2011年6月27日月曜日

未来のイメージ

未来の話をしませんか
と あなたがやってきた
梅雨の晴れ間の日曜日

私たちに未来はあるの?
少し意地悪だけど
きいてみた

あなたはそれには答えずに
滴のついた古びた窓から
外の木々を見やった

私には
未来は
陽の光と一緒に差し込んで来るもののように思えた

子どものころ
将来を心配し希望を語ろうとしない大人たちの傍らで
私は空を見上げ
木々は急き立てられる私の心を
なだめていた

2011年6月26日日曜日

傷口

痛みを
手で覆い
心で覆うと
どこに痛みがあるのか
分からなくなってくる

ひょっとして
きのう喧嘩した
あの場所に
あの場所の床に
落ちているのかもしれない

月の光が差してきたのは
その夜

干からびた痛みは
絆創膏に吸い取られ
息づいていた

絆創膏から
こぼれ落ちた痛みは
膚に焼き付けられ
すべやかな傷口となって
恋人の唇に愛されるのかもしれない

2011年6月25日土曜日

遠い海

鏡の野の水たまりに
月のかけら落ちて
みゅーと泣くの 誰

堤防の端っこで
あのこがなくしてしまった
紐に括ってあったもの 何

風に訊いてみたいけど
湿気混じりて
おまけに潮の香りするの 何処

疑問符型の鍵で
あなたのハートは解き放たれるの
返事が来るの 何時

問いが生まれ
答えと出会えねまま
消えて行くの 何時でも

2011年6月24日金曜日

つれづれ草紙

雪が、ふりだした。
消しゴムのカスを
極彩色の鳥が
啄んでいる
錆びた水が
海を目指して流れてゆく

トンネルで立ち往生している
フォークソング
いつかまた会えるねと約束するだろう未来

チャーシュー麺が
冷めながら呼んでいる

いい加減な速度で
生きるのはやめようよ

2011年6月23日木曜日

あなたはなにもとわないのに

すきなひとは
きらいなひとより
しまつがわるい

きになってしようがないから
ほおっておけないし
くっつきすぎて
きらわれるのがこわいから

あなたのことをかんがえると
ねむれないよるが
わたしをあせらせる

あなたのことをかんがえていないとき
わたしはへいおんに
くらしている

あなたは
わたしの
いちばんおおきな
むずかしいもんだい

あなたはなにもとわないのに
わたしはこたえばかりかんがえている

2011年6月22日水曜日

本心

君の言うことは正しいけど厳しすぎると
文句を言ったね
厳しすぎるけど正しいと思いながら

ちょうどいい

帯に短かし たすきにながし と
思っているね
ちょうどいいと思っているんだね

いい馬

人の恋を邪魔すると
馬に蹴られて死ぬそうだ
いい馬だといいね

ずるい

ずるいね
ずるくないようにみせて
そのことまで忘れてしまうなんて

悪い癖

いい気になるのは悪い癖(くせ)
陰気になるのはもっと悪い癖
癖だと思っているのはさらに悪い癖