2013年2月24日日曜日

誰のもの?


ふと思った
恋は私たちのものではないと

私たちが躯をよせ合って
過ごしたあのときの気持ちも
捧げものだ

お互い
見つめ合って
確かめ合った未来さえ
私たちのものではない

あなたは
丸いテーブルの上の果物を
器用に剥いて
はだかの私の口に
放り込む

私に与えられた
あなたの愛は
誰のもの?
私は果実でのどを潤しながら
考えるのが面倒になる

2013年2月23日土曜日

詠み人知らず


僕は傾いている
そして悪い方向に向かっている
そのぶん
周りの人がいい方向に向かえばいいと
思っている

僕は詩形を作っている
そしてそこに世界を閉じ込める
けれど
それは自分用のオモチャでしかないと
知っている

僕は謀っている
楽しく生きて行きたいと願いつつ
しかし
模型の電車が回り続けるように
目を回しながら

2013年2月22日金曜日

反省の色はない


あまりに語尾に「ね」を連発して共感を求めるから
そのうえ「ちょっと」を多用して語感をやわらげようとするから
さらに一緒にいるひとを批判せず褒めてばかりいるから
彼のことは嫌い と
彼女は思う

彼は
「ちょっとかわいそうだよね
僕にもいいところあるしね
ちょっと言い過ぎだとおもうよね」
反省の色はみえない

2013年2月21日木曜日

2013年2月20日水曜日

しあわせ


さびしすぎても
しあわせ
さびしさは
きずなだから

ないていても
かなしくない
わびしくて
ないているから

わらわなくても
それでいい
なみだがあったかいって
いってくれたから

2013年2月19日火曜日

詩はなにも


常識というものが
一番の権威だと

常識というものが
一番人を傷つけるのだと

でも人は傷ついても悪くない
善し悪しを言うのは悪い癖だと
教えてくれた詩人さんは
詩はなにも教えたくないんだよ と
きょうもすたすた
歩いてどこかに
行ってしまった

2013年2月18日月曜日

甘くて苦いジュース


あの日
前触れもなく
あなたから
恋が舞い降りて
唇から侵入し
私ののどは熱くなってしまった

私は唇を閉じていたのに
どうやって
入ってきたの?

恋は
果実の
あの甘くて苦いジュースに
まぜてあったの?

訊いてみたかったけど
もうあなたが
唇を
塞いでしまっていて
わたしたち
会話することができない

詩の電車Vol.2

2013年2月17日日曜日

神様には見えている


何かいいものを作ると
目の前に神様が現れるらしい
 神様は「いいもの」は「自分のもの」と
 考えているらしい
 神様には特別な力が備わっていて
 欲しいものは何でも手に入ってしまうので
 神様の欲望は人の欲望とは違い
 所有を目的としないらしい

神様が現れると
辺り一帯がパワースポットとなるらしい
 神様はいつもパワースポットの真ん中にいるので
 パワースポットのことを特別視しないらしい
 だが人はありがたがって祈りを捧げたり
 願い事を沢山するらしい
 神様はその様子を見なれているが
 人様に何をしたらいいにのかよく分からないらしい

パワースポットにはいいものがあり
さらに神様がいいものを引き寄せるらしい
 欲深な人にはいいものの真価がわからないらしい
 たとえばそのいいものがどこに置かれるべきかや
 何にどうやって使うべきものなのかが
 分からないらしい
 
いいものは大事にされても
大事にされなくても朽ちてくらしい
 朽ちていく姿もまた美しいと神様は思っているらしい
 時の流れに逆らわないものが美しいものだと
 神様は言っているらしい
 とどまるものは欲望にまみれて
 汚れて悪臭を放つらしい

人には見えないけれど
人が作った神様には見えているらしい

2013年2月16日土曜日

(株)武士の情(なさけ)はちょっと困った会社

(株)武士の情(なさけ)はちょっと困った会社
というのは客のわがままを多めに見てくれるわけではなく
会社が重大な失敗をしたときに
武士の情け と口走って
勘弁してもらうとするから