あなたの影があなたを見上げている
あなたはその影を
見下ろしたことしかない
わたしはあなたを
自分の目のある高さから見ている
忙しそうなあなた
ゆったりしているときも
自分のことを忘れている
影は
あなたを見ている
あなたのことを
よく知っているのに
何も語らない
わたしは
あなたのことを
あなたに語る
あなたは
何を考えているのだろう
その答えは
あなたの中にはないのだ
2011年5月1日日曜日
2011年4月30日土曜日
ライムの香り
寝ているあいだに
あなたのからだに
何度も波がやってきて
連れ去ろうとしたので
目覚めたとき
あなたは疲れきっていた
こんなこと一度や二度ではないだろう
リビングのテーブルについたあなたは
無理やり笑ってくれたけど
ぼくはどうしたらいいのか
わからなかった
昼になって
あなたの手は
火に鍋をかけて
カボチャを煮
イワシを割いて小麦粉をまぶし
料理を作り始めた
大きなワイングラスに
金色の液体を注ぎ
ライムを絞って
さし出した
その一連の動きが
あらかじめ
決められていた
何かの美しい物語のように
僕の目の前にあった
ライムの香り
あなたの手から香ってきた
氷の上で
絞られたライムが見つめていた
あなたのからだに
何度も波がやってきて
連れ去ろうとしたので
目覚めたとき
あなたは疲れきっていた
こんなこと一度や二度ではないだろう
リビングのテーブルについたあなたは
無理やり笑ってくれたけど
ぼくはどうしたらいいのか
わからなかった
昼になって
あなたの手は
火に鍋をかけて
カボチャを煮
イワシを割いて小麦粉をまぶし
料理を作り始めた
大きなワイングラスに
金色の液体を注ぎ
ライムを絞って
さし出した
その一連の動きが
あらかじめ
決められていた
何かの美しい物語のように
僕の目の前にあった
ライムの香り
あなたの手から香ってきた
氷の上で
絞られたライムが見つめていた
2011年4月29日金曜日
竈(かまど)の火
不幸の手紙を自分に出した
なぜか節目に送られてくる手紙
その手紙をそのまま書き写し
自分に出すのだ
私に届いた私が書いた不幸の手紙は
あなたの幸せの役に立つだろう
不幸の手紙はあなたの幸せのために考えられたものだから
私はあなたが幸せになるのを見届けて
どこかに去っていく
居なくなった私は
もう不幸の手紙を書くことはない
ただ残された多くの出せなかった手紙が
あなたの家の竈の火を燃やし
食事の鍋をあたためるだろう
なぜか節目に送られてくる手紙
その手紙をそのまま書き写し
自分に出すのだ
私に届いた私が書いた不幸の手紙は
あなたの幸せの役に立つだろう
不幸の手紙はあなたの幸せのために考えられたものだから
私はあなたが幸せになるのを見届けて
どこかに去っていく
居なくなった私は
もう不幸の手紙を書くことはない
ただ残された多くの出せなかった手紙が
あなたの家の竈の火を燃やし
食事の鍋をあたためるだろう
2011年4月28日木曜日
あしたにはきえている
死への道をまっしぐらだよ
もう詩は書かない
書けないんだ
読む人に
未来を信じさせなきゃならないから
嘘でも
役に立たなきゃ価値がないんだ
価値がないのを
知っていて
取り繕うのは駄目なんだ
下手な詩が
下手な書き手から
見放され
道ずれを求めてやってきたんだ
ついさっきのことだ
追い返すことはできなかったよ
深呼吸して
生き延びようとするように
死んでいくよ
相似形なのかな
分からないけど
悔しさは繰り返しやってくるだろう
いいところもあったから
あきらめがつかなかった
神様に指導して欲しかったよ
いまからでも見守っておくれ
文字は仲間だったな
最後まで
看取ってくれよ
よろしく
寝入るように
言葉ともお別れ
役に立っておくれ
希望を与え
やさしくいてくれ
もう詩は書かない
書けないんだ
読む人に
未来を信じさせなきゃならないから
嘘でも
役に立たなきゃ価値がないんだ
価値がないのを
知っていて
取り繕うのは駄目なんだ
下手な詩が
下手な書き手から
見放され
道ずれを求めてやってきたんだ
ついさっきのことだ
追い返すことはできなかったよ
深呼吸して
生き延びようとするように
死んでいくよ
相似形なのかな
分からないけど
悔しさは繰り返しやってくるだろう
いいところもあったから
あきらめがつかなかった
神様に指導して欲しかったよ
いまからでも見守っておくれ
文字は仲間だったな
最後まで
看取ってくれよ
よろしく
寝入るように
言葉ともお別れ
役に立っておくれ
希望を与え
やさしくいてくれ
2011年4月27日水曜日
ゆっくりやればいいんだ
ゆっくりやればいいんだ
ゆっくりやればいい
ゆっくりやればいいんだ
ゆっくり
ゆっくり
ゆっくり
慌ててやってもいい具合にいかないんだ
慌ててやってもいい具合にいかない
いい具合にいかない
慌ててやっても
やっても
やっても
どうにもならない一筋縄では
一筋縄では
どうにもならないんだ
慌ててやっても
ゆっくりやればいいんだ
慌ててやっても
一筋縄ではいかないんだ
どうにもならないんだ
いい具合にいかないんだ
いかないんだ
慌ててやっても
どうにもならないんだ
一筋縄では
いい具合にいかないんだ
ゆっくりやればいい
ゆっくりやればいいんだ
ゆっくり
ゆっくり
ゆっくりやればいい
ゆっくりやればいいんだ
ゆっくり
ゆっくり
ゆっくり
慌ててやってもいい具合にいかないんだ
