きょうは、谷川俊太郎さんの誕生日。毎年それを祝い詩を書くのですが、
この詩は違います。
しにゆくひとは
しにゆくひとは
すんでいる
にごりすぎて
すみわたる
みなもになにかをなげいれても
なみはたたず
なにもかもをしまいこむだけ
おともきこえてこない
この世でノイズを聴きすぎたので
もう音はたたない
ただかすかな色彩が
ゆうぐれて
漂ってくる
しにゆくひとは
方向音痴になっていく
三半規管も不要であるから
回路を切ったのだろう
走馬灯のようなおもいでが
走馬灯のように回る
意味が重なってしつこくなっても
意味は無意味に行きついたので
自由だ
しにゆく人が
死にゆきつくまで
あとどのくらい時間があるのか
答える神様はいない
死にゆく人は
死にゆく人になりきり
世間をつんざいて
血潮で線を描く
道に喩えることができる
無粋な比喩は
苦いくすりのように
何かに効き目がある
とは
言えないだろう
2013年12月15日日曜日
2013年12月14日土曜日
奇跡というもの
奇跡は何食わぬ顔をして
あんパンを食べている
ところで
そのあんはうぐいす色であった
奇跡はハッとして
帽子に手をやった
鳥のフンかとおもいきや
なんと金貨だった
奇跡は青空に
軌跡を描いて
行くべき道を
教えてくれたこともある
奇跡なんか起きたことがない
と言っている人がいるが
なんと滑稽なのだろう
気づかないなんて
☆蛇足
(奇跡はあまりに
ありがたがられるので
ありふれた格好で
ドアががたっと開くの待っている
ドアが開いたら
やさしい日差しが
あるいは
微かな風邪が
頬に触れるだろう
そのとき・・・・)
あんパンを食べている
ところで
そのあんはうぐいす色であった
帽子に手をやった
鳥のフンかとおもいきや
なんと金貨だった
軌跡を描いて
行くべき道を
教えてくれたこともある
と言っている人がいるが
なんと滑稽なのだろう
気づかないなんて
ありがたがられるので
ありふれた格好で
ドアががたっと開くの待っている
やさしい日差しが
あるいは
微かな風邪が
頬に触れるだろう
そのとき・・・・)
2013年12月13日金曜日
ほしいものができたら
ほしいものができた
買うことはできない
ほしいもののことを
ずっと考えている
ほしいものは変わらずに
そこにある
私は少しずす変わっていっていて
ほしいものは
気配を変えない
落ち着いている
瞑想しているのだろうか
あるいは眠っているのか
私の瞼は重たくなってくる
私はその場所から姿を消す
夢のなかでは
知り合いの女が
腹から血を流してもがいている
近くにその元恋人が立って
真っ二つに割れたiPadで
病院を検索していたがその過程で
ほしいものをみつけ
そちらに夢中になってしまっているようだ
私は女に
大丈夫だからと言って
女のことを気遣いつつ
助けたいと願った
私はこの女をほしいと思うと同時に
ほしいものリストに追加した
買うことはできない
ほしいもののことを
ずっと考えている
ほしいものは変わらずに
そこにある
私は少しずす変わっていっていて
ほしいものは
気配を変えない
落ち着いている
瞑想しているのだろうか
あるいは眠っているのか
私の瞼は重たくなってくる
私はその場所から姿を消す
夢のなかでは
知り合いの女が
腹から血を流してもがいている
近くにその元恋人が立って
真っ二つに割れたiPadで
病院を検索していたがその過程で
ほしいものをみつけ
そちらに夢中になってしまっているようだ
私は女に
大丈夫だからと言って
女のことを気遣いつつ
助けたいと願った
私はこの女をほしいと思うと同時に
ほしいものリストに追加した
2013年12月12日木曜日
あなたがこのよにうまれて
あなたがこのよにうまれて
よろこんだひとはいたが
かなしんだひとはいなかった
あなたがかなしみのなかにいるとき
くうきはバリアをつくって
あなたをまもろうとした
あなたがこのよにうまれて
やがてあなたはめをひらき
うつくしいものをみた
いいかおりをかいだ
それはあなただけのものだ
いま
まちにながれはじめたおんがくも
よくきいてみるといい
それは
あなたのためだけに
かなでられている
おんがくだ
と
わたしはおもっている
よろこんだひとはいたが
かなしんだひとはいなかった
くうきはバリアをつくって
あなたをまもろうとした
やがてあなたはめをひらき
うつくしいものをみた
いいかおりをかいだ
いま
まちにながれはじめたおんがくも
よくきいてみるといい
それは
あなたのためだけに
かなでられている
おんがくだ
と
わたしはおもっている
2013年12月11日水曜日
花をだいていた女の子
はなをだいていた
おんなのこ
いつのまにか
じぶんも
おはなになっていました
みんながくちぐちに
きれいだと
いいました
はなをだいていた
おんなのこ
かれていく
おはなも
だいじにしました
みんながくちぐちに
あわれだと
いいあいました
はなをだいていた
おんなのこ
じぶんは
きれいじゃないと
ないていました
みんなはくちをつぐんで
