木立の間の日だまりを
ぼくに貸してくれませんか
小さな椅子を置いて
愛する人と
話をしたいから
風がめぐり
草花が香り
木の葉が見下ろす
人がやっと
寝転べるほどの
その場所を
太古からあったような
その場所を
貸してくれませんか
日がくれて
木々の天井の隙間から
かすかな光の星が
一つだけ見える
その場所を
2012年10月1日月曜日
2012年9月30日日曜日
みかこさん と いまの君
思い出コレクターの
みかこさんは
美しい過去が好き
どんな過去も思い出も
磨きあげて
大事なところは念入りにブラシをかけ
余計な凸凹は取り去って
飾り棚に並べます
並べるときに
関連する思い出も調べて
書き添えることもあります
そして
時々取り出しては
自分だけで観賞して
うっとりしています
友だちや
これから仲良くしたい人が現れると
みかこさんは張り切って
思い出を見せながら話をします。
その話を
誰もが面白がるものだから
みかこさんは得意になります
得意になり過ぎて本まで書いてしまいました
そんな
みかこさんの部屋は
思い出でいっぱいです
思い出だけでいっぱいなので
まだ思い出にならないものたちは
入ることができません
みかこさんは
いきのいい現在のことは
いまの君に任せっきり
いまの君は
みかこさんのパートナーです
片付けが上手で
考えることが苦手です
いまの君は
不要なものはとっておかず
磨いたり繕ったりせず
すぐに捨ててしまいます
みかこさんとは反対の性格なので
きっと仲良くできるのです
みかこさんは
美しい過去が好き
どんな過去も思い出も
磨きあげて
大事なところは念入りにブラシをかけ
余計な凸凹は取り去って
飾り棚に並べます
並べるときに
関連する思い出も調べて
書き添えることもあります
そして
時々取り出しては
自分だけで観賞して
うっとりしています
友だちや
これから仲良くしたい人が現れると
みかこさんは張り切って
思い出を見せながら話をします。
その話を
誰もが面白がるものだから
みかこさんは得意になります
得意になり過ぎて本まで書いてしまいました
そんな
みかこさんの部屋は
思い出でいっぱいです
思い出だけでいっぱいなので
まだ思い出にならないものたちは
入ることができません
みかこさんは
いきのいい現在のことは
いまの君に任せっきり
いまの君は
みかこさんのパートナーです
片付けが上手で
考えることが苦手です
いまの君は
不要なものはとっておかず
磨いたり繕ったりせず
すぐに捨ててしまいます
みかこさんとは反対の性格なので
きっと仲良くできるのです
2012年9月29日土曜日
やっぱりきょうも
しょんぼりしてる
とんぼがとまる
しんみりしてる
しみじみおもう
よかれとおもい
おもいはうらに
すましてみても
すまされないし
ぐっすりねれば
ねるのはくすり
やっぱりきょうも
はったりばかり
とんぼがとまる
しんみりしてる
しみじみおもう
よかれとおもい
おもいはうらに
すましてみても
すまされないし
ぐっすりねれば
ねるのはくすり
やっぱりきょうも
はったりばかり
2012年9月28日金曜日
そして秋
去って行く夏と
入れ替わりにやってくる秋に
挨拶をするために
詩を書かなければならない
しかし夏と秋の輪郭は
意外とぼんやりしていて
一部は混ざり合っているので
明確に分けて挨拶をするのは困難だ
夏は半ズボンの少年で
秋は少し年上の少女だ
ちなみに
冬は未婚の母で
春は幼女だ
夏くん
さようなら
よくやってくれた
おかげでたくさん汗をかいた
叶わなかった恋や
挫折した冒険は来年に持ち越すよ
夏くんには関係ないだろうけど
秋さん
聞こえたと思うけど
そんなわけで
傷跡が染みる
美しい紅葉でなぐさめておくれ
未婚のお母さんがたまに吐く冷たい息で
凍えるまえに
美味しい収穫物をいっぱい食べさせておくれ
セピア色の写真を眺めるより
いますぐ写真を撮るように
アドバイスをしておくれよ
夏くん
秋さん
二人が愛し合いながらも結ばれないことを
私はまえからしっているよ
だから
あの涙に滲んだような
オレンジ色の夕日を
きょうは長めに
灯していてくれないか
入れ替わりにやってくる秋に
挨拶をするために
詩を書かなければならない
しかし夏と秋の輪郭は
意外とぼんやりしていて
一部は混ざり合っているので
明確に分けて挨拶をするのは困難だ
夏は半ズボンの少年で
秋は少し年上の少女だ
ちなみに
冬は未婚の母で
春は幼女だ
夏くん
さようなら
よくやってくれた
おかげでたくさん汗をかいた
叶わなかった恋や
挫折した冒険は来年に持ち越すよ
夏くんには関係ないだろうけど
秋さん
聞こえたと思うけど
そんなわけで
傷跡が染みる
美しい紅葉でなぐさめておくれ
未婚のお母さんがたまに吐く冷たい息で
凍えるまえに
美味しい収穫物をいっぱい食べさせておくれ
セピア色の写真を眺めるより
いますぐ写真を撮るように
アドバイスをしておくれよ
夏くん
秋さん
二人が愛し合いながらも結ばれないことを
私はまえからしっているよ
だから
あの涙に滲んだような
オレンジ色の夕日を
きょうは長めに
灯していてくれないか
◇質問募集◇ 質問ごっこ
