あなたから逃れようとしているけれど
あなたのことが
嫌いなわけではない
寒さを振り切るように
バス停からの道を勢いよく歩いて
帰ってきたけれど
あなたはまだ外のどこかに立っている
私のことを
待っているわけではないけれど
こたつに足を投げ入れてみたり
お風呂のお湯をかき寄せてみたり
パジャマのボタンを全部留めたりしているけれど
私の体が求めているのは
暖かさではない
寒さは
あれから黙ったまま
外に立っている
いや
立っているだけではなく
思い出の場所や
知らない場所を歩き回っている
歩き回っては
誰かの襟からその手を
暖かい背中や胸へ進入させている
私は考えたくても考えられない
正しい行いと誤ちが
天秤の上で釣り合って
どちらがどちらでもよくなってしまう
その天秤さえ
天秤の上に乗っている
行ったり来たりしていて
最初にどっちにいたのか分からなくなった
カウントダウンしているのか
それとも
経過時間を計っているのか
それとも
それは同じ意味なのか
ミカンを剥きながら
柿の種を食べる
あなたのことを思いながら
私の未来予想を繰り返しながら
寒さは私の味方?
やはり
あなたから逃れようとしているけれど
あなたのことが
気になっているけれど
好きなわけではない
−−−愛しているといえなくなった日