2010年10月31日日曜日

館内放送

ミミー マーガ サン さん
モーガ チチ トルノ さん
いらっしゃいましたら
クソレタッ イ レプス 広場で
シンケウコ ヨグウ の皆様がお待ちです
至急 お越しください

2010年10月30日土曜日

みなさんごめんなさいのトークショー

1

式次第

会場のみなさんに謝ることを告げる
お詫び
世間から奪ったもの
お詫び
世間に対するなめた考え
お詫び
会場のみなさまに与えた苦痛について
お詫び
自分の行動についての反省
お詫び
いまと今後の自分の行動
お詫び
みなさまに自分ができること
お詫び


2

みなさんごめんなさいトークショーは
あやまってばかり

あやまってばかりでは間がもたないので
言い訳を語り始める
言い訳は聞きようによっては
お詫びよりおもしろい

あやまってほしい人は
話者が一通り話し終えると
聞きたかったのは
お詫びではなく
その経緯でもなく
自分に対する気持ち
でもなく
その気持ちに対する思いであるこを知る

トークショーは
夜を徹してつづき
いつ終わるともしれない
話者は改心しているが
性格は変えようがない
話は巡り
同心円を描きながら遠ざかっていくが
時々同じ道を辿る


3

みなさんごめんなさいのトークショーは
入場は無料
訪れた人が満足できるかは
主催者は自信が持てないでいる
それでも
主催者はいたるところで
どうしても開催したい

お詫びをしたい気持ちが
なにかを産むと信じているから

お詫びをされたい気持ちをもって生きる
苦しみを手にした日
世間が振り返って見せた
不敵な笑い顔を見てしまったから

2010年10月29日金曜日

トタンの屋根にトトトタン

ペットボトルの紅茶を腰に
ナイキエアーの靴底で
ワーキングシェアで生じた休暇に
ピクニック気分の小旅行

電池が心配アイフォーン
音楽聞くのはウォークマン
電池を食うぞノイズキャンセラ
押してはいけないこのボタン

ルンルン ラルラル
トトトタン
トタンの屋根に降るものは
雨粒でなはなく落ち葉でもない
誰かが降らせた最終兵器

2010年10月28日木曜日

消し忘れた灯(ひ)

街にLEDの明かりが灯る
無数の星
お店の中で揺れるキャンドルの炎
瞳に映る灯
白い歯の表面で輝く光

眼を閉じてみると
そこにもある
金星のチラチラと揺れる紅い光
青白い月光
ピアノの鍵盤に反射する朝日
椅子の背中に乗っている光の粒子

そのなかで
僕が灯した光が
今も
輝いて見える

君にこっそりともした光
君の指で輝く
イミテーションの宝石

2010年10月27日水曜日

月の香

目が覚めていくとき
固まってしまうだろう

季節の風が運んでくる感覚
何回めぐってきたのだろう

今はもういないあのひとの香り
浸みこんでとどまるように祈ったけれど

月のない夜に観た
思い出の中の月はほのかに赤かった

不吉と絶頂の予感が繰り返し
やかんの水が煮えたぎる音だけがして

通奏低音が鼓膜の奥でなっている
自分はどんな譜面の上を進むのか
誰の意思で
いつまで

2010年10月26日火曜日

香里奈

好きなドライフルーツはイチジク
噛むと奥歯で小さな粒が潰れて音がする
その音がたまらない
他にないその音
その歯ざわりも

田舎のスマートな女
革のジャケットがよく似合う
細くまっすぐな脚
前髪から覗くロマンティックな瞳
形のいいくちびる

そんな香里奈にも
太刀打ちできないライバルがいる

小峰だ

2010年10月25日月曜日

気づくともういない

気づくと
イヤホンをして
きみが坂をのぼってくる
リズムよく大胆な歩幅で
僕を見つけたからだろう

僕もきみに向かって歩き出す
早くきみの体に触れたいから
きみはイヤホンを外して笑顔を投げてくる

春の日差しを感じた
バスが騒音をまき散らして登ってきたけれど
僕たちの前を通りすぎると
もう僕たちはいなくなっているのさ

紅茶にスプーンが入れられて
くるくるかき回す
真昼の喫茶店にたばこの煙が漂い
誰かが入ってくる音がする
すると
もうそこに
僕たちはいないのさ

2010年10月24日日曜日

自分への伝言

泣く泣く僕も空を見る
というフレーズが
空に消えて行く

消えて
なくなってしまえ

いらないものから逆に見捨てられ
しがみつく

何々のように
と比喩を言って受け流すのは
止めにしたら

まとまる筈ないよ
デスクトップは狭いんだから
それに何世代も前の年代物

大事にしたってたかが知れている
広い空にならすてられる

やり直した人生の失敗作だって
これからの未来だって

いきてていいよ

いつか旅先で見つけた花
いきてていいよ
いきてていい
いきてていいよを
いきてていいよを
いきていよいよ
いきていよいよ
いきていきて
いきてえいきてえ

生きてていいよ
生きてていい
生きていい世を
生きていい夜を
生きていよいよ
生きて居よ居よ
生きて生きて
生きてえィきてえ

2010年10月23日土曜日

とてもいいわ

(とてもいいわ

そう言われて
舞い上がった

(とても素敵

あっ、また、ほめられた
ナマでこう言われるのはいい

短いヒトコトなのに
地球だって持ち上がりそうだ

(なんでもできるね

そんなことないけど
そんな気さえしてくる

(ひとりでなんでもできるよ
(あなたひとりで