日向になった場所に
猫は移動して
いい思い出ばかりを思い出す
鳥は
過去を振り返ることなく
未来さえも見詰めずに
風を切り 風に乗り
いま 世界を見下ろしている
緑をまとったこんもりした森は
空に伸びていくと見せかけて
地中深く根を伸ばしている
夜の間も 脈々と
いったい私は
どこで
何をして 生きていったら
いいのだろう
地球は
私たちの重さをその星の命で
受け止めている
乗りかかった舟ではない
生まれるまえから
死んだ後もずっと
一緒なのだ 一体なのだ
蝉が言っていた
地面の下にいたときは
空にあこがれ
空を僅かに飛んだとき
地面の下の命に
恋をしたのだと