2011年11月10日木曜日

愛する人に

本当のことを教えてくれた人は
何食わぬ顔をして
誰かと話を続けている

本当のことを教えてくれて
ありがとう
私は何も持っていないけれど
あなたの荷物を持つことはできる

2011年11月9日水曜日

夢をみた

夢をみた
また続きがみたいと思った
でも
いつまでまっても
その続きは
みられなかった

夢をみた
もう二度とみたくない夢だった
でも
目を覚ますことが
できなかった

2011年11月8日火曜日

一番大事なもの

一番大事なものは何ですか
と 問われて
まじめに悩んだ
いつもそうである
一番大事なものなんて
あるのだろうか
そうやって
考え始めたら
いろんな大事なものが頭の中に現れては
こちらをキッとにらんで
消えていった
いつの間にか
日は暮れ
空には星が出ていた
幼いころと同じように
輝いて
そして
突然気づいたのだ
そんなことを
考えるのは
とても窮屈だということに
そして
一番大事なものが
見つかった

2011年11月7日月曜日

鈴木さん

授業が終わって

急いで塾に来た

鈴木さんはまだ来ていない

蛍光灯がまぶしい

 

鈴木さんは

ほかにいないような

清楚で色気の在る人だ

白いブラウスが蛍光灯の光で

輝く

うっすらと肌が透けて見える

 

鈴木さんの後ろに座るとき

心は膨張して

ほとんど鈴木さんに吸い取られる

 

授業の先生の声がたまに遠のき

森の中で

花の香りを嗅ぎ

小雨に打たれる

 

おしゃべりするみんなの声は

風の音

葉っぱがざわめき

空に雲が流れる

 

さようなら

鈴木さん

なにもいわないまま

あなたとは

ずっと会わなくなった

いまもどこかにいるのだろうか

それとも

幻のように

消えてしまったのか

 

2011年11月6日日曜日

あいつ

なまけもので

おっちょこちょい

ねぼすけで

くいしんぼう

こわがりで

ずるがしこい

おひとよしで

うたぐりぶかい

くわずぎらいの

ひゃっかんでぶ

なきむしけむし

ひとまねばかり

よくばりのごうじょっぱり

がんこでのんき

 

どこかにくめない

あいつは

きのう

しんじゃった

 
 
 
なにぬねの
さいきん ちょっと
なにぬねの
めっきり 元気が なくなった
なにぬねの
夜空の月は 変わらない
それは気のせい 
わからない
なにぬねの
どうでもいいこと
なにぬねの

2011年11月5日土曜日

なにもかも

なにもかもうまいくなんていうことはないのに、

なにもかもうまくいけばいいなとおもう。

なにもかもうまくいかないとおもっているひとは

なにもかもうまくいくことより

ほんとうはなにもかもうまくいかないことをのぞんでいるから

なにもかもうまくいかないことにまんぞくしている

というのは

わたしのしゅかんだが

わざわざそういうのは

ほんとうはきゃっかんてきじじつだとおもっているからであり

ちせいあるわたくしのそんざいをこうていしたいためで

なにもかもうまくいかないことにまんぞくしているひとと

たいさない

そのひとはわたしであり

わたしはそのひとである

なにもかもうまくいくひとと

なにもかもうまくいかないひとは

そうじけいでありいっしょである

なにもかもうまくいったときに

なにもかもをうしない

なにもかもうまくいかなかったときに

なにもかもをてにする

なにもかもはすべてであり

すべてであるものは

無である


 

*
ma167@hotmail.co.jp  

2011年11月4日金曜日

愛していると言えなくなっても

愛しているといえなくなったのは
本当に愛し始めたからだと
認めたくなくて
ふてくされて
11月のテラスで
アイスミルクティーを飲んでいる

風が吹くと
身を縮こめなければ
寒さを追いやれない
愛しているといえない自分は
つぼみを閉じているようだと思う
音楽を聞かせても映画を見せても
わずかに視線を動かすだけだ

愛する人は
目の前にはいない
愛する人は
気軽にメールしてくるけれど
ちっともうれしくなんかない

私は
愛していると いつか
言いたいんだ
愛しくれないあの人に
言いたいんだ

2011年11月3日木曜日

金魚には悪いけど

かばんの中にあった
ペットボトルのふたが取れて
底に水がたまっていた
たまった水の中で
教科書が
悲鳴を上げていた

教科書に載っていた
金魚が
逃げ出してしまったらしい

でも
大丈夫
僕は余裕で笑って見せた
金魚はかばんのなかから逃げられない

部屋に戻ったら
乾かして
また
本の一ページに
貼り付けよう

なかったことのように
せっかく逃げた
金魚には悪いけど

2011年11月2日水曜日

学校

黄色く色づいたいちょう並木が
慌てて飛び出した僕の目に入ったとき
慌てていた理由も忘れて
なぜか走り出さずにはいられなかった

どこに行くのかはっきりしないけれど
もう 思うままに
走り出していた
そんなに速く走っている訳ではないが
心は滑るように先走った

人が大勢
反対側から歩いてきたので
流れに逆らいながら
走っていった

どこまでも走っていった
息を切らしても
止まることはなかった

やがて
月がぼんやりと僕を見下ろし
黄色い葉っぱは
ますます黄色くなっていった

頭に
葉っぱが二枚落ちてきて
僕ははっとした
葉っぱに頭を触られたのは
いつ以来だろう

思い出すことができない
僕があのひとの頭の上に
落ちて
触ったときの感触も

2011年11月1日火曜日

パンダ娘とは呼ばないけれど

黒い帽子をかぶった鳥が居て
ぼくはパンダ鳥とよんでいる

白い鳥で
頭の部分だけ
帽子をかぶったように見える

鳥パンダに
教えてあげたい

そういえば
あのこもそうだ
パンダ娘とは
呼ばないけれどね

あっ
そういえば
ぼくも