ひとことも
こえをかけませんでした
はなをだいていた
おんなのこ
かれしが
きれいだよと
まいにちきすをしました
みんなはくちぐちに
おにあいだと
いいました
はなをだいていた
おんなのこ
はなの
たねを
まきました
みんなはどんなはなが
さくのか
めをとじてかんがえました
おんなのこ
いつのまにか
じぶんも
おはなになっていました
みんながくちぐちに
きれいだと
いいました
はなをだいていた
おんなのこ
かれていく
おはなも
だいじにしました
みんながくちぐちに
あわれだと
いいあいました
はなをだいていた
おんなのこ
じぶんは
きれいじゃないと
ないていました
みんなはくちをつぐんで
ひとことも
こえをかけませんでした
はなをだいていた
おんなのこ
かれしが
きれいだよと
まいにちきすをしました
みんなはくちぐちに
おにあいだと
いいました
はなをだいていた
おんなのこ
はなの
たねを
まきました
みんなはどんなはなが
さくのか
めをとじてかんがえました
2013年12月10日火曜日
だからとにかく
こそこそと
みちのはじをあるけば
どろみずにはまり
こえをたてずに
ちかづくとちゅうで
ころんでたおれ
みようとすれば
そこにはもうなく
さわったときには
やけどしたっけ
のぼっていくと
みちはなく
くだっていけば
がけからおちた
わたしはさいきんこんなぐあい
だからとにかく
だいじょうぶ
みちのはじをあるけば
どろみずにはまり
こえをたてずに
ちかづくとちゅうで
ころんでたおれ
みようとすれば
そこにはもうなく
さわったときには
やけどしたっけ
のぼっていくと
みちはなく
くだっていけば
がけからおちた
わたしはさいきんこんなぐあい
だからとにかく
だいじょうぶ
2013年12月9日月曜日
本物
コンサートが終わり
一つの家族が薄暗い道を歩いている
命のかたまり
音楽はしつけ糸
靴はクッション
まとったユニクロのウルトラライトダウンは
隠し事を欺く
足取りは恋心の成れの果て
夜の星空は
寒い風に散る涙を映した偽物
一つの家族が薄暗い道を歩いている
命のかたまり
音楽はしつけ糸
靴はクッション
まとったユニクロのウルトラライトダウンは
隠し事を欺く
足取りは恋心の成れの果て
夜の星空は
寒い風に散る涙を映した偽物
2013年12月8日日曜日
ゆらゆらゆれて
ゆらゆら
ゆれています
ふらふら
しています
うごくもののうえ
かわりゆくかたち
うまれてくるもの
きえさってゆくもの
ゆらゆら
ゆれています
ふらふら
しています
ゆらゆらゆれる
しんきろうのまどから
みわたします
せかいは
やはりゆらゆらゆれて
そこにたつ
ひとはふらふらしています
ふらふらしながら
どこかに
たよるものがないか
めをまわしてさがしています
ゆれています
ふらふら
しています
うごくもののうえ
かわりゆくかたち
うまれてくるもの
きえさってゆくもの
ゆらゆら
ゆれています
ふらふら
しています
ゆらゆらゆれる
しんきろうのまどから
みわたします
せかいは
やはりゆらゆらゆれて
そこにたつ
ひとはふらふらしています
ふらふらしながら
どこかに
たよるものがないか
めをまわしてさがしています
2013年12月7日土曜日
鉛筆で
私の考えは
鉛筆で書く
文字を書き間違えるように
考えもよく間違えるから
私の思いは鉛筆で書く
書き終わった途端に変わるから
きらいな人も好きな人に変わるから
私の未来は鉛筆で書く
あなたが消して書き直せるように
未来は独り占めできないだろうから
鉛筆で書く
文字を書き間違えるように
考えもよく間違えるから
書き終わった途端に変わるから
きらいな人も好きな人に変わるから
あなたが消して書き直せるように
未来は独り占めできないだろうから
絵 一之瀬仁美
2013年12月6日金曜日
いつまでもここに
いつまでも
ここにすわっていたい
この席に
いまは
駅前の
クリスマスのイルミネーションを借景に
珈琲の香りが漂い
ほどよく賑わっている
今ふうのカフェだが
まわりのひとが
すべていなくなり
たてものに蜘蛛の巣が張り巡らされ
壁は剥げ落ち窓は割れ
寒風が吹きこんでも
街が廃墟となり
行き交うひとが皆無となっても
私は
この席に
すわっていたい
私の思いは
強く不変であるに違いない
私はいたい場所に
いたい
それが私の抵抗だから
それが私がいる意味だから
ここにすわっていたい
この席に
いまは
駅前の
クリスマスのイルミネーションを借景に
珈琲の香りが漂い
ほどよく賑わっている
今ふうのカフェだが
まわりのひとが
すべていなくなり
たてものに蜘蛛の巣が張り巡らされ
壁は剥げ落ち窓は割れ
寒風が吹きこんでも
街が廃墟となり
行き交うひとが皆無となっても
私は
この席に
すわっていたい
私の思いは
強く不変であるに違いない
私はいたい場所に
いたい
それが私の抵抗だから
それが私がいる意味だから
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