何も持っていない
大きな空っぽが持ちきれなくて
何も感じない
体の範囲が広くなりすぎて
なにもしない
自然に動いてゆくから
期待はなくもないがありもしない
私は私であるがあなたとの境目はない
私は絶望しない
何かが溢れているから
いつも
変わっていっているから
あなたは
私のことが見えないだろう
それゆえ気に留めないだろう
そのとき
私はあなたの中にいて
あなたと共に呼吸しているから
2012年4月10日火曜日
2012年4月9日月曜日
古ぼけた色彩の
僕は後ろを向いて謝りたいんだ
謝ることを許してもらえますか
あなたは先に行ってしまっているかもしれない
そこは もう もぬけの殻になっていて
ただ古ぼけた色彩の景色が占領しているだけかもしれない
だけど
たった今まで漕がれていたブランコが
まだ止まれずにうごいているのはなぜだろう
誰かが名残り惜しんで
思い出しているのだろうか
僕は後ろを向いて謝りたいんだ
謝ることを許してもらえますか
僕は繰り返し誰かに尋ねている
帰ることはしないで
この場所から
謝ることを許してもらえますか
あなたは先に行ってしまっているかもしれない
そこは もう もぬけの殻になっていて
ただ古ぼけた色彩の景色が占領しているだけかもしれない
だけど
たった今まで漕がれていたブランコが
まだ止まれずにうごいているのはなぜだろう
誰かが名残り惜しんで
思い出しているのだろうか
僕は後ろを向いて謝りたいんだ
謝ることを許してもらえますか
僕は繰り返し誰かに尋ねている
帰ることはしないで
この場所から
舗装された路を森が侵食してきて( し返してきて)、晴れているのに路面は湿っぽい。
左右は崖。木の向こうや道の彼方に青い海が時々見える。水の流れる音が重なってざわざわといっている。
人も通るが風や日差しや動物も通る。
灯台に行く路は舗装されていないが、自動車や自転車が日に数十台は行き来する。
路はその上を人に利用させ、車のタイヤに踏まれることが最も負担となっている。路は表面が破れれば、もとの森の一面を覗かせようとする。
いつかこの路を(または森と路とを)、よろめきながらも逞しく歩いて行く男の姿を見たことがある。服は破れて露出した膚は土にまみれて日に焼けて黒く、汗が滴っていた。彼は生命力にあふれていたが、まもなく力尽きてしまうのだろうか。気迫だけが彼を前進させているようだったが、行く手には広大な森があるばかり。人の住んでいる場所は逆方向にある。
左右は崖。木の向こうや道の彼方に青い海が時々見える。水の流れる音が重なってざわざわといっている。
人も通るが風や日差しや動物も通る。
灯台に行く路は舗装されていないが、自動車や自転車が日に数十台は行き来する。
路はその上を人に利用させ、車のタイヤに踏まれることが最も負担となっている。路は表面が破れれば、もとの森の一面を覗かせようとする。
いつかこの路を(または森と路とを)、よろめきながらも逞しく歩いて行く男の姿を見たことがある。服は破れて露出した膚は土にまみれて日に焼けて黒く、汗が滴っていた。彼は生命力にあふれていたが、まもなく力尽きてしまうのだろうか。気迫だけが彼を前進させているようだったが、行く手には広大な森があるばかり。人の住んでいる場所は逆方向にある。
2012年4月8日日曜日
藁ぶき屋根の家の窓枠
藁ぶき屋根の家の窓枠は
焼きをいれたブナの木
はめ込まれた硝子は
透明度が低く
月の光を乱反射して
室内に
光の溜まり場をつる
昼と夜とはどちらが静かなのだろう
ここにいると分からなくなる
道は
滅多に車を通さないし
人が行き交うことさえ珍しい
音を発するものは
どんなものなのだろう
涙を流すとは
どんなことなのだろう
質問する相手もいなくて
焼きをいれたブナの木
はめ込まれた硝子は
透明度が低く
月の光を乱反射して
室内に
光の溜まり場をつる
昼と夜とはどちらが静かなのだろう
ここにいると分からなくなる
道は
滅多に車を通さないし
人が行き交うことさえ珍しい
音を発するものは
どんなものなのだろう
涙を流すとは
どんなことなのだろう
質問する相手もいなくて
2012年4月7日土曜日
見送り
見送り
お見送りをしているね
何を見送っているんだい?
