2014年6月1日日曜日

泣いている人

泣いている人がいる
泣いている人は
泣きながらどこかへ行こうとしている

泣いている人は
自分の涙に濡れている

濡れていない場所が
濡れている場所を際立たせるので
もっと全体が
濡れたらいいと思う

どこかで
川が流れて その音が
泣いている人のうめき声を隠す
さらには
船を漕ぐ音が
泣いている人をせきたてては
打ち消す
それを 繰り返している

泣いている人は
泣きながら何かをしようとしている

自分の涙に濡れながら
その涙を
曇り空へ
蒸発させながら


2014年5月30日金曜日

待つ人

待つ人の気持ちは同じ

あなたは言った
待つ人の気持ちは同じだ と

本当に そうだろうか
待っていないあなたに
何がわかるというのだろう


待つ人は
見渡すかぎりの広い海を
漂っているよう

待つ人は
話したいことを心の奥に仕舞いこんで
確かめているよう

待つ人の気持ちは同じ

あなたは言ったけど
あなたは
待ったことがない
私はいつも
先にいるから
あなたが来るだろう場所に





2014年5月28日水曜日

なやみすぎて

なやんで なやんで
なやみすぎて
なにがなんだか わからないけど

ひとつのこたえ
もうひとつのこたえ
どちらでもいいと
おもいました

でも また
なやんで なやんで
なやみすぎて
もうひとつ    こたえが
でてきてしまいました

あれ
もうじかんぎれ
どうしよましょう

こたえがでないから
あきらめましょう

2014年5月27日火曜日

好きな人に会って

座布団を床において
古びた毛布を体に巻き付けて眠る人

私はそれを横目に
今から会う恋人に電話しようとしている

きのうは別の人と箱根の住宅地を歩きまわっていた

何度も電話をかけ直すが
繋がらない
雨のせいではないだろう

強い雨が先程から降り始め
側溝はあふれ始めている

テレビが警戒警報を告げる
座布団の人は
もう眠ってしまったのだろうか

家に帰って眠ればいいものを
タクシー代を惜しんで
店の床に寝ているのだ

女郎花の花が
店先で香っていた
私はなんとしても
好きな人に会って
この夜を
やり過ごさなくてはならない


2014年5月26日月曜日

貝殻と 私

砂浜に 埋めた 貝殻が
夢見て 
私の 夢の中で
一緒になりました

波の音 と
朝焼けが 二人を
包んで います


貝殻と 私とは
いつか 愛しあったのでしょうか
きっと
そうに きまっています

2014年5月25日日曜日

よわいあなたをまもるために

よわいあなたをまもるために
わたしもよわくなりましょう
これでふたりはおんなじです

こわいゆめにおそわれるひは
こわいことをたくらみましょう
これできれめはありません

しろいきりがたちこめたなら
しろいふくででかけましょう
きりのなかでいきたえるでしょう

2014年5月24日土曜日

あいたいけれど

あいにいきたいけど
あいたくない
あいたくないけど
あいにいきたい

あいたいけれど
あうときっとドキドキする
ドキドキするから
あいにいきたくない

だけど
あっちゃった
あいにいくとちゅうで
あっちゃった

あってよかった
あわないなんてかんがえられない
いつかも
こんなことがあった
あれはずっとむかし
だけど
おんなじきもち
あいたいけれど
あいたくないきもち

2014年5月23日金曜日

たねはおどる

ふっさふっさ
ふわふわ
たねをうえました
ジョウロでみずをあげて
すきなうたをうたいました

ちかちか
きんきん
ほしがでて
つちをしずかにてらしたら
たねがかおをだしました

ふっさふっさ
ふわふわ

ちかちか
きんきん


2014年5月22日木曜日

さびしいよるは

さびしいよるは
さびしさをともだちにして
ねずにかたろう
ちいさなことばで

さびしいよるは
いつかまたやってくる
そのときがきたら
おかえり って

いってみようか




2014年5月20日火曜日

究極のディナー *「美味しんぼ」を意識してしまった(汗)

・パルマ産生ハム
・イタリア産サラミ2種
・自家製コッパ
・たっぷり野菜のカポナータ
・かぼちゃのスフォルマート
・ロシア風ポテトサラダ
・ロメインレタスのシーザーサラダ
・マグロのカルパッチョ
・ガーリックトースト
・季節の温野菜 バーニャカウダソース
・鶏肉のローマ風煮込み
・本日のパスタ

美味しそうな食事はいらない
あなたさえいてくれれば

そして
笑顔をこぼしながら食事している恋人たちを
レストランのウインドウ越しにながめて
街路樹がざわめく星空の下
この季節の香りで胸を満たそう

そこには
お互いの香りが混ざっている
これが私達の究極のディナー