2011年11月24日木曜日

静かな夜に


静かな夜に


してはならないこと


 


静かな夜に


してみたいこと


 


してはならない恋を


してはならない人と


 


してはならないように


してみたいなと


2011年11月23日水曜日

見ている


誰かが見ている


誰だか


分からないけど


ずっと見ている


 


なぜ見ているのかは


分からないけど


 


見ているあなたに


気づいてから


わたしは


あなたを見ている


 


あなたは


やっぱり誰かを見ている


2011年11月22日火曜日

中国の自転車

僕の中国の自転車は
ないんだ
僕の日本の
自転車はいま
日本に在るんだ
日本の自転車は
日本から乗ってこられなかったんだ
だから
日本の僕の
自転車は今ないんだ
中国の自転車はないんだ
日本に在るのは
乗ってこられなかった僕の
日本の自転車なんだ

自転車が歩く僕を
追い越していくけど
僕の
自転車ではないんだ
僕は道を歩いている
それは部屋に僕は帰りたいからだけど
知らないうちに遠回りをしてしまうんだ
自転車をさっきから僕は
思い出して
中国にないから
海を渡って乗ってくるのを想像して
僕はいるんだ
僕の自転車は
中国にはないから
日本に在る自転車は
日本においてきた
つかわれていない僕の
自転車なんだ

2011年11月21日月曜日

社長入門 -1-

どこの世界にも
例外はつき物だが
ここではそれを無視して
語り始めよう

社長は職業ではなく
性格である
だから目標でもなければ
結果でもない

社長の性格を持っているものが
社長になるだけだ

社長は一つの生き方だという人がいる
だが
一つの生き方として社長があるのであって
(社長でない者が)
いろいろな生き方の中から選択して
社長になるのではない

社長はハナから社長であり
社長以外の何者でもない
いってみれば
社長は純粋な生き物なのだ
社長は社長であることから逃れることができない
また社長でないものは
社長が形成する世界(宇宙もしくは小宇宙といつてもいい)の中心に
位置することは最後までできない
かなしいかな
そこに感情や夢や希望を差し挟む余地はない

さて
ここでは
世界に数多いる社長の中から
一人の社長を選択し
その社長に関してさまざまな事象を
検討してみたい
その社長は
社長族(ここでは、以下そう呼ぶことにする)の
中心に位置するわけではない
もっとも
すべての社長は多かれ少なかれ
多次元世界を形成しているので
その中心は求めることはできないが
文明社会(ことに自由主義経済社会)における
社長研究の初心者 乃至 一般市民にとっての
平準的な社長像を中心とするならば
異端 若しくは異境に在る ということができる
統計学を用いてさまざまな指標に照らしても
その主だったマークポイントはその事象を示している

なぜ
平準的な社長を取り上げないか については
追って示す(暗示も含む)こととするが
社長Σ(ここで取り上げる社長をそう呼ぶことにする)について
考察を進めていくと
そこに世界のあらゆる社長の謎を解く鍵ともいうべき
ある普遍的な事実に行き当たることに気づくだろう
すなわち
社長は職業ではなく性格であるという命題
そしてまたその周辺に
この命題を支えるべく
いくつかの柱が存在するということに

私感を述べれば
これは実に驚くべき風景である
今まで常識として扱われてきたものは
たちまち風化してしまうだろう

さあ
社長Σへの扉は開かれた
あなたは入る勇気が在るだろうか
社長族の世界に

私がご案内するとしよう
最後までお付き合いを願いたい
社長であるあなたも
社長でないあなたも

私は何を

寒い風が吹いてきた
水溜りは凍って
何もかもをあきらめている
 
寒い風が吹いてきた
私は黙って
月明かりの下 歩いていく
 
寒い風が吹いてきた
風を追いかけて
連れ立って落ち葉が行く
 
寒い風が吹いてきた
私は追いかける
耳元で誘惑する声はないけれど

 

2011年11月19日土曜日

バスが来るまで

バスが来るまで
話をしよう
バスがきたら
お別れ

走り出すバスを見送るのは
つらいことだ
もう二度と
約束して会うことはないから

つめたい蛍光灯の光に照らされた顔は
お化けのように青白い

いつか見た
ムンクの絵のようだ

そういえば
今日の月は欠けていて
青白い光を降らしている

涙を搔き出すにも
頼りない

何も話さないうちに
バスはやってきた

気がつくと
バスはもう何処かの駅に到着している

2011年11月18日金曜日

くすぐったいから


ありがとう

へんなことばだ

 

有難き幸せ

などと

お侍さんは言ったのだろう

 

ありが

十匹

いるのを想像した人は

実はほとんどいないだろうが

ありがとう

と言うとき

背中にありが這い回って

ちょっとくすぐったい

 

ほんとはとても

くすぐったい

 

これは

本当の話

 

ありがとうは

くすぐったいから

ありがたい

 

ありがたいのは

二人の間の
 
独特の間
 
 

2011年11月17日木曜日

覚悟


わたしに入門するには


覚悟が必要だ


そもそも


その覚悟を


何処かに置いてきてしまっているらしい


母親のおなかの中か


それとも


泣きながら通い始めた


幼稚園の道具入れの中か


家のそばの原っぱか


もう


烏に運ばれて


何処かに捨てられてしまったかも知れない


 


私は


わたしに入門するための


心の準備をする前に


梯子をはずされたままなのだ


 


何かがたりない


それは


ただの言い訳だろうか


 


わたしへの道は険しい


わたしの門はまだ見えてこない


夜も白々と明けてきた


窓を開ければ


霧のにおいが漂っている


 

私は


門を叩かなければならない


門を見つけて


覚悟を決めて


きょうこそ臨まなければならない


 


だか


まだそこにいたる道筋さえ


はっきりしていないのだ


2011年11月16日水曜日

わたし入門


わたしは


わたしに


入門したい


 


わたしとは


何なのか


わたしは


何のためにあるのか


いい わたしをみつけるには


どうしたらいいのか


わたしには


どのくらいのお金と時間がかかるのか


わたしを


上手く使いこなすにはどうしたらいいのか


 


人の役に立つ


わたしを作るには


どんな方法があるか


わたしを所持するために


届出や手続きをどこでやったらいいか


 


わたしは


早く


わたしに入門し


初級をクリアしなければならない


そして


はやく仕事に結び付けなければならない


もうすぐ誕生日が来る


 


それまでには


わたしは私の初級を取得し


中級の勉強を始めたい


もう何年も愚図愚図している


 


だれか


手伝ってくれる人はいないか


いい参考書を


教えてくれないか


 


夕闇の部屋で


わたしは考えながら鏡に向かっている


全身を映すことはできない


向きかえって


パソコンの電源を入れる


在り来たりな模様と文字が


浮かびあがる


 


私はわたしを検索してみよう


いくつかの情報が示されるはずだ


さあ


いまから勉強を始めよう


 


明日には


明日がやってくる日が


ある限り


いや


なにはなくとも


この私が望む限り


2011年11月15日火曜日

あなたは会ってくれますか

この森の葉っぱの数を全部数えたら
あなたは会ってくれますか
この海の水を全部飲み干したら
あなたは会ってくれますか
この宇宙にあるすべての星の灯りを消したら
あなたは会ってくれますか
それとも
私が消え去ったら
会ってくれますか