その人ではなく
自分にさよならしたんだね
さよなら
さよならしないほうが良かったと
思っているんだね
その気持ちとは
いつさよならするの?
しつこい
しつこい人は嫌われる
と
思っているんだね
いつまで思っていたら
気がすむの?
-意地悪な詩 シリーズ
お見送りをしているね
何を見送っているんだい?
その人ではなく
自分にさよならしたんだね
さよなら
さよならしないほうが良かったと
思っているんだね
その気持ちとは
いつさよならするの?
しつこい
しつこい人は嫌われる
と
思っているんだね
いつまで思っていたら
気がすむの?
-意地悪な詩 シリーズ
2012年4月6日金曜日
ささいな話
あなたを褒めたくて電話したのに
悪口を言ってしまった
会いたかったのに
電話だけでこと足りてしまった
いつも大好きだったのに
嫌いになってしまった
次に電話するとき
なにがどうなってしまうのだろう
そのことを別の人に相談したら
好きになってしまった
悪口を言ってしまった
会いたかったのに
電話だけでこと足りてしまった
いつも大好きだったのに
嫌いになってしまった
次に電話するとき
なにがどうなってしまうのだろう
そのことを別の人に相談したら
好きになってしまった
2012年4月5日木曜日
muddler
あなたの名前を知ってから
私はあなたを縛ることに夢中だ
誰かが誤って
持ち去らぬよう
呪(まじな)いをかけて
繋ぎとめる
鎖は結ばれていないが
あなたを見つけ出すその目印は
なんということか私を拒絶する
いつの日か
あなたの下肢に食い込みしがみついた
貞操帯の血筋か
気遣いなく
カチャカチャと音を立て
淀んだ心にマドラーを弄ぶ
私はあなたを縛ることに夢中だ
誰かが誤って
持ち去らぬよう
呪(まじな)いをかけて
繋ぎとめる
鎖は結ばれていないが
あなたを見つけ出すその目印は
なんということか私を拒絶する
いつの日か
あなたの下肢に食い込みしがみついた
貞操帯の血筋か
気遣いなく
カチャカチャと音を立て
淀んだ心にマドラーを弄ぶ
2012年4月4日水曜日
それは帰り道だった
笑いながら夜道を歩いていたんだ
それは帰り道だった
いや 行き道だったかもしれないが
月がやけに明るく照らしていて
濃いブルーの影を作っていた
沼のほとりの柳の木の横を通った時
花の開く音がしたかと思ったら
少し遅れて香りがやってきた
鈴の音も聞こえてきた
前方からは
ハイヒールを履いた背の高い女性が
銀色のブラウスを光らせて
胸をゆさゆさ揺らしながら
足早に突進してきた
私の傍を通りすぎる時
女は泣いているのだと私は気づいた
すると私の眼からも
大粒の涙がポロポロとこぼれて道に落ちた
大事な宝物を
すべて捨ててしまったような気分に襲われたから
私は
笑いながら夜道を歩いていたんだ
それは帰り道だった
いや 行き道だったかもしれないが
それは帰り道だった
いや 行き道だったかもしれないが
月がやけに明るく照らしていて
濃いブルーの影を作っていた
沼のほとりの柳の木の横を通った時
花の開く音がしたかと思ったら
少し遅れて香りがやってきた
鈴の音も聞こえてきた
前方からは
ハイヒールを履いた背の高い女性が
銀色のブラウスを光らせて
胸をゆさゆさ揺らしながら
足早に突進してきた
私の傍を通りすぎる時
女は泣いているのだと私は気づいた
すると私の眼からも
大粒の涙がポロポロとこぼれて道に落ちた
大事な宝物を
すべて捨ててしまったような気分に襲われたから
私は
笑いながら夜道を歩いていたんだ
それは帰り道だった
いや 行き道だったかもしれないが
2012年4月3日火曜日
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