2011年12月15日木曜日

あなたのことが

寒さは私の味方?
あなたから逃れようとしているけれど
あなたのことが
嫌いなわけではない

寒さを振り切るように
バス停からの道を勢いよく歩いて
帰ってきたけれど
あなたはまだ外のどこかに立っている

私のことを
待っているわけではないけれど

こたつに足を投げ入れてみたり
お風呂のお湯をかき寄せてみたり
パジャマのボタンを全部留めたりしているけれど
私の体が求めているのは
暖かさではない

寒さは
あれから黙ったまま
外に立っている
いや
立っているだけではなく
思い出の場所や
知らない場所を歩き回っている
歩き回っては
誰かの襟からその手を
暖かい背中や胸へ進入させている

私は考えたくても考えられない
正しい行いと誤ちが
天秤の上で釣り合って
どちらがどちらでもよくなってしまう
その天秤さえ
天秤の上に乗っている

行ったり来たりしていて
最初にどっちにいたのか分からなくなった

カウントダウンしているのか
それとも
経過時間を計っているのか
それとも
それは同じ意味なのか

ミカンを剥きながら
柿の種を食べる

あなたのことを思いながら
私の未来予想を繰り返しながら

寒さは私の味方?
やはり
あなたから逃れようとしているけれど
あなたのことが
気になっているけれど
好きなわけではない

    −−−愛しているといえなくなった日

大きなツリーが飾られた北京の新宿

2011年12月14日水曜日

なぜコーヒーフロートのアイスがストロベリーなの?

なんとなくいい感じ

北京の模型を歩く

あなたの客人

あなたは
自分で生きようとしている
私も同じだ

世界もまた
あなたや私を
生かそうとしている

そのような
誰も語ろうとしなくなってしまった
古びた合意が
夜の町にあふれて
ひっそりと佇んでいる

あなたは時どき
その傍らに立って
手招きをする

そこに
引き寄せられるのは
見慣れた普段着の言葉たちだ
これから
詩に仕立てられるのだ

クリスマスが近づいているのに
あなたはいつもと同じ様子だ
むしろ
次の季節の中に入っていこうとしている

あなたは
あなたが作った
クリスマスのことを
思い出す

ワインが招いた
酔いが静かに
迎えにくきている

ちょっと待って!

あなたは
外に向い
声をあげて告げた

あなたの
玄関で待っていたのは
月が落とした影

それは美しい
客人だった

ーーー
谷川俊太郎さんの誕生日に

2011年12月13日火曜日

幸せの顔

幸せになれないよ

あなたは
幸せになれない

なっても
すぐに
不幸になるよ

それに
幸せになっても
気づかないよ きっと

あなたは
幸せの顔を
知らないし
欲深いから

不満をたくさん持っていると
幸せの手を握れない

あなたは
欲望をかかえて
何処までいくの?

心配している人も
そのままにして
息を切らして
なぜそんなに急いで
その山を登るの?

ちょっとくつろぎすぎ?

2011年12月12日月曜日

北京の書店で

12/9 谷川俊太郎さんと田原さんのトークショーのお手伝い。質問者の間をマイクを持って行ったり来たり。楽しかった

未来の日

木の上の方が
明るい緑の葉を風に翻らせて
辺りを見回している
鳥は
木の代弁者として
飛び回っている

あなたは未来の日に
あのときどうしたらよかったのだろう

考えて
いくつもの答えのパズルを繰り返している

未来のことを考えているのに
過去の自分を省みている姿をイメージしてしまうのは
やめられないのだろうか

つよい後悔が足下を覆い
道は見えなくなっているのか

月のない田舎の闇夜より暗い
都会にいるあなたの心の闇

私が掬い出せるのなら
手伝ってあげたい

だが
未来のあなたは
今の私だから
それも無理なことなのだろうか
分からないまま
鳥は
巣に帰って行った