2012年2月9日木曜日

あいつ

初めて会ったばかりのあいつと
喧嘩がはじまりそうだ
コテンパンにしてやりたい
ぐうの音もでないほどに

間合いなど取らず
事情などお構いなしに
いますぐにやっつけたい

何かを言おうとしたら
間髪入れずに口を塞いで
そのまま倒してやるつもりだ

なんという挑発的な眼つきだ
こちらも負けじと睨み返すが
眼力に押されてしまう

まだ刃を交えてないというのに
汗が出てくる
もんどり打って知能作戦へ!
気持ちを萎えさせる一打を
打ち出す

駄目だ
繰り返し攻めても
利いているか
確かめられそうもない

何かいい手はないのか
いっそ味方に引き入れて仕舞ってはどうか
愛で包んだふりをして
泳がしてみては

いつかこの世を去るまで
味方を演じきる
いつもそばにいて
愛の台詞をささやく
寄り添って
監視する

そしてやがて死が訪れ
もう睨み合うこともできなくなった時
木の箱に閉じ込めて焼いてしまうのだ
火の中にくべて
骨だけを残して
きれいに燃え尽きるまで

いや
私の中に
燃え尽きた闘志も残して

2012年2月8日水曜日

ギフトショーに詩のデザイン商品出品!

名前も知らないで

名前も知らない
けれど
その笑顔を知っている

何度でも
再生して
自分だけのスクリーンで
見ることができる

青い波の上を行く
白い綺麗なヨットのように
あなたは揺れている

私も合わせて
左右に揺れる

そのとき
2人は互いに静止している
揺れているのは世界のほうだと
そう思えてくる

何と都合のいいイメージなのかと言われても
もう二人は立ち去っていて
地平線の彼方へと歩いてる
リュックには
二十億光年の孤独
などという詩集が入っていたりして
ちっとも孤独じゃない私たちは
やがて長い旅を終えて
最初に会った場所まで戻ってくる

そうしておもむろに尋ねる
名前を教えてもらえませんか?

もう誰もいなくなったその場所で
蛇足のように

2012年2月7日火曜日

北京の時計

捨ててくるはずだった
いま
東京の机の上にある
北京の時計
コンビニで買った

時刻は1時を示している
東京の時刻は10時50分だから
時計は狂っている

今北京は9時50分の筈

だが
時刻を合わせる気持ちになれない

いつ
こんなにずれてしまったのか
帰国してまだ2か月も経っていない

いつ
狂ってしまったのか

平気な顔して暮らしている
自分

2012年2月6日月曜日

血まなこのなまこ

だれかをやっつけるために目くじら立てなくていい
そのだれかは
あなたより幸せですか
あなたの不幸せな部分は
どうすれば消え去るの

だれかが他人の不幸せを抱えて
寒い街角に立っているとして
その誰かはくだらないジョークのジュースを
作っては飲んでいる
くだらないジョークは
栄養たっぷりの飲み物になるのかな

あなたは自分の不幸せを忘れてしまう時があるね
どんな時に忘れるの
忘れている時は幸せなの

幸せってなんだっけ
目くじらが潮を吹いてまた
潜っていったけど
深く潜っていったけど

2012年2月5日日曜日

下手な比喩

ギザギザのところから裂けば
うまくいく筈だった
中身が簡単に取り出せる筈だった
それなのに
うまくいかないなんて

45年の彼の人生のよう

2012年2月4日土曜日

やあ!

手を上げて
やあ!
といいましょう

空気を震わせ
体も揺すって
飛び跳ねましょう

やあ!
と言って
好きな人に声をかけましょう
hugしちゃいましょう
ついでに手を握っちゃいましょう
仲良くしましょう

やあ!
といって
驚きましょう

悪いニュースは
誰かと一緒に
笑い飛ばしましょう
そのあと
10秒だけしんみりしましょう

やあ!

言うが早いか
投げ飛ばしましょう
つまらないあいつは
相手にするより
遠くへ放っちゃいましょう

やあ!
きょうも
なにかを忘れている私

私が元気に生きていく理由
どこかの紙にメモしたが
みつからず
思い出せないときは
勢い良く
気をそらしましょう

なにか思い出せたら
ラッキーです

やあ!

2012年2月3日金曜日

行って行ってロッテリア

ロッテリアにイッテリア
会社帰りに寄ってりや

ミスドで待つど
どうなってるんだ

ドナルドダックはどこなのか
マックに居るのはべつの
ドナルド

ケンタッキーに居タッキー
誰がまじないかけタッキー
ケンタウルスが倦怠期

そんなこと
ロッテリア
言っているなら
怒鳴るど君を

すぐに飛んでくよ
イスタンブール
椅子をたたんで
ブルーに塗っちゃう

券を買い
県をまたいで
県会議員股にかけて
記者会見駆け抜ける
歌のアルバム魔法のランプ
両国ランプ
イッテリア

ロッテリアに
行ってみーや


(あほ あほ)

2012年2月2日木曜日

冷房車なのだろうか

冷房車がやって来た
霊柩車のあとに続いて
雪の降りしきる夜の繁華街
暖房車はやって来ないのか
ダンボールの中で小さな天使とお喋りしながら
あなたは諦めた様子
バスの上に棺桶状の室外機が乗っている
道ゆく人の頭の上には
なにが乗っている?
深夜営業の店
二階の窓から見下ろしていた

また冷房車
また冷房車
また霊柩車

消防車は
熱い炎を消す有閑マダム

2012年2月1日水曜日

薄暗い部屋の窓から 2

どこまでも遠く続いている
青い海を見るたびに
その中にさらさらと溶けいってしまいたいと思った

風があのこたちの胸のリボンを旗めかせ
かすかな花の香りを運んでくるたびに
二度と帰らない旅にでてしまいたいと思った

星がいつもより
綺麗に見えた夜
誰かが私と同じ気持ちでいることが信じられたから
もう生きてきた目的は達成されたと思った

雪は夜の間にいつの間にかやみ
時代遅れの木の窓枠を不器用に化粧している

引き出しの中のパウダーは
彼と友だち
私は
その出会いのために
窓を開ける必要がある