野菜を作っている友達はやや黒い
詩を書いている私は
やや白い
友達はやや痩せていて
私はやや太っている
太陽は友達を毎日長い時間照らし
エアコンの風は私に毎日長い時間吹く
友達と私はだいぶ違う
私は友達とだいぶ違う
私が考えている時
友達は夢を見ている
目薬をさしてあげよう
愛する人よ
水晶を抱えたコーヒー色の瞳が好きだ
綺麗な円を描き
外側に広がっていき
やがてぼんやり白昼のもとに消えていく瞳
境界線からは陽炎が立ち上っている
瞼を閉じた瞳も好きだ
睫毛とともに動きやがて震えながら静止する
瞼
瞳を包んだ瞼は
こんもりと丘を作り
光沢のある黒曜石やガラスの粉が
表面で光っている
嬰児を孕み
予感の胎動を
扱いきれずに
放出している
睫毛は筆とは違う
瞼と瞳の間に
決まりごとを作っている
私は
そのあたりを含め
すべてが好きだ
大好きだ
たとえば
すべり台の途中で
世界がわたしの前から突然溶けて
なくなって
独りだけすべり台の途中の位置に
取り残されてしまったら
一緒にいたあなたは消え去った世界で
何を頼りに生きていけばいいのだろう
あなたのことがいつも心配だ
私のことを忘れてしまう
あなたは私のことを
忘れているのではないか
とある午後
私はあなたに鍵をかけて
その鍵を飲み込んだ
あなたの中に誰も出入りできず
あなたがさらわれても
誰も気づかぬように
ただ私だけが
それを目撃していた
木の子どもは
父母(ちちはは)に抱(いだ)かれて空に顔を出す
笑顔の表面は
つややか
風も
やってきた小さな虫も
滑ってしまう
木の子どもは
父母に抱かれてオトナになる
清々しく薫る
花を咲かせる
誰も
その花に
見惚(みと)れないものはいない
木の子どもは
もう子どもではなくなった
だが笑顔は
あの日のまま
(李先生に)
信じてよ 私を
信じないでよ 私を
私に言われて変えないでよ あなた
私に言われて変えてよ あなた
あなたに抱かれたいの 私
あなたに抱かれたくないの 私
立ち入ってこないでよ あなた
立ち入ってよ あなた
しらけた顔で見物しないでよ 私たち
しらけた顔で見物してよ 私たち
雨が激しく降ってきたじゃないか 心の中
雨が激しく降ってきてないじゃないか 心の中
すべては私を飲み込まないの 死ぬまで
すべては私を飲み込むの 死ぬまで
あなたは私を無視するの 昨日から
あなたは私を無視しないの 昨日から
うえから ものをいうひと
したを みている
うえから ものをいわれるひと
うえを みている
うえから ものをいうひと
したしか みない
うえから ものをいわれるひと
ひろいうちゅうが ひろがっている
やきなす
やきな
や
きなこ
きな
こまったな
こまつな
こま
つた
な
まわり
ひまわり
まり
ひま
ま
まり
なつのよ
つのよ
な
よの
よ
りくつづき
りくつずき
くつ
つづき
くすりづけ
すりつけ
つけ
け
けつろん
けつろ
ろん
んろ
ん
崖は斜めに切り立っている
あなたの髪の生え際もまた
斜めに切り立っている
鳥は
どちらを目掛けて
降下したらいいのかわからない
という悲劇
と喜劇
集中して聴いているのに
いくら聴いても分からない授業がある
簡単な足し算や
ちよっとした婉曲話法
誰もが知ってる当たり前の法則が
一箇所にまとまって何かを相談しているだけだ
いわば
私には関係ない事か
または
もともと私を欺こうと企てられた事なのか
水飲み場で
いじめる相手を待っているのは
いじめっこなのだろうか
関係ない人なのだろうか
休み時間のチャイムは
教室の大きな時計と
少しずれているが
それは
放っておいて大丈夫なのだろうか
音楽室から
ピアノの音と
歌う声に混じって
うめき声が聞こえてる
おお
ミステリー
僕らはますます集中力を空中で弄んで
巻きつけて
手首の血管を止めようとしている
何か不都合があれば
日直に言ってくださいと
きょうの日直が言っている
その日直がまずい
明日の日直のほうが
きょうの日直より
まっすぐに立っているから