詩人は一編の詩を用いて
世間に負けそうな一人の子どもを
救おうとしている
故に詩は
絶望をうたわない
絶望に差し込む一筋の光をうたっても
詩は
一人の子どもの傍に佇む
佇んで
いつも見守っている
その子が心ないいたずらや身内の凶器で傷つけられたとき
さりげなく視界の中に現れて目配せをする
そして言葉のバリアで覆って傷を癒してしまう
詩は
当たり前のように存在しているが
その本当の姿を
人は説明できない
詩に出会った者だけが
詩の姿を知り
詩を書く者だけが
それを詩によって伝えることができる
だから
詩の効用は辞書には載っていないし
薬局でも処方していない