2012年10月11日木曜日

ぼくにはゴハンが足りないのです
もっとおかずも食べたいのです

2012年10月10日水曜日

すきなひとが

すきなひとが
となりでねむっています
あなたは
なぜかねむらない

あなたは
なにをのぞんでいますか
ほしいものが
あるのですね

ふたりは
ずっといっしょです
いままでも
そしてこれからも

あたらしいものが
ふるびて
やさしくなっていきます
うるさいことを
いわなくなります

そらは
うえにありつづけて
おちてきません
すいへいせんの
したにあるそらは
かくれたままです

あなたは
なににかくれていますか
だれかのかげにですか
それとも・・・

2012年10月9日火曜日

あなたはうつ病さえ

あなたは
あなたの優しい性格で
うつ病さえ迎えいれたのですね

あなたは
あなたの優しい性格を
失わないまま
少しずつ強くなって
たまに知らん顔で
辛いこともやってのけている

木綿の衣服を
じゃぶじゃぶ洗って
汚れをおとし
お日さまにさらして乾かして
いつの間にか身に纏って走り回っている

あなたのことが好き
あなたは
あなたの優しい性格を
周りの人につかっているが
誰につかったのかはもうわからない

それほど
無尽蔵につかい続けている

2012年10月8日月曜日

なつかしさを求めて

なつかしさを求めて
この丘にきたんだね
そういう顔をしているよ
暇人みたいだよ

2012年10月7日日曜日

詩の友だち

彼は詩の友だち
私がこうして詩を書いているとき
彼もまた詩の中にいる

詩は永遠の欠片のように
心に突き刺さっいる

夢の中で探し当てた
いい方向へと向かう道が
雲に覆われた月のせいで
見えなくなっているけれど

平気な顔をしているのは
信じているから
信じられる何かを

2012年10月6日土曜日

その香り

私はじっと座っているだけだった
座って花の香りを吸い込んで
うっとりと目を閉じていた

いや
目を閉じてはいなかった
私は
劇場の舞台に目をやって
心地良い歌声に心をさ迷わせて
浸っていた

暗転が暗闇を投げかけてくる
拍手が静寂を破って
あふれだす

私の胸を満たしたその香りは
記憶の中に沈んで
未来の明るい日差しを投射してくる

時は
劇場の微風を吸い込んで
ゆるやかに速度を早め
舞台の奈落の上空を渦巻いて
ただ爽やかに過ぎ去っていった

2012年10月5日金曜日

何度思ったことか

死んでお詫びしたいと何度思ったことか
死んでもお詫びできないと何度思ったことか
死んだらさらに迷惑がかかると何度思ったことか
死ぬより死んだ気になったほうがいいと何度思ったことか
死んだ気でやるのは死ぬより大変だと何度思ったことか
死ぬなんて口走る自分は死ぬに値しないと何度思ったことか
死んでも何も良くならないと何度思ったことか
死んだら誰かが喜ぶだろうと何度思ったことか
死んだら喜ぶ誰かのためにも死ねないと何度思ったことか
死んだふりして死なないのもいい手だと何度思ったことか
死なないふりして死ぬのは意味がないと何度思ったことか
死んだら死にたくない人の力になれないかと何度思ったことか
死ぬなら首を吊ったらどうかと何度思ったことか
死ななくてもいい人生はなんて素敵なんだと何度思ったことか
死んだら誰が葬式に来てくれるだろうと何度思ったことか
死んでも葬式はみすぼらしいだろうと何度思ったことか
死んだらまた生まれかわるのだろうかと何度思ったことか
死ぬよりいい途はないものかと何度思ったことか
死ぬ時何を思うだろうと何度思ったことか
死んだらあのひとはどう思うだろうと何度思ったことか
死なないで生きていこうと何度思ったことか
死なないでいるうちにいつか死ぬのだろうと近頃何度思ったことか

2012年10月4日木曜日

わたしはおまけ

わたしはおまけ
おとくなひとよ
ねだんはないし
すててもへいき
がっかりしても
そのときかぎり
じゃまにならずに
くっついている
ときたましゅやく
わきやくなのに
だいじにされる
だいじなゆめを
かかえていれば
ゆめをほっする
ひとがはぐする
たのしいよるよ
とわにつづけよ
だけどつづかぬ
ゆめあささめる

2012年10月3日水曜日

さよならは短いことばで

長い長いあなたとの
付き合いだったけれど
さよならは短いことばで
すませましょう

気持ちは変わらなくても
別れのときは
突然やってきます
それを望んでいなくても

自分のなかに
さよならしたい理由を
見つけようとしましたが
それさえ
なんだかとても
いいものに見えてきてしまうのは
なぜでしょう

きのうの大きくて明るい月は
きょうは雨雲に覆われて
あなたと私の心を隠しています

最後には抱きしめます
それは
無粋なことに違いないけれど
あなたもそれをきっと待っていると
私には信じられたから

あなたの胸が私の胸と交感して
鼓動を打ち
別れの時が来ます

もう会うことはありません
会いたくても
会うことはできません

長い長い付き合いでした

生きてきた時間よりも ずっと

2012年10月2日火曜日

安らぎを見つけようとしても

私には花を手向ける相手がいない
手向けるべき花束もこの世にはない
あの人はもうどこかへ行ってしまった

暗い森を照らす光は
もう月と星の光しか夜は残っていない
蝋燭の火も
街あかりもみんな消えてしまった

子鹿の鳴く声も
泉の湧き出る場所も
あの軽快な足音もどこにも残っていない

傍らに人は座っているけれど
尋ねてみても記憶の中に
地図も道標もなく
そこには多くの人々や生き物たちが
彷徨い迷っている

遠くの陽炎のゆらゆらの中に
毎日やってくる日常の安らぎを見つけようとしても
それは粒子となって微かにキラキラ光るだけで
海底の砂浜に沈んでいく

もう帰ることはできないのだ
立ちどまるできないように
進むこともできないのだ