべりだから
いがいとはんげきしているね
そうこなくっちゃ
いきているんだもの
あるがままがいいのだと
あなたはやせがまんしているけれど
もうがまんなどしなくてもいい
あたらしいことが
まっているらしいから
あなたのおくちはおしゃべりだから
いがいとはんげきしているね
そうこなくっちゃ
いきているんだもの
あるがままがいいのだと
あなたはやせがまんしているけれど
もうがまんなどしなくてもいい
あたらしいことが
まっているらしいから
2013年7月10日水曜日
明けない夜
夜明けは来ない
明けない夜はない なんて
嘘っぱちだ
明けない夜は ここにある
明けない夜は
世迷い言を言って
甘い魔法の息を吐く
明けない夜は
ここにある
黒い心を抱えた人が
オメカシして行列を作っている
にやにや嗤いながら
薄い影を落として
明けない夜はない
と 思っていたのは
遠い昔
遠い昔でありながら
ついさっきのことのよう
明けない夜は
朝日から逃げ続けている
明けない夜は朝焼けを受け入れてはいけない
朝靄を浮き上がらせてはいけない
爽やかな「おはよう」を
どの口からも発せさせてはいけない
夜明けは来ない
だが
夜明けは近い
だが
朝は
来ることはない
2013年7月9日火曜日
刑事ドラマで追われるような
刑事ドラマで追われるような
人生が待っている
お決まりの路線をいつの間にか外れて
波乱の日々が訪れる
そしてまた
刑事ドラマで憐(あわれ)みをさそう
ひねくれ固まった性格が焼け焦げた匂いを湛(たた)える
誰もが除けて通ろうとしている
そしてやはり
刑事ドラマで脇役にしかなれない
分かりにくさと扱いにくさを身につけたそいつは
冷や飯を貪り喰う
明日はきょうの風が吹く
知らない街に明かりが灯る
人生が待っている
お決まりの路線をいつの間にか外れて
波乱の日々が訪れる
そしてまた
刑事ドラマで憐(あわれ)みをさそう
ひねくれ固まった性格が焼け焦げた匂いを湛(たた)える
誰もが除けて通ろうとしている
そしてやはり
刑事ドラマで脇役にしかなれない
分かりにくさと扱いにくさを身につけたそいつは
冷や飯を貪り喰う
明日はきょうの風が吹く
知らない街に明かりが灯る
2013年7月8日月曜日
ぼくのおうま
なすに
割ばし刺して
おうまさんの形
パパは帽子かぶって
ハイヨーとかけ声
おうまをはしらせ
ぼくは
手のひらをまるめて望遠鏡で
おうまさんとパパを見る
ママは天使の羽で飛んできて
ぼくとパパにチューをして
おやつですよと言いました
おうまさんにも
お水をあげてください
2013年7月7日日曜日
纏わりつくもの
耳鳴りとともに聞こえてくる声にまで
汗が纏わりつくのは
死んでいった人たちの思いが
なにかのきっかけで漏れだしているからだ
目抜き通りの商店街を
熱風が押し合いながら牛歩戦術で行進している
その混雑の中を
私たちも歩いている
脳の中の一部の領域を
人の命のことが占領していて
きょうはだれもが
それを膨張させているのは
死んでいった人たちの思いが
なにかのきっかけで漏れだしているからだ
入院している人
入院していた人
死んでいった人
自分が誰か分からないまま
でも自分として死んでいった人
入院もせずに死んでいった人
自ら死んでいった人
敵に向かって進み死んでいった人
死んでいった人の数々
死んでいった知人の思い出
商店街を抜け信号待ちのわずかなスペースに
強い日差しが照りつけ
何かが横切っていく
フイと身をかわそうとしても
なにかが纏わり付いていて
かわせない
死んでいった人たちの思いが
なにかのきっかけで漏れだしているからだ
2013年7月6日土曜日
なになにがある
なになにがある
振り返れば そこに
なになにがある
いま 振り返れば そこに
なになにがある
いま すぐに 振り返れば そこに
なになにがある
いま すぐに 振り返れば そこに 愛しい
なになにがある
いま すぐに ためらわずに 振り返れば
そこに 愛しい
なになにがある
いま すぐに ためらわずに 夕日の差すほうを 振り返れば
そこに 愛しい
なになにがある
いま すぐに ためらわずに 夕日の差すほうを 振り返れば
そこに 愛しい 前にもまして 美しい
なになにがある
いま すぐに ためらわずに 夕日の差すほうを 振り返れば
そこに 逆光に縁取られた 愛しい 前にもまして 美しい
なになにがある
いま すぐに ためらわずに 夕日の差すほうを 振り返れば
そこに 逆光に縁取られた 愛しい 前にもまして 美しい
当り前のようにいつも存在していた
なになにがある
いま すぐに ためらわずに 夕日の差すほうを 振り返れば
いや 振り返らなくとも
そこには 逆光に縁取られた 愛しい 前にもまして 美しい
当り前のようにいつも存在していた
なになにがある
いま すぐに ためらわずに 夕日の差すほうを 振り返れば
いや 振り返らなくとも
そこには 逆光に縁取られた 愛しい 前にもまして 美しい
当り前のようにいつも存在していた
私から離れてゆこうとしている
なになにがある
2013年7月5日金曜日
忘れたくないけど
忘れたいけど
忘れたくない
忘れようとすると
あのときの声がきこえてくる
あのときの姿が鮮明に映し出される
忘れるのをあきらめると
まだそれでは足りないのだと
囁きかけてくる
忘れるのをあきらめることさえ忘れて
今度は積極的に思い出し 考え 感情を奮わす
そして
もう一度アプローチを始める
すると
やはり
そのアプローチを見事に躱(かわ)して
私を絶望の谷に突き落とし
満足げに笑っている
いつまでたっても
何回繰り返しても
振り出しに戻る
それを知っていて
また
忘れようとする
忘れたくないけど
忘れたいひと
2013年7月4日木曜日
僕は死んでも
塀から飛び降りて
すぐに駆け出した
自分が受けた衝撃を誤摩化そうとして
まだ日暮れではないのに
コウモリが低い空を旋回して
牽制してくる
いや もしかしたら僕と遊びたいのかも知れない
でもそんなことは
気にしてはいられない
僕にはやることが山ほどある
宿題のことではない
理由もなくやりたいことが
それをやっていれば
僕は幸せだ
それをやっていれば
僕は死んでも気づかない
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