2012年12月23日日曜日

自転車があったなら


私は客なのだが成り行き上 床を掃除している

昨日までは社長をやっていた

店員より私のほうが上手いだろう

線路際の食堂は冬には寒々とするほど全面ガラス戸で囲われていて

電車が通るたびに長閑にがたがたいっている

さっきまで私は秘密の女と石段の下の踏み切りのところで

いちゃついていた

秘書に知られたら彼女がかわいそうだと気もそぞろに

その落ち着きのなさに久々の新鮮な快楽を得て

 

しかしこの汚れやすい床は

いくら掃除してもきれいにならない

まるでそれが狙いであるかのように

油汚れを永遠に引きずり回すようだ

それでも

私は掃除が上手だ

 

巷では安部政権が発足するというが

その稼働率が四割ほどになったとき

私の口の中で

液晶表示装置の白い文字が

16ドットのゴシック体で

文字をスクロール表示することになっている

 

八又(やつまた)さんとできちゃった

私の中はそのニュースで持ちきりで

すごく忙しいから

夕方になるのも忘れて床をしごいている

自転車があったなら

すこしは

はかどったかも知れない

ケーキはいかがでしょう

2012年12月22日土曜日

望み

秘密の人ごみ
やわらかな路
暗い気持ちには
居留守をつかい
知らん顔

あったかいブーツを履き
近場へトリップ
あのこはストリートダンサーを
振ったばかり

群馬県の家から
東中野まで
体力勝負で通い
スレンダーな体に
お尻の上までの長い髪を
なびかせて
香りを振りまく

許されるなら
土星の影で
すべてを奪い確かめたい
彼女が何をしたいのかを

2012年12月21日金曜日

20121222

親切そうな男の人が
お金の振込先を教えてくれる
そしてお待たせしたら悪いからと
預かり証を用意して
あとは自分がやるから
もう帰っていいという

小雪が昼下がりの郊外の街の
ビルの谷間に舞い降りる

駅ビルにはちょっと値段が高めの
この国の何処に行ってもある
安心感のあるお店が連なり
客を誘い込んでいる

親切そうな男の人は
預かり証を渡して
さあお帰りくださいと
笑顔で挨拶する

本社は彼の人柄とは関係なく
別のものと繋がっていて
人々の間に根を張って
養分を取り入れている

ニュースでは
戦地で死んで行った
ジャーナリストの特集が流されている
昨日は傭兵のアルバイトの暴露話の番組が流されたばかりだ

グラッとまた震度3の地震

2012年12月20日木曜日

思い出は整理しなくていい

思い出は整理しなくていい
カバンを振り回して
好きなあいつも踏み越えて行け

2012年12月19日水曜日

マツザキヨシユキ

私の名前には
いつも雪が降っている
松の木のこずえに
気障に積もった雪が
私を励ましてくれる

「よし!」と
元気いい声を出して

2012年12月18日火曜日

寒い街並みの向こうに

寒い街並みの向こうに海がある
風にヨットがきしむ
夏の青い海がある

窓辺に立って
私は背後に
ポットのお湯が滾る音を聞いている

山の方角に日が落ちる
明日の朝は爽やかに晴れる気がして

2012年12月17日月曜日

曲がりかどの向こうで

寝入りばなの目覚め際
小鳥のさえずりを聴いたような気がして
陽だまりの中にこころを移してみると
そこに
やはりあなたが後ろ向きで座っていた

胸騒ぎがして近寄り覗き込んでみると
なんのことはない
あなたは独り遊びに興じていて
他人の心配などはどこ吹く風

その独り遊びは
バリアで自分を覆い
外の声は聴こえないらしい

なにか寂しい事件でもあったのだろうか
しゃぼん玉のように疑問は天へとのぼり
青空の震えのせいで
虹を現しては破裂する

そのとき
私の心の中で
音もなく破裂したものは
何だ



----今月誕生日のひとに----

2012年12月16日日曜日

素直に生きていけばいいと

自分のよさに気づける人は
素直に生きていけばいいと
神様から選ばれた人

神様から選ばれても
そのことを信じないでいると
幸せになれない

幸せになれないまま
悩み続けて
ある日やっと素直に生き始める

というのが
婉曲に表現した
私の人生です

私というのは
あなたのことであり
筆者は神様の家来として
これをあなたに伝えるため
このような方法で
ここに書いています