撮影 深堀瑞穂 |
詩人に訊いてみたいことを、私が代わりにお答えします。他人の意見が参考になることがありますよね。詩人の意見は、役に立つかもしれません。・・・という趣旨で、あの有名な「谷川俊太郎質問箱」(ほぼ日)とは一味(だいぶ)違うものをやりたいと思います。この企画は、ある人から強く勧められてはじめますが、自分にとっては、自分が一番苦手なするところの「説明力」を鍛えるこになるだろうと期待しています。自分のぼんやりしたアイディアを他人様にちゃんと伝えるというのはとてもむずかしいことだと思うのです。しかもそれが、人のさまのためになれば・・・ということで、挑戦してみようと思います。
http://blog.livedoor.jp/matsuzaky/
2012年9月27日木曜日
流れる星が見られるかもしれない
小雨がふっている
高原に敷かれた鉄路を
列車が走っている
秋の始めのこの時期は
草木が色づき始めるために
緑色や青色系の鮮やかさを
放出してしまおうとしているので
空気は強く香っている
都市にはないいい香りだ
だがその香りは彼にとっては
無意味で意識されていない
昼下がりというにはしっとりと湿った明るい午後だ
視点は移動しているので
定まっていない
時に繰り返している感覚もある
空から眺めているイメージも混ざる
彼は列車のことはよく知らない
他動的に乗っているから
切符は拾ったものだ
目的地は知らずに乗っている
いつか来たことがあるという記憶に導かれてはいるが
何かの力に操られたのだ
だから
ただ乗って時を過ごし思考を巡らせている
まわりの皆の動きに流されて
駅に降りると
降車客たちが思い思いに散らばっていく様子が
綺麗だった
それを立ち止まって見ていた
雨は降っていない
空は晴れ夕暮れ時がやってきた
彼はどこに歩いて行くのだろう
夜は流れる星が見られるかもしれない
高原に敷かれた鉄路を
列車が走っている
秋の始めのこの時期は
草木が色づき始めるために
緑色や青色系の鮮やかさを
放出してしまおうとしているので
空気は強く香っている
都市にはないいい香りだ
だがその香りは彼にとっては
無意味で意識されていない
昼下がりというにはしっとりと湿った明るい午後だ
視点は移動しているので
定まっていない
時に繰り返している感覚もある
空から眺めているイメージも混ざる
彼は列車のことはよく知らない
他動的に乗っているから
切符は拾ったものだ
目的地は知らずに乗っている
いつか来たことがあるという記憶に導かれてはいるが
何かの力に操られたのだ
だから
ただ乗って時を過ごし思考を巡らせている
まわりの皆の動きに流されて
駅に降りると
降車客たちが思い思いに散らばっていく様子が
綺麗だった
それを立ち止まって見ていた
雨は降っていない
空は晴れ夕暮れ時がやってきた
彼はどこに歩いて行くのだろう
夜は流れる星が見られるかもしれない
2012年9月26日水曜日
2012年9月25日火曜日
立入禁止地区
立ち入ってはいけない
ここから先は
そうやって
線を引けばすむ
それを決めた人間は
ここには居ない
ここには来ない
会食弁当を食べるのに忙しい
線のところには
雇われた人が待っている
雇われた人は
そこにいると
「雇われた人」からただの「人間」になっていく
家族やふる里ことを考えるから
雇った人が誰なのか
わからなくなってくるから
関係がなくなってくるから
誰が決めたのか
誰にもわからなくなっていく
神さまが
川で陸地に線を引いたことを
思い出す
その美しい線と比べると
人が作った線は
なんと殺風景なのだろう
その線が
何を奪っているか
奪っている人間は
何を守っているのか
誰にも分からなくなる
南相馬市
壊れたままの堤防
2012/09/19
筆者写す
ここから先は
そうやって
線を引けばすむ
それを決めた人間は
ここには居ない
ここには来ない
会食弁当を食べるのに忙しい
線のところには
雇われた人が待っている
雇われた人は
そこにいると
「雇われた人」からただの「人間」になっていく
家族やふる里ことを考えるから
雇った人が誰なのか
わからなくなってくるから
関係がなくなってくるから
誰が決めたのか
誰にもわからなくなっていく
神さまが
川で陸地に線を引いたことを
思い出す
その美しい線と比べると
人が作った線は
なんと殺風景なのだろう
その線が
何を奪っているか
奪っている人間は
何を守っているのか
誰にも分からなくなる
南相馬市
壊れたままの堤防
2012/09/19
筆者写す
不味い巨きな果実
見上げた空一面は雲
目蓋が眩しさのせいで痛い
この痛みは
どこからやってくるのか
頬が
目のまわりで居心地悪そうに
熟れ
やがて干からびるのを待っている
私の頭は
小鳥も啄むことのない
不味い巨きな果実である
目蓋が眩しさのせいで痛い
この痛みは
どこからやってくるのか
頬が
目のまわりで居心地悪そうに
熟れ
やがて干からびるのを待っている
私の頭は
小鳥も啄むことのない
不味い巨きな果実である
2012年9月24日月曜日
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