2011年12月14日水曜日

なぜコーヒーフロートのアイスがストロベリーなの?

なんとなくいい感じ

北京の模型を歩く

あなたの客人

あなたは
自分で生きようとしている
私も同じだ

世界もまた
あなたや私を
生かそうとしている

そのような
誰も語ろうとしなくなってしまった
古びた合意が
夜の町にあふれて
ひっそりと佇んでいる

あなたは時どき
その傍らに立って
手招きをする

そこに
引き寄せられるのは
見慣れた普段着の言葉たちだ
これから
詩に仕立てられるのだ

クリスマスが近づいているのに
あなたはいつもと同じ様子だ
むしろ
次の季節の中に入っていこうとしている

あなたは
あなたが作った
クリスマスのことを
思い出す

ワインが招いた
酔いが静かに
迎えにくきている

ちょっと待って!

あなたは
外に向い
声をあげて告げた

あなたの
玄関で待っていたのは
月が落とした影

それは美しい
客人だった

ーーー
谷川俊太郎さんの誕生日に

2011年12月13日火曜日

幸せの顔

幸せになれないよ

あなたは
幸せになれない

なっても
すぐに
不幸になるよ

それに
幸せになっても
気づかないよ きっと

あなたは
幸せの顔を
知らないし
欲深いから

不満をたくさん持っていると
幸せの手を握れない

あなたは
欲望をかかえて
何処までいくの?

心配している人も
そのままにして
息を切らして
なぜそんなに急いで
その山を登るの?

ちょっとくつろぎすぎ?

2011年12月12日月曜日

北京の書店で

12/9 谷川俊太郎さんと田原さんのトークショーのお手伝い。質問者の間をマイクを持って行ったり来たり。楽しかった

未来の日

木の上の方が
明るい緑の葉を風に翻らせて
辺りを見回している
鳥は
木の代弁者として
飛び回っている

あなたは未来の日に
あのときどうしたらよかったのだろう

考えて
いくつもの答えのパズルを繰り返している

未来のことを考えているのに
過去の自分を省みている姿をイメージしてしまうのは
やめられないのだろうか

つよい後悔が足下を覆い
道は見えなくなっているのか

月のない田舎の闇夜より暗い
都会にいるあなたの心の闇

私が掬い出せるのなら
手伝ってあげたい

だが
未来のあなたは
今の私だから
それも無理なことなのだろうか
分からないまま
鳥は
巣に帰って行った

2011年12月11日日曜日

詩の時間

笑顔で別れたあのひとが

いきなり目の前に現れた


 


といっても似ているだけのひと


おまけに二人連れで


とても仲よさそう


 


私はよく見える席に座っていて


二人に見入っている


あっ ビールの泡が


唇の周りに着いているのに


気にせずに見つめ合っている


 


二人は静かに


会話をしている


何を話しているか悟られないようにして


二人の世界を守っているのだろう


 


私はチキンにソースを絡ませて


ココナッツライスと一緒に頬張る


彼女は


煮込んだチキンを箸で割いて


ひとかけらを口に入れる


 


私は大きなベッドの上に横たわった


彼女の足の方から彼女の中心めがけてダイブする


 


彼女は前を見つめて


相手の言葉に相槌を打つが


男は小さな椀に入った麺をすする


 


私は彼女の視線に絡め取られて


言葉を失う


 


勘定を済ませて


歩き始める


2011年12月10日土曜日

ドレミ

笑顔は誰からもらったの
その笑顔で
あなたは
質問する
「なぜ笑っているの?」

わたしは
答えられずに
もう一度笑顔をつくりなおした
だから
二度目の笑顔はにせ物

あなたはもう
わかっているね
あなたは
自分の夢のために熱心で
そのせいで優しい人になっている

わたしはあなたに
「優しい人ね」
といわれたとき
わたしが優しいのは
ほかに何もできないからなのだと
告白できなかった

タイミンクを
逸してね

でも
きょうは
月食の日
おもてには
たくさんの人が集まって
わいわい月食を観たり
写真に撮ったりしながら
この時間を楽しんでいる

月は
優しさがあるのかな
だから
たまには
地球の影に隠れて
太陽に見えないところで
嘘をついてみたいのかな

でも
私たちが観ているのにね