2012年3月26日月曜日

知り合ったばかりなのに

知り合ったばかりなのに
ことばも少ししか通じないのに
小さな竹の林の前で立ち止まると
2人は2つのモバイルフォンのカメラで
黙って写真を撮っていた

それまでに何をしてきたのか
これから何をしようとしているのか
竹の林は影に映していたのだろうか

知り合って
すぐにさよならしたけれど
竹の林は
いつまでもそこにただ立って
気まぐれに時のあやとりをしている

2012年3月25日日曜日

簡単な質問に

それを持ったままでいいですか
そのまま
持っていくのですか

春風が強く吹く
海岸からあなたの部屋につづく道を歩けば
日差しには
もう汗ばんでしまいそう

靴も
夏のものに履き替えたくなってきて・・・

まだ
持っているのですか

その
簡単な質問に
なぜか
正面から
答えることが
できなくて・・・

2012年3月24日土曜日

まわり唄

葱もって踊れよ
草喰って唄え
水飲んで眠れよ
紐巻いて結べ

煙たてて怒れや
すかしてかわせ
飲み込んで忘れろ
繰り返して遊べ

2012年3月23日金曜日

博物誌的なりんりんの考察

りんりんは
やさしい眼をしている
その眼は
世間にある美しいものを見つめる

それは例えば
博物館に展示された青磁
つややかな
白い肌の陶磁器
古代の人の装飾品や埋葬品
ー新しいのものより光を通しにくい筈なのに、なぜ、こんなに美しく清楚なのだろうー

彼女は夜
パソコンでアニメを観る
映画やドラマを観る
隣の国の音楽を聴く
その歌詞には
いつか学んだ
まだ知らない言葉が散りばめられていて
貝殻のようにそれを選んでは
拾い集めた

生まれ育った街からこの街にやって来て
博物館を開館する仕事に関わった
それは
何に喩えることができるだろう

かんがえると
答えが見つかる前に
いつも眠ってしまう

美しいお棺に入って
星の巡る気配を天井に感じながら

2012年3月22日木曜日

彼は待っている

こんもりした木立の周りの道を
ぐるりと回って行けば
きっと彼がいる

いつか
焚き火の煙が登っていくのを
見たことがある

静まり返った夜に
眠れずに
胸のときめきを抱えていた時
木立の向こうから
彼の声が聞こえてきたこともある

こんもりした木立の周りの道を
ぐるりと回って行けば
きっと彼がいる
彼はひとりで
あなたが到着するのを待っている

あたりまえのような
顔をして

デパートの真ん中にスケートリンク!

北京のカフェでゆったりライチティー

2012年3月21日水曜日

不公平な世の中が

不公平な世の中が
手招きしている

迷っているね
不公平なことが
いっぱいあったと
思い出しているのかな

ほら
そうしている間に
また一人になってしまった

そのほうが
よかったんだね

蓋に蓋して

地面に蓋をして作ってある
地下鉄に乗って
あなたはさらに
蓋をしようとしているね

蓋はいくつあったら
足りるのかな

2012年3月20日火曜日

むこうのせかいに

するするっと
ぬけていこうよ
すきまをね
ちかみちをね

くるくるって
まいてしまおう
イヤホンのコードと
はしるのにじゃまなしっぽ

くりくりって
くりぬいちゃえば
ビーだまおさめるく ぼみ
むこうのせかいをみるためのあな