耳鳴りとともに聞こえてくる声にまで
汗が纏わりつくのは
死んでいった人たちの思いが
なにかのきっかけで漏れだしているからだ
目抜き通りの商店街を
熱風が押し合いながら牛歩戦術で行進している
その混雑の中を
私たちも歩いている
脳の中の一部の領域を
人の命のことが占領していて
きょうはだれもが
それを膨張させているのは
死んでいった人たちの思いが
なにかのきっかけで漏れだしているからだ
入院している人
入院していた人
死んでいった人
自分が誰か分からないまま
でも自分として死んでいった人
入院もせずに死んでいった人
自ら死んでいった人
敵に向かって進み死んでいった人
死んでいった人の数々
死んでいった知人の思い出
商店街を抜け信号待ちのわずかなスペースに
強い日差しが照りつけ
何かが横切っていく
フイと身をかわそうとしても
なにかが纏わり付いていて
かわせない
死んでいった人たちの思いが
なにかのきっかけで漏れだしているからだ
死んでいった人の思いを掬い上げようとしてるのですか？
返信削除生きるということと死ぬということは背中合わせ。
それがあなたにまとわりついているのですね。
だけど死んだ人の思いははかり知ることはもうできない。
身をかわそうとしてもかわせずまとわりつき、漏れだしたのはむきだしのあなたの心なのかも。