2013年4月18日木曜日

青空へ


自転車をこぐ音は
きみがやってくる音

背中から近づいて
すぐ脇を追い越していく

空から小鳥が
眺めていたって

教室の窓から見える
通学路の並木道

なんど通ったのだろう
きみのこと追いかけるように

窓から小鳥が
歌っていたって

この町の空の上
風とともに
季節は巡り
きみはここを出て行く

空から小鳥が
眺めていたって

小さい私たちの
大きな未来

仰ぎ見れば
涙の向こう
滲んで見えている
青空

2013年4月17日水曜日

そこだけあたたかい


こうしたらうまくいく
ということが
どうしても
やりたくなくて

うまく生きていくことから
どんどん
遠ざかってしまう
いやな性格

よく分かっている

あなたはあきれて
ため息をついていた
いやみをぶつけて背を向けて

でも
こうしたらうまくいく
ということは
つまらないことばかりで
あなたは私を見て
よく笑ってた
時に指を指して

私も一緒になって
笑ったけど
涙が頬で乾いて
そこだけが寒くて
そのあと
あたたかい指が
私の上に寄り添った

2013年4月16日火曜日

今年の冬は何もなかった
今年の冬は何もなかった
春にはきっと何かある
今年の冬は何もなかった
春にはきっと何かある

2013年4月15日月曜日

首をかしげてあなたを見るのは


首をかしげて
あなたを見るのは
そうじゃなきゃいけない
理由があるの

まっすぐ見ないのは
恥ずかしいからじゃない

私 鳥だから
正面から見るなんて
できないの

神様が
そこがいいよ って
いってくれたから


言葉じゃなくて
ハミングするのは
それがいちばんいい
そうおもうの

おしゃべりしないのは
嫌いだからじゃない

私 鳥だから

手紙を書くのも
できないの


パパ ママが
文字はいらない って
話してくれたから

2013年4月14日日曜日

宇宙の小石

上手に生きないと
幸せになれないと
知らされた日

私は自分に誓った
縁ある仲間を守るために
汚れ役も買って出ようと

傷つけたあの人に
いつかお詫びするために
何ができるのかと

自分の声しか
教えてくれる者はない
自分に語らせるのもまた自分
その自分を生かしているのは
私の中の宇宙の小石

2013年4月13日土曜日

泣き声が聴こえる


さきほどから
誰かが泣いている気配がしているので
あたりを見回してみているのですが
人影は見えません

それどころか
人が隠れられるような物陰さえないのです

虫か
鳥の声でしょうか
すすり泣くような
しかしあまり悲壮な感じのしないその声は

耳をそばだてると消え
しばらくすると
また聴こえてくる

まさか
私が泣いているのでしょうか

そういえば
きのう私は
大事な人に裏切られたのでした

2013年4月12日金曜日

どうしても必要

自分の重さで自分を支え
輪っかを抱いて
ベタベタを取り出させる

コトアルゴトニ
程よく回る

一人きりの真っ暗な夜には
ひときわ
思い出を語りたくなるので
涙に濡れ
吐く息で曇らせないよう
注意していなければならない

私は何度となく選ばれた
何度となく
姿を消した

某氏がいう

あなたが必要だと
透明なベタベタを取り出すことは
どうしても必要なことだと


2013年4月11日木曜日

かの女はいなくなった


心に小石を握りしめて
となりのオバさんとあいさつした

おはよう!
こんにちは!

見れば太陽はもう高く
車の騒音 工場の音
賑々しく聴こえてくる

もう春ですね
きょうは涼しいですね

蝉の声がして
心がどっぷり懐かしさにまみれ
淡い初恋がツンと鼻を突いた

こんばんは
さようなら

きょうは夕暮れの景色の記憶がない
下校放送も
休みだったらしい

もしもし
何だ 使われてないって



2013年4月8日月曜日

もう夢中

音楽が先に行ってしまうので
気持ちは引きずられていく

リズムを刻んで流れていく歳月
私の思いはあなたの前にとどまり
やって来た電車を何本も見送っている

音楽が先に行ってしまうので
私は足踏みしてタイミングを合わせる
あなたはチャンネルを換えて
新しい番組のお話にもう夢中

2013年4月7日日曜日

謝らずに訣れたあなた

いま ここで謝れてよかった

あなたのプロフィール写真が
スマホの画面に突然 現れた

あなたには
ずっと謝ってきた

いま ここであなたに謝れてよかった

私にはしなければならないことがあると
いまハッキリ悟った

あなたのおかげだ

私は明日からあなたに向けて
それをするために
生きていく

空よりも暗い山
見ているか?
聞いていてくれ

私は無言で
誓ったのだから