2014年6月21日土曜日

私が眠れないのは

私が眠れないのは
契約を結んでいないアイツが
どこかの街で
パーツを売買し続けるからだ
私はとりあえず眠らずに番をしなければならないのだ

アイツが誰と契約すべきか
私は知らぬ
アイツが誰であるかも
資格があるかどうかも
関係ないし分かりもしない
私がどこを見張っているかさえ
とっくに見失いどうでもいいこととなった

アイツは独りでやっているようで
時に群集だ
アイツは満足気に笑うこともあるが
さめざめして泣くことができないこともある
アイツは二人称を装った
三人称もしくは一人称だ

私は夏の太陽になまあくびをして
二の腕に刻印を押す
だがその刻印は白く濁っている
ねじりの利いたブレスレットは汗に溶けて
退色している

私はアイツを許さないだろう
だがアイツが私と会うことはないだろう

アイツはなぜ売買しているのか
私が番をしている罰として
アイツは売買をつづけるのか

売っては買い
買っては売る

買っては売って
売っては買って


2014年6月19日木曜日

忘却 それは盆地か

昼間のノイズ
白いレースのカーテンが風に揺れている
室内と外とを往ったり来たりしている
地球の
視える限りの球の頂点にいるはずなのに
なぜだか
忘却という名前がついた盆地の底深く沈んでいるのだと
感じる

机の上のモニターのスピーカーから
自分が歌詞を作った歌が聴こえてくる
地平線の彼方には
もう還ることがない人がいるにきまっている
しばらく会わない人も混ざっているかもしれない
ピアノが歌を盛り上げる
私の心も引かれていく

こうして心が動くことは幸せなことだ
幸せは
生活を見つめた消費者のためにだけある言葉ではない
あたりまえのことだ

椅子の上に私はいる
しばらくすると
椅子の上に
私はいない

忘却のコンパスが狂ったように
回る
その針の先が私を指している
意味はわからない
ドアを開けて外にでれば
日差しが照らすだろう
時刻表が導くだろう
太陽を裏側に回した地球の闇の海の真ん中へと

2014年6月18日水曜日

どうしてこんなにキスしたいんでしょう

どうしてこんなにキスしたいんでしょう
キスしたくてたまんないんでしょう
あなたはわたしのまえで
もうはだかになっていて
わたしをこばむけれど
紐で縛り付けられて
身動きができないあなたを
いたぶるように
キスすると
それを合図に
あなたとわたしのまわりに
お決まりの虹色の輪がひろがり蝶が舞う

どうしてこんなにキスしたいんでしょう
もうあなたは
わたしと長いキスをして
合わさった部分からとろけている
どうしてこんなにキスしたいんでしょう
わたしの眼はあなたの上に
わたしを重ねて映すばかり

夏の予感が肌を刺す日に
わたしはバスに乗って美術館をあとにするけど


2014年6月16日月曜日

さわやかな風

さわやかな風がほしい
と いって
かれは走りだした

風を
起こして

大事な時を

次のチャンスが巡ってきたら
今度はきっと手に入れる

チャンスが来るのを待っていて
前に進むの忘れてる

チャンスはどっちの方向からやってくるのか
知っているの?

きっと思いもよらない方向からやってくるから
それを手にするには
敏感なセンサーと
機敏な動きが絶対必要

だから
ただ止まって待っていても
いざという時 動けない

次のチャンスが巡ってきたら
今度はきっと手に入れる

言っていたあの子が
チャンスが来るのを待っていて
前に進むの忘れてる

あの子が
自分自身がチャンスをまとっているのに
気付かずに
いまも
大事な時を
やり過ごしてる


2014年6月12日木曜日

一枚の葉

まだ寝ているのかい と
風に翻った葉っぱが
窓越しに語りかけてきた

ぼくは
眩しくて眼を覆った
そして
あたらしい一日に挑もうと
心にエンジンをかけようとした

オイルが切れているのか
エンジンは頼りない悲鳴をあげて
ぼくに助けを求めてきた

ぼくは
素知らぬふりを決め込んで
小さなエンジンを抱えたあの子のことを
考えた

歩く早さを合わせれば
話すことができる
ぼくが見つめれば
見つめ返してくれる

ふたりが歩いて行く遠景を
眺めている
高台にある一本の樹の
一枚の葉よ

2014年6月10日火曜日

みちるからのお知らせ

みちるです。

いつも読んでくださっている方、ありがあとうございます。
いままでこのブログを、ほぼ毎日更新をしてきましたが、
暫くの間、不定期とさせていただきます。

毎日更新することも可能といえば可能なのですが
もっと創作の方向性をきちんと打ち出すために、
それに適わないものは発表しないことにしたいと思うからです。

そうはいっても、
まだ方向性に迷いがあり、揺れ動いて入るのですが。

どうか、わがままをお許し下さい。
そしてこれからも
みちるの詩をご愛読くださいますよう、お願いいたします。


みちる



2014年6月7日土曜日

古傷のようになってしまったわ

私は西の空に太陽を沈めているというのに
あなたは日が暮れるのを見ることもできない
私は八百屋と肉屋でアルバイトして
サラミを店主の目を見てつまみ食いしたが
新入りのカレとカノジョのカップル(アルバイト)は
生ハムとワインまでいただいちゃってる

古傷のようになってしまったわ
空の割れ目から声が聞こえてきた
階段を登るとき
西日が差して胸が傷んだ
私は傷ついた人が口にするまえに
声を出して言う
古傷のようになってしまったわ

2014年6月6日金曜日

あなたのとなりにねころんだら

あなたのとなりにねころんだら
ちくちくした
あなたからはなれたら
こころが しくしくした
あなたがどこかへいってしまったら
しくはっくした
あなたがべつのひとといたら
はなが ぴくぴくした
あなたがわたしをころすっていったら
ちかちかした
おかしいな
もう おほしさまになったにたい
わたし

2014年6月4日水曜日

夜風の香り

夜の風に混ざっている香りは
何?
窓から入ってくるこの香りは
何?
あなたは黙って考えごとをしているけれど
私はあなたが何を考えているか
薄々気づいているのよ
さっきから
あなた
私に言い訳をしようとしているけれど
私は何も問い詰めないのよ
ただこの夜風のように
私の思いを香らせられたら と
思っているだけ
ただ
それだけ