慌ててやってもいい具合にいかない
いい具合にいかない
慌ててやっても
やっても
やっても
どうにもならない一筋縄では
一筋縄では
どうにもならないんだ
慌ててやっても
ゆっくりやればいいんだ
慌ててやっても
一筋縄ではいかないんだ
どうにもならないんだ
いい具合にいかないんだ
いかないんだ
慌ててやっても
どうにもならないんだ
一筋縄では
いい具合にいかないんだ
ゆっくりやればいい
ゆっくりやればいいんだ
ゆっくり
ゆっくり
2011年4月26日火曜日
野山の野と山の間
のこのこと
やってきた私は
しめしめと
待ち構えていたあなたに
みすみすつかまった
やれやれと
帽子で顔を覆う人をしりめに
私たちは
幸せだった
トントン拍子にことは進み
しんしんと更けた静かな夜に
私たちはミシミシとベッドをきしませて
朝まで眠らなかった
だれもがそれぞれの思いを抱えて
スースー寝息をたてて眠っていただろう
私たちの時間は濃厚で
薄まる気配さえなかった
星の光のなかで
シクシクと泣く姿は見えなかった
恋人はなくなく去っていった
そうして
あなたと私は自然に結ばれた
自然は私たちによって
イキイキと薫ったのだ
やってきた私は
しめしめと
待ち構えていたあなたに
みすみすつかまった
やれやれと
帽子で顔を覆う人をしりめに
私たちは
幸せだった
トントン拍子にことは進み
しんしんと更けた静かな夜に
私たちはミシミシとベッドをきしませて
朝まで眠らなかった
だれもがそれぞれの思いを抱えて
スースー寝息をたてて眠っていただろう
私たちの時間は濃厚で
薄まる気配さえなかった
星の光のなかで
シクシクと泣く姿は見えなかった
恋人はなくなく去っていった
そうして
あなたと私は自然に結ばれた
自然は私たちによって
イキイキと薫ったのだ
2011年4月25日月曜日
彼は朝立っていった
彼は朝
立っていった
彼女は
立っていった彼を
包み込み
やさしさで満たす存在だった
彼は
出ていった
それから
立っていった
立っていってから
彼女は
彼を追っていった
彼は
追い抜かれる心配でいっぱいだった
胸がいっぱいだった
彼女は追い抜かず
すこし
あとからいった
彼は彼女に
いった
愛してると
すきだと
彼女も彼が好きだった
だから彼にいった
いかないでと
いくなら
一緒にいこうと
だが
彼は
朝立って
いった
それが
彼のいいところだわ
と
彼女は思った
立っていった
彼女は
立っていった彼を
包み込み
やさしさで満たす存在だった
彼は
出ていった
それから
立っていった
立っていってから
彼女は
彼を追っていった
彼は
追い抜かれる心配でいっぱいだった
胸がいっぱいだった
彼女は追い抜かず
すこし
あとからいった
彼は彼女に
いった
愛してると
すきだと
彼女も彼が好きだった
だから彼にいった
いかないでと
いくなら
一緒にいこうと
だが
彼は
朝立って
いった
それが
彼のいいところだわ
と
彼女は思った
2011年4月24日日曜日
ソナチネの木
ソナチネの木というのが
この世のどこに
あるだろうか
その枝には
解説されていない
いくつもの物語が
葉のように茂っている
葉のように
というのは
どれも
木の枝に付くのに
ちょうどいい大きさだから
それゆえ
どこからか風が吹いてきても
軽く受け流して
ただちょっと揺れたり
震えたりするだけなのだ
もっとも古い葉は
もう千年以上も前に生まれ
そこに付いているという
ソナチネの木にも
季節というものはやってくる
やってきては
過ぎてゆく
季節変わりに
物語の葉たちはその様相を変える
ぐんとおおきくなるもの
誰かに摘み取られてしまうもの
誰かの解説にあずかって消え去るもの
季節とともに旅立っていくものたちがいるからだ
ソナチネの木が
いつからそこにあるのかは
だれも知らない
いつ生まれたのか
どうやってそこに運ばれたのか
いや
その木の存在さえ
見ることができない者さえいる
だが
ソナチネの木は
いまも
多くの葉をたたえ
日々小さな変化をしていく
4月も終わりに差し掛かったいま
夏に向けて
その葉を青々と空にかかげている
2011年4月7日
岸田衿子さんの詩の永遠と
魂の冥福を祈り
この世のどこに
あるだろうか
その枝には
解説されていない
いくつもの物語が
葉のように茂っている
葉のように
というのは
どれも
木の枝に付くのに
ちょうどいい大きさだから
それゆえ
どこからか風が吹いてきても
軽く受け流して
ただちょっと揺れたり
震えたりするだけなのだ
もっとも古い葉は
もう千年以上も前に生まれ
そこに付いているという
ソナチネの木にも
季節というものはやってくる
やってきては
過ぎてゆく
季節変わりに
物語の葉たちはその様相を変える
ぐんとおおきくなるもの
誰かに摘み取られてしまうもの
誰かの解説にあずかって消え去るもの
季節とともに旅立っていくものたちがいるからだ
ソナチネの木が
いつからそこにあるのかは
だれも知らない
いつ生まれたのか
どうやってそこに運ばれたのか
いや
その木の存在さえ
見ることができない者さえいる
だが
ソナチネの木は
いまも
多くの葉をたたえ
日々小さな変化をしていく
4月も終わりに差し掛かったいま
夏に向けて
その葉を青々と空にかかげている
2011年4月7日
岸田衿子さんの詩の永遠と
魂の冥福を祈り
登録:
コメント (Atom)