2012年12月9日日曜日

会ったことのないあの人

会ったことのないあの人だけど
気になる 気になる
会ったことのない人は
私に語りかけてくる
やさしく 激しく

会ったことのない人は
いつまでも
そのままでいるとは限らない
会ったことのない人の
ことばかり 考える
夜に 朝に いつの間にか

会ったことのない人が
私に語りかけてくる
昨日も 今日も 明日もきっと

会ったことのない人は
かけがえがない
あの人は
私の大事な人
いつから?  どうして?

気まずくても 楽しくても
距離感もわからずに
肌のぬくもりも知らぬまま
寒い夜も
暖かい部屋に
一緒にいる

2012年12月8日土曜日

中心のこころ

体にピンを刺すと
痛いけれど
どこが中心かが
わかってくる

ピンを刺した場所と
心が通信していると
そのことをここに書いている自分が
主張し始める

胸に手を当てても
そこに心の気配はしない

頭の中から
心はここにあると
信号が発せられ
また同じ場所に戻ってくる

心にピンを刺すと
そこから血が出て
辺りを浸す

血は乾いて
かぴかぴになり
心を守ろうとする

私は裸の心に
ぶかぶかの服を着せて
外に連れ出そうとする

パンツが落ちると
心は
中心を隠そうとして
心の中心の中心があることに
みんなは気づいてしまう

2012年12月7日金曜日

ネガディブソングス

この世には
上手くいかないことばかり
100回死んでも
まだ足りぬ
あの世にも
上手くいかないことばかり

毎日は
苦しいことの繰り返し
努力をしても
抜けられぬ
いつまでも
苦しい道が続くだけ

あの人は
きょうも恨んでいるばかり
赦(ゆる)しなんぞは
ありゃしない
あの人は
恨みと愚痴で忙しい

その愛は
いつまでたっても後ろ向き
愛しい人を
苦しめる
その愛は
身勝手 意地悪 隙(すき)だらけ


2012年12月6日木曜日

未来のこども

あしたはなにするの?
あしたは今日と同じこと
あさってはなにするの?
あさっては先週と同じこと

先月はなにしてたの?
先月は去年と同じこと
来年はなにするの?
来年はきのうと同じこと

そうして百年目の満月を
未来のこどもが眺めてる

2012年12月5日水曜日

おととしの今日書いた詩

プレゼント

 
2010/12/05

冬の暖かい日差しの中で
夢を見たわ

どこからが夢で
どこまでが空想だったか
わからないの

冬の街を雨が通りすぎ
珍しく虹が掛かったの
そして
いつまでも消えずにいた

白いカーテンの揺れる部屋で
あなたは風がいいねと言って
ほほえみかけてくれた
私は
そう?
とわざとそっけなくした

それからあなたに
プレゼントの箱を手渡したわ
あなたは私の肩を抱き寄せて
いつもの挨拶のキスをした

夜がきて
朝がきて
沢山仕事をした
友達とお酒を飲み
旅行にも行った
ネイルも何度も塗りかさね
それと同じくらい嘘もついた

気づくと
いつもの場所の
古びた椅子にすわっていて
目覚めていたけれど
いつ
眼をあけたのか
もう忘れていたの

しのきすとあのき

けっとんぴー
すきりあふ あぁーまり
きりるまたべ しれそこ

ろぬかせらのさしくみち
しいわありこみそつれいのち

よいこはり はりせしずみちと
くるしいかずごけらくぱく  ぬわいらせす

しにら りけん すうほたろつろけ
みくならたぬふゆうみしれと

けっとんぴー
たむけめそうあま しのて
けりししまいの まちあかり
ぬと やちくそさへ しらまたほ

けっとんぴー
ていてすらりくあ ずんとこし

2012年12月4日火曜日

円形の駐車場

中腹に円形の駐車場があり
自殺者がよく訪れる
やや下にある砂利が敷き詰められている
広大な四角い駐車場は
開業以来満車になったことがない

人々が駐車場を訪れる理由は
四角い駐車場の国道側にできた施設を
訪れるためだが
フェスティバルが行われる日などは
誘導員が数百名も出て
駐車スペースに車を導いている

円形の駐車場への道は
行き違えないほど狭く
看板も立っていない
到着すると外周の道を回りながら
駐車スペースを探すことになるが
その道沿いにあるスペースは限られていて
13台停まるのがやっとだ
この駐車場には13台しか停まれない

ある夜
彼がやってきたときには既に6台が停まっていた
彼は外周を回りながら停車位置を選ぼうとしていた

駐車位置は円形に配置されているので
その内側には駐車できず
ただの芝生の広場になっている
6時の方向から入り右回りにぬ12を過ぎ
5時の位置に来たとき
1時の方向の車の中に母と子がいるのが視えた
母は子供と無理心中しようとしていたが
子供はビー玉が一つ床に落ちて見つからなくなったと
シートの下をしきりに覗き込んでいた

6時の方向の車には
やはり別の母と子が乗っていたが
この母は
子供を刺し殺すタイミングを計っていた
刺し殺した後
車ごと置き去りにして
逃げ帰ろうと考えていた

彼は円周をもう一周して
4時の位置に車を停めた

死へ向かう密度がこれほど高い場所に来たのは
初めてだった

下の駐車場は
きのうの雨でぬかるんでいる
ここは
木の上の月の景色が見渡せる場所
誰も円の中心へと入っていくことはない
一握りの人同士ががにらみあい
その行状を見届けられる唯一の場所

2012年12月3日月曜日

そわそわしちゃう

そわそわしちゃう
やさしくてすき

たったかはしる
たのしくてすき

じっとりみてる
いろけがあるね

くっきりはなす
わたしはできぬ

しらじらあける
よあけはきれい

しんしんひえる
さむざむこごえ

あなたがいれば
ぬくぬくゆるむ

いないとこまる
そわそわしちゃう


2012年12月2日日曜日

甘えん坊さんの巨塔

甘えん坊さん
彼女はたまに自分の言っていることがわからない
かきくけこ

口をついて出た言葉の意味を理解するまえに
次の言葉を発してしまうから
おまけに相手がややこしいことや
どうでもいいことを
長ったらしく語りかけてくるから

パニックだ
さしすせそ
差し詰めすし詰めだ

白いニットの胸の膨らみの前で
手を合わせ
体を揺すりながら
眼は焦点を結ばない

小さな噴水から
ちょろちょろと
白い水が漏れる

四つ葉の残り一枚
バターケースのなかの
少し残ったバターが
味方だよ

探せばほかにも!
浦島太郎の玉手箱の中
まみむめも
マリモの中心部
彼女の中心部で
息づいている
脳みそ色の巨塔

2012年12月1日土曜日

あたたかい私信

いま、山手線で向かっています。
あと、三十分くらいです。
おでんは食べないでください。
昨日はごめんね。
殺したのは、あなたじゃなく私かもね。
反省しました。
最近、ちょっと行き違いが多いけど、これから良くなると思っています。

ミーナにエサあげましたか。
共食いする夢みちゃいました。

月がきれいだね。
明日は、郡山行くよ。
朝、東京駅で下田さんと待ち合わせした。

いいポスター、できるといいな。

じゃ^ - ^