未来創作
みちるのブログ
2013年11月5日火曜日
あしたのうた
あしたはきっといいことあると
しんじるひとがここにもいるよ
だけどあなたはかたをすぼめて
なみだでかおがぐしゃぐしゃさ
あしたはきょうよりいいひだと
きぼうをもってたえているのか
だけどやくそくしてくれないよ
だからゆうきがひつようなのさ
あしたはだれがつれてくるのか
ぼくのゆうきがつれてくるのか
だからあったらつたえておくれ
きっとにげずにたちむかうよと
2013年11月4日月曜日
いま死のうとしているひとへ
いま死のうとしているひとへ
何が手渡せるだろうか
いや、比喩ではなく
(そう、)言葉でもなく
「それ」を手渡さなければならないのだ
いま死のうとしているひとを前にして
何が手渡せるだろうか
口ごもって、焦って……
何も手渡せない
では何か、できるだろうか
思い出話をして時間稼ぎをしながら
何が手配できるだろうか
何かできるだろうか
いま死のうとしているひとが
死んでしまったら
死んでしまったひとの思いや感覚は
もしかしたら「もっといい場所」に移って
楽に、軽くなるかも知れないのだ
(そんなことを、私も、考える)
いま死のうとしているひとは
それを知っていて、この世との未練を
少しずつ捨ててきたのだろうか
緻密な計画をやり遂げてきたのだろうか
(私が生きていく計画以上に…)
いま死のうとしているひとに
私は未練があり
私は常に周囲の様々なことを「世間人」のように感じようとし
そのことで安心を得てきたから
(だが安心というのは最もひとを退化させるから)
いま死のうとしているひとと私は
短いつきあいだが
どれほど多くのことを教えられただろう
私が生きも死にもしないうちに
いま死のうとしているひとは
生きて死んで
2つのことをなしとげるのだ
いま死のうとしているひとよ
私もいつかあなたの後を追って死にたい
そのときあなたはどこにいる?
私はそこを尋ね当てて
こんどは本当の生き方をしてみたいと
話すのだろうか
いいや
それは避けなければならない
それよりいまは
いま死のうとしているあなたに
あなたが好きなパパの抱擁を
届けなければ
そんなことが手配できたら
私があなたと巡り会った理由があったと
初めて思えるかもしれない
というより
あなたのことがなぜ私にとって
大事なのかを
私にその理由が必要なのかを
あなたには無意味でも
知るかもしれない
2013年11月3日日曜日
庭に幾つもの蚊取り線香がたっついる
庭に幾つもの蚊取り線香がたっている
あれは誰の庭だったのか、誰に聞いてもわからない
水銀灯の光で青く浮かび上がる庭石、芝生の緑
錆びかけたブランコ
背の高さほどの柿の木
まかれて蛇口のそばに置かれているビニールのホース
どんな時が過ぎようとも放っておかれているのは
過ぎていこうとする時自身
ここでは人ではなく
時が旅人であることが
よくわかるのだ
2013年11月2日土曜日
丸裸の私
右耳は人の声を聞く耳
左耳は亡き人の声を聞く耳
両耳の間にいてアンバランスな私
右手は慰めるためにあり
左手は払いのけるためにあり
両手の間にいて果実の少ない私
右脳は誰かを愛し
左脳は他人を罰し
真ん中にいる私は
丸裸の私
2013年11月1日金曜日
通勤電車
疲れた顔して電車に乗っている
つまらないことに思いを巡らせて
野原を駆け回っていた心は
どこかで迷子になってしまった
空回りするむなしい言葉を吐く
言いたいことは何も言えない
くり返し願っていたあの夢は
暗がりで埃をかぶってるんだね
世間はみんな他人の顔してる
自分を守るための服をまとって
知らない子と手をつないだ
初めてにことばかりだった日々よ
2013年10月31日木曜日
しごと
みつおは
くるひもくるひも
まいている
トイレットペーパーを
それがみつおのしごとだったから
まきこは
くるひもくるひも
ならしている
ゆびを
それがまきこのしごとだったから
かおるは
くるひもくるひも
かきかえている
ちょうめんを
それがかおるのしごとだったから
きみは
くるひもくるひも
なにしてる?
あきることなく
それがきみのしごとだったのかな?
2013年10月30日水曜日
爽やかな朝を迎えたいと
爽やかな朝を迎えたいと
思っています
爽やかな朝はやってきますか
いいえ
きょうは
やってきません
2013年10月29日火曜日
くせ
こぶしをつくって
人差し指の横腹を噛む
おいしいお肉を食べなさい
指だって痛くはないよ
痛キモチいい感触だろ
歯も指も覚えている
自分の脳が
どう感じたか
歯と指は
意外と
仲がいい
爪は最近
思い出してもらえない
その分
ネーリストといつも見詰めあっているから
2013年10月28日月曜日
心 〜滝に打たれている〜
滝の音が耳についていて離れない
視線はウインドウ越しの道を見ているが
心は方々をさまよい
波打ち際や渓谷を行く列車や高校の夏の明るい教室や
恋人に別れを告げられた喫茶店や様々な場面で向き合った人びとの表情を
光速で辿るが
耳は滝の音と
今いる場所の音の中に動かずにいる
それを証明しようとするように
視覚もここにいて
ただ今を見つめている
心だけが
私の事情に関係無く心を乱して
自らでかけて行く
この時心は一つではないと心は悟っていた
2013年10月27日日曜日
鶴脱臼(つるだっきゅう)ホテルへようこそ ほか
『鶴脱臼
(つるだっきゅう)
ホテルへようこそ 』
母娘の信頼がくじけそうになったときには
鶴脱臼ホテルへようこそ
『瓦礫の下敷きになりました』
八階の床が崩落し
七階で私は瓦礫の下敷きになりました
掃除のおばさんが発見してくれて
瓦礫をどけてくれましたが
私には約束があったので
すぐに約束の場所へと向かいました
『北海道にあります』
北海道にあります
自動車教習所は雨で泥濘んでいます
近くの駅は災害で壊れたまま
駅舎は傾いたままです
『歩きながら飲め』
屋外広場での昼食会は終わっていました
友だちが茶を注いだ茶碗を茶托にのせそれを四つかかえて追いついてきました
もう自動車教習所へと歩き出しているのに
歩きながら飲もうというのです
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