人生は飛行機雲
青空を汚してやっと描かれた
一本の線
絵になりたくても
自らなることはできない
だからいつも
見上げる人の想像力に
すがるっている
人生は飛行機雲
愛する人と出会ったよろこびを
誰かの心にとどめたくて
必死に言葉を吐く
だれかが認めてくれることで
不仲になった世間とも和解して
どうにかやりくりして生きてゆけるから
地球の命をもらって
死ぬまで自分を滅ぼさずに生きてゆく
愛の力を信じたくて
永遠と寄り添う儚い夢を見ながら
2013年8月18日日曜日
2013年8月17日土曜日
2013年8月16日金曜日
君があの暗い少年に
君があの暗い少年に思いを寄せてくれているから
私は生きてゆける
君は
薄暗がりの廊下や
曇った日に乾くことができない土の壁や
世間から理解されず狂って歩いているあいつを
安く買いたたかれて果物一つ買えない若者を
病に伏せている独り身の母の横で静かにひとり遊ぶ幼ない児を
何事でもないように
ただ
それは何事でもないように 描き続けた
君があの暗い少年に思いを寄せてくれているから
私は生きてゆける
私が生きてゆけるのは
あの
暗い少年に光が当たったから
ほんの一瞬
あの暗い少年に光が当たったから
2013年8月15日木曜日
戦争はもう始まっていた
戦争ごっこをして遊んだ夏
あの夏は遠ざかっていったが
戦争は遠ざからない
男の子たちは
きょうも
戦争をやめることができない
もう始まっていた戦争
受け継がれ
引き継がれていく戦争
知らないうちに始めている戦争
折り重なり
人を渡し
戦術を渡し
武器を渡し
途絶えることがない
戦争は
人を使っている
戦争は知っている
人は戦争と手を組もうとしていることを
知っていて
語ることがない
人の口に
戦争を語らせるとき
僅かにその言葉を操り
あとは
知らん顔をしているだけ
2013年8月14日水曜日
ブルーなシャンデリア
暗い海の底に心を沈ませて
息をひそめて生きる意味を問い続けるの
太陽は波に反射して
遥か上空のブルーなシャンデリア
ここには影さえできない暗がりがあり
声をたてることができない静寂がある
人たちは私のことを忘れ
世界の平穏と自分の幸福を祈って
それぞれの道でがんばってるんだろう
捨て去っていいものは
何かあるの?
大切な何かを差し出して
卑怯者に加担している
だがそれも世のため人のため
必要悪というものがあり
だれかが犠牲を払っている
だれかが涙をこぼしてる
暗い海の底に心を沈ませて
息をひそめて生きる意味を問い続けるの
太陽は波に反射して
遥か上空のブルーなシャンデリア
私は声を出さないから
古代の深海魚と話ができる
だまったまま
目的や意味は置き去りにして
2013年8月13日火曜日
私は知らなかったのだが
月影の浜に
波が這い上がって
あなたをさらおうと
手をのばした
あなたは
とっさにその湿った手で
なまめかしくにぎり返し
鼓動で合図を送った
波はあなたの中に
入ろうとして
裾を巻き上げ
引力に逆らっていたが
やがて
蒸発を試みた
あなたは
あなたの中に入った波を
自分と区別できずに
潮を吹いて押し出してみようとした
月影の浜に
不良少年がたむろして
仕掛け花火を楽しむように
私を見ていた
私は見られることが恥ずかしくて
逃れようとしたが
なおさら恥ずかしいポーズととってしまうだけだった
あなたは
波の中に私を誘い入れ
波の背中を汗で光らせて
朝を遠ざけた
2013年8月12日月曜日
少女は二つのマリを抱えて
少女は二つのマリを抱えて
立っている
もうほかに何も持つことができないから
期待と疑問のタトゥーシールを
うでとお尻の上部に貼り付けてある
少女は何のために
そこに立っているのか
すでに忘れてしまっているから
声をかけて肩に触れてくる男に
片っ端から訊いてみるが
男たちは不意打ちを食らって
みな逃げだしてゆくので
少女は
時計回りに針が動く
時計とともに
いつまでも立っている
時の経つのも忘れて
立っている
もうほかに何も持つことができないから
期待と疑問のタトゥーシールを
うでとお尻の上部に貼り付けてある
少女は何のために
そこに立っているのか
すでに忘れてしまっているから
声をかけて肩に触れてくる男に
片っ端から訊いてみるが
男たちは不意打ちを食らって
みな逃げだしてゆくので
少女は
時計回りに針が動く
時計とともに
いつまでも立っている
時の経つのも忘れて
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