きょうの風は大丈夫です
海で生まれ波を蹴り砂浜と森を抜け
雪の積もった屋根を越えて
やってきましたが
怪しいものには触らなかった
顔という丸い大地にきて
そのカラダのなかにも
分かれて入っていった
少女は産毛をふるわせて
何かをしていた
きのうの風は
だめでした
悪いものを含んでいた
怪しいものに触ってしまった
風は素直だから
そのうえ
気まぐれ風まかせだから
気づいていない
運んでは行けないものがあると
と
人は風のせいにして
風の強い夜には
寝心地が悪い