2014年3月5日水曜日

きいろいくまさん

きいろいくまが
わたしをみつけると
きのうえから
とびおりてきた

うでをくびにまきつけて
みみもとで
なにかいっている

ぐしゃ ぐしゃ
ぎゅう ぎゅう

なにを
いってるのか
わかりません

わたしは
にんげんかんけいで
なやんでいるので
かまわないで

じんせい
おもいどおりに
いかないことばかり

きいろいくまさん
にたっ
と わらって
とびさった

あらら
おとしもの

きんいろの
ちいさな
ひかる
うんこだよ

2014年3月4日火曜日

きれいなこころを つむひとに

きれいなおはなを
つむひとが
きれいなこころも
つんでいた

きれいなこころを
つまれたひとは
かれたじんせい
おくってた

きれいなこころを
そだてるひとに
きれいなこころが
あふれだす

きれいなこころを
つまれたひとに
きれいなこころを
あげました

2014年3月3日月曜日

ことばでうまくいおうとすると

ことばでうまくいおうとすると
こころがひろがってゆく
こころでうまくうけとめようとすると
やさしいまなざしになる
やさしいまなざしでといかけようとすると
あいがふかまってゆく
あいをふかめようとすると
ことばをかけたくなる

きみのくちびるが
ちいさくうごきだして
こえがおくれて
こまくをたたきにいく

つきのきれいなしずかなよるに
なみおとのように
くるかえす
きみのといきが
ことばをはこんで
よるがそこだけ
しんとしずまりかえった


*みちるです。ことばってやっぱり、魔力が備わってしまうことがありますよね。詩はその魔力を使った芸術です。

2014年3月2日日曜日

おかねのことばかり きにしているおとこ



おかねのことばかり
きにしているおとこがいた
おとこはちいさなおかねを
あつめるのがすきだった

ちいさなおかねを
ながいじかんかけてあつめると
むらのひとびとをしょうたいして
えんかいをやった

だがむらのひとびとは
おとこのきげんがわるいことをしっていた
そこでおとこのきげんをとって
もてはやした

おとこはふくざつなきもちだったが
やがて
またおかねをあつめはじめると
きもちはおちついた

おとこはおかねをあつめるために
おおくのものをぎせいにした
それがおとこのじんせいだった

おとこがしんだあと
のこされたおかねは
にょうぼうがうけついだ

にょうぼうは
かなしみもかんじたが
よろこびのほうがおおきかった

おかねのことばかり
きにするのは
にょうぼうのほうが
いちまいうわてだったようだ

2014年3月1日土曜日

ろうそくのほのお

ろうそくの
ほのおのかたちは
つぼみのかたち
これからはながさくのかな
わたしが
ふーっといきをかけたら
へんなゆがんだかたちになって
どこかにとんでいっちゃった
とうめいなマントをきて
しろいけむりのせんをのこして

2014年2月28日金曜日

かみさまのともだち

あたらしいものを
うまなくなると
ひとは
しんでしまう

きっと
かみさまは
あたらしいものが
すきなんだ

それに
おもしろいものがすきなんだ

ぼくも
あたらしいものや
おもしろいものがすきだ

かみさまは
いばっていそうだけど
ほんとは
さびしがりやなのかもしれない

だからたまに
そらいっぱいに
うつくしいゆうやけをえがいたりする
そうぞうもつかない
こわいゆめをみさせたりする

ねえ
ぼくは いいともだちでしょ
かみさまのきもちがわかるから

2014年2月27日木曜日

ぎょうれつのかんがえ

ぎょうれつになびました
なんのぎょうれつかは
わからなかったけれど
みんながそうしているように
わたしもそうしました

そして
まえのひとがすすめば
わたしもすすみ
まえのひとがとまれば
わたしもとまりました

ぎょうれつはのびてゆきました
いちばんまえも
いちばんうしろも
どうなっているのか
わかりません

ひこうきが
あたまのうえをとんでゆき
そらのかなたで
ぎんいろのほしとまじわりました

ぎょうれつのまえでは
だれがまっているのでしょう
あるいはだれもまっていないでしょうか

わたしはぎょうれつを
あいしはじめました
そしてしんじはじめました
きっといいぎょうれつにちがいないと

しかしぎょうれつは
うらぎることをかんがえていました

どうやって
てきをまいて
じぶんだけいいおもいをしようかと
かんがえていたのです

2014年2月26日水曜日

絶望の先生

ゆうさん
お元気ですか
わたしは不元気て不幸な毎日を送っています
以前
時間というものはライバルでしたが
いまはわたしをこの世界に漂わせておいてくれる
波やそよ風と一緒です

ゆうさん
あなたは軽く笑うでしょう
私の目をみながら
なぜ不幸なんだと
何が不幸なんだと
たしなめるでしょう

わたしはあなたを困らせるつもりは
ないのです
あなたには分かっていますね
わたしがわたしの中にわいた
一つのアイディアに
捕らわれていると

たしかにそうです
でも
だから
わたしはここから踏み出すには
大きな犠牲が必要になってしまうのです
その犠牲はわたしの命を奪ってしまうでしょう

わたしは蛇足と知りながら
結論のあとに
わざと付け加えます
あきらめを味方につけるために
見放された愛の後ろ髪を
繋ぎとめている
明け方に見るユメのために

2014年2月25日火曜日

たべられちゃった

ぼく
たべられちゃった
かみくだれて
のどのおくにおちていった
ぬるぬのとんねるを
まっさかさまにおちていった

きのうのおやつ
かくさずに
たべておけばよかった
なおとがほしがってたしーる
あげちゃえばよかった

ぼく
もまれて
とかされてゆく
もう あしのゆびも みえない
めも みみも とけて
なくなっていく

きっと
えいようになって
からだのなかをながれていくうちに
のみこんだやつに
なってしまうのだろう

まあ
それもわるくないか
だが
このことばをしゃべっているぼくが
いったいどうなってしまうのか
それがもんだいだ

ああ
ぼくはいなくなったのに
にほんごのことばが
のこっている

だれか
たすけてくれ

2014年2月24日月曜日

包まれ上手な人が

包まれ上手な人が包まれました
包まれ上手な人がなにかに包まれました
包まれ上手な人が包まれました
包まれ上手な人がふわふわの毛布に包まれました
包まれ上手な人が包まれました
包まれ上手な人が春巻きの皮に包まれました
包まれ上手な人が包まれました
包まれ上手な人が餃子の皮にも包まれました
包まれ上手な人が包まれました
包まれ上手な人がしっとりした愛に包まれました
包まれ上手な人が包まれました
包まれ上手な人がきわどい愛にも包まれました
包まれ上手な人が包まれました
包まれ上手な人が竹の皮に包まれました
包まれ上手な人が包まれました
包まれ上手な人が和柄の包装紙に包まれました
包まれ上手な人が包まれました
包まれ上手な人が朝日新聞に包まれました
包まれ上手な人が包まれました
包まれ上手な人が毎日新聞にも包まれました
包まれ上手な人が包まれました
包まれ上手な人が金色の折り紙に包まれました
包まれ上手な人が包まれました
包まれ上手な人が冷たい空気包まれました
包まれ上手な人が包まれました
包まれ上手な人が淀んだ空気にも包まれました
包まれ上手な人が包まれました
包まれ上手な人が相変わらずまったりと包まれました
包まれ上手な人が包まれました
そして淋しく包まれたまま
箱に入れられ
去ってゆきました


*長いものには巻かれ、郷に入っては郷に従う。なんのギモンも感じずに、そうして行きてゆく人に、包まれないように、しましょうね! みちる