2014年3月24日月曜日

ぼくの頭に巣をつくって

ぼくの頭に巣をつくって
鳥が住みついた
朝から賑やかでしょうがない

友達は
うらやましいという
いい効果音だね とも
ぼくがなにを考えているっていうんだ

そうか
蒼い空に
なにか忘れ物をしてきたっていう
あの 詩人が言っていたやつ?

鳥は巣を出て行ったり
戻って来たり
おい そこでなにか食べるのは
やめてくれないか

人の悩みなんて
こっけいだね なんて
どこかでうわさ話してきたのかい?

ほら
月がのぼってきたら
もう おやすみ
あしたはぼくが

たたきおこしてあげる

2014年3月23日日曜日

樋口くん 結婚の日に

なぜか光ってるね
樋口くん
なぜ光ってるんだろう
樋口くんの顔
なぜか光ってる
樋口くんの目

なぜか目立っているね
樋口くんの筋肉
なぜか少し変だね
樋口くんの話
なぜか面白いね
樋口くんといると

樋口くんは
見ているね
人やものごとを
樋口くんは動じないね
ちょっとのことでは
樋口くんは
何が好きなの
樋口くんが好きなもの
変わってるよね

なぜか人が寄ってくるよね
樋口くん
なぜかいい仕事をするね
樋口くん
なぜかひとを驚かせる
樋口くん

人生の晴れ舞台ってどんな気分?
わりといいせんいけちゃってる
なんて
思ってる?
きょうはおめでたいね

みんなが驚き
ほっとして
うらやましくなり
自分も頑張らなくちゃって
思ってるよ
そして樋口くんから
幸せのおすそ分けをもらって
案外 いつも
もらってばかりだな
なんて 思ってる

樋口くんはそんな人
いつも
与えてもらうような顔をして
なにかを
与えてくれる人

ありがとう
お礼を言いたいことに
いま 気づいた
でも
あんまりイイキになるなよ

2014年3月21日金曜日

封筒

封筒の中に
何が入っているのか
思い出せない

それは
見たことがある
よく知っている封筒

封が外れかかっている
でも
凛とした封筒

誰が何をいついれたのか
分からない
それを誰が知っているかも
忘れてしまった

でも
ここにある 封筒
私がここに来る前から
ここにあった

静止した風が
出てきたがっているかも
知るよしもない
隣人に不利な何かが
入っているのか
信心深い人を喜ばす何かが
入っているのか

見ていると
目眩さえしてくる
四角く視界をふ塞ぎ
静かにたたずむ
封筒

2014年3月20日木曜日

あなたは きっと 帰ってこない

いつもあなたがいたキッチンに いまも
あなたがいるような気がして
見てしまう 何度も

でも そこに あなたはいない

いつもあなたに注意された 悪いくせ
あなたに見られたようなきがして
ハッとして 振り向く

でも そこに あなたはいない

あなたは ほんとうに
いなくなってしまった
どこかへ いってしまった

私は あなたを
待つことはできない
あなたは
帰ってこない

あなたの気配を
まって
生きていくだけ

2014年3月19日水曜日

よごれたおとなには ぜったいならない

ゆきだるまが
おこっていたのは
つくったひとに
みすてられたから

ゆきだるまだって
ずっと
おもっていてほしい
つくったひとに

そんなこと
ぼくにだって
わかる

つくったのは
おとな
せけんをわたり
よごれてしまった
おとな

ゆきだるまは
おしえてくれた
あんなおとなに
なっちゃいけないと

ぜったいならないよ
ぼくは
つくったものをだいじにする
おとなになる

あんな
よごれたおとなには
ぜったいならない
そして
よごれたおとなに
いつも
きみのことを
はなしてあげたい

帰り道が待っている

帰り道が待っている
少し表情を暗くして

帰り道に足を踏み入れる
来たときの足跡をチラ見して

帰り道は家へとつづく
それはいつも変わらない真実

帰り道で寄り道しても
また帰り道に組み込まれる

帰り道を逆に歩いて
帰らない勇気はまだない

いつも帰り道が待っている
凡庸が顔を現す
けれども すがりつきたい毎日がある

2014年3月18日火曜日

わごむ いいきぶん

わごむひいて
あのこのせなか
ねらってあてる
ごめんね あてて

てくびにはめて
ちをせきとめる
だれかにじまん
したくって

たくさんつなげ
ごむとびしよう
ぱんつのごむも
ひきいれて

こわれたふたを
わごむでとめて
がっこうへいく
いいきぶん

2014年3月17日月曜日

Lover

むっつりがおが
かわいいね
おこったしぐさが
しんせんだ
ほおづえついても
えになるね
ないてすがるの?
スヌーピーに

あっさりしてて
さびしいよ
だまったままは
かなしいな
わらうのこらえて
おこりがお
あまのじゃくだね
マイ・ダーリン

2014年3月16日日曜日

そのときもきみは

私が疲れて帰ってきて表紙をひらいても
きみはため息をつかない
居住まいを正して
八百屋がトマトやごぼうやレタスを並べるように
活字を並べている

きみは愚痴を言わず
飽きることもなく
同じ話を
どこからでも
話してくれる

だがきみは 表紙を閉じると
話すのをやめてしまう
その表紙を誰かが開けてくれるのを
ひたすら待っているだけだ

この家にやって来たとき
きみは私のかたわらで
幸せそうにしていた
私の不幸と釣り合って
私に居場所を支えてくれた

私はきみに何ができただろう
愛を注いだことはあったが
旧い昔の恋人のように
思い出の中にしまい込み
たまに取り出してみるだけだった

そして
きみのページの間に
映画の半券をはさみ
どんよりと雲がたれ込めた日に
きみをテーブルの上に投げつけた

そのときもきみは
怒りもせず
ただ表紙を再びあけてくれるのを
待っているだけだった

2014年3月14日金曜日

くやしいときは

くやしいときは
なみだかくして
おおきなこえで
わらうのさ

くるしいときは
そとにとびでて
だいすきなもの
にらむのさ

さびしいときは
あまえたことば
きいてもらおう
ののはなに