2011年11月6日日曜日

あいつ

なまけもので

おっちょこちょい

ねぼすけで

くいしんぼう

こわがりで

ずるがしこい

おひとよしで

うたぐりぶかい

くわずぎらいの

ひゃっかんでぶ

なきむしけむし

ひとまねばかり

よくばりのごうじょっぱり

がんこでのんき

 

どこかにくめない

あいつは

きのう

しんじゃった

 
 
 
なにぬねの
さいきん ちょっと
なにぬねの
めっきり 元気が なくなった
なにぬねの
夜空の月は 変わらない
それは気のせい 
わからない
なにぬねの
どうでもいいこと
なにぬねの

2011年11月5日土曜日

なにもかも

なにもかもうまいくなんていうことはないのに、

なにもかもうまくいけばいいなとおもう。

なにもかもうまくいかないとおもっているひとは

なにもかもうまくいくことより

ほんとうはなにもかもうまくいかないことをのぞんでいるから

なにもかもうまくいかないことにまんぞくしている

というのは

わたしのしゅかんだが

わざわざそういうのは

ほんとうはきゃっかんてきじじつだとおもっているからであり

ちせいあるわたくしのそんざいをこうていしたいためで

なにもかもうまくいかないことにまんぞくしているひとと

たいさない

そのひとはわたしであり

わたしはそのひとである

なにもかもうまくいくひとと

なにもかもうまくいかないひとは

そうじけいでありいっしょである

なにもかもうまくいったときに

なにもかもをうしない

なにもかもうまくいかなかったときに

なにもかもをてにする

なにもかもはすべてであり

すべてであるものは

無である


 

*
ma167@hotmail.co.jp  

2011年11月4日金曜日

愛していると言えなくなっても

愛しているといえなくなったのは
本当に愛し始めたからだと
認めたくなくて
ふてくされて
11月のテラスで
アイスミルクティーを飲んでいる

風が吹くと
身を縮こめなければ
寒さを追いやれない
愛しているといえない自分は
つぼみを閉じているようだと思う
音楽を聞かせても映画を見せても
わずかに視線を動かすだけだ

愛する人は
目の前にはいない
愛する人は
気軽にメールしてくるけれど
ちっともうれしくなんかない

私は
愛していると いつか
言いたいんだ
愛しくれないあの人に
言いたいんだ

2011年11月3日木曜日

金魚には悪いけど

かばんの中にあった
ペットボトルのふたが取れて
底に水がたまっていた
たまった水の中で
教科書が
悲鳴を上げていた

教科書に載っていた
金魚が
逃げ出してしまったらしい

でも
大丈夫
僕は余裕で笑って見せた
金魚はかばんのなかから逃げられない

部屋に戻ったら
乾かして
また
本の一ページに
貼り付けよう

なかったことのように
せっかく逃げた
金魚には悪いけど

2011年11月2日水曜日

学校

黄色く色づいたいちょう並木が
慌てて飛び出した僕の目に入ったとき
慌てていた理由も忘れて
なぜか走り出さずにはいられなかった

どこに行くのかはっきりしないけれど
もう 思うままに
走り出していた
そんなに速く走っている訳ではないが
心は滑るように先走った

人が大勢
反対側から歩いてきたので
流れに逆らいながら
走っていった

どこまでも走っていった
息を切らしても
止まることはなかった

やがて
月がぼんやりと僕を見下ろし
黄色い葉っぱは
ますます黄色くなっていった

頭に
葉っぱが二枚落ちてきて
僕ははっとした
葉っぱに頭を触られたのは
いつ以来だろう

思い出すことができない
僕があのひとの頭の上に
落ちて
触ったときの感触も

2011年11月1日火曜日

パンダ娘とは呼ばないけれど

黒い帽子をかぶった鳥が居て
ぼくはパンダ鳥とよんでいる

白い鳥で
頭の部分だけ
帽子をかぶったように見える

鳥パンダに
教えてあげたい

そういえば
あのこもそうだ
パンダ娘とは
呼ばないけれどね

あっ
そういえば
ぼくも

2011年10月31日月曜日

じんせいは わからない

よいことをして
わるいこともして
よくもわるくもないことをして
どちらかわからないことをして
おとなになった

おとなになっても
よいことをして
よくないことをして
どちらかわからないことをして
ろうじんになった

じんせいは
むずかしい
じんせいは
おもしろくて
つまらない
あくびをしたら
しかられる

しかったひとも
あくびをしてる

2011年10月30日日曜日

寒い季節がやってくると

寒い季節がやってくると
コタツにいた猫が
黒焦げになって
塀の上を歩いている

寒い季節がやってくると
落ち葉に隠した
木の葉のお金が
白い煙を出しながら
小さな炎を灯して燃えてしまう

寒い季節がやってくると
散歩に行くのがいやになり
ついでに
愛する人を
迎えに行くのもいやになる

寒い季節がやってくると
寒がりのあなたが
暖をもとめてあいつに寄りそい
いつまでまっても
帰ってこない

2011年10月29日土曜日

試合

あなたは私の様子を窺って

質問の玉を打ち込んでくる

わたしは

しどろもどろになるが

必死にこらえて体勢をつくり

その玉を打ち返す

 

うまく打ち返せることもあれば

そうでないときもある

フェンスを越えて

通りがかりの人に拾ってもらうことも

しばしばだ

 

それでもあなたは

不意をついて

質問を打ち込んでくる

剛速球の質問は

打ち返すことができずに

地面にバウンドして

快音を立て後ろに流れていく

 

あなたはびくともしない

笑っているのか泣いているのか

なんともないのかさえ分からない

 

星屑が暗くなった空から

降ってくる

月がやさしく灯っている

 

あなたは

私を近づけない

あなは

私が近づくのを恐れながら

誰かを待っている

 

2011年10月28日金曜日

愛の練習

わたしはあなたをあいしています
中国人のえんこんさんが
食事時に
中国人のしゃおりいと
しゃおちょんに
日本語を教えている
さっきからなんども繰り返している
わたしはあなたをあいしています
ふたりは覚えるのに必死だ
わたしはあなたをあいしています
僕はすこしはなれた席で
それを聴いて頷いている
ふたりの発音はなかなかうまい
真剣にゆっくりと
一音ずつ発音するので
彼女たちの知らぬまに
愛が言葉に飛び乗ってやってきそうだ
それはたぶん
やっかいだ
愛がやってきたら
急いで窓を閉めるか
とりあえずソファに座らせて
どうするか考えなくてはならない
あなたはわたしをあいしていますか
こんどは疑問形が
僕の愛を探りに来た
隠さなければ
すき
不意打ちで
省略形もやってきた
すきですか
すきです
きらいですか
すきです
私は
窓を開けたり閉めたり
考えたり
忙しい
わたしはあなたをあいしていますか
おっと
これはむずかしい
はい
たぶん
あなたは私を愛しています