あなたのいいところは
眼が光るところだ
タイミングよく
光るところだ
相手は背筋をゾゾッと震わせ
もう逃げることはできない
月の光の中で
あなたの眼だけが光り
波音が遠ざかる
時間の縄に縛られた二人は
窮屈に互いの体を行き来する
柑橘系の木の実の香り
どこで弾けたのか
そこここに
散らばり
もう
貝殻と区別がつかない
2011年5月3日火曜日
2011年5月2日月曜日
恋をしよう
春だ、恋をしよう!
とTが言った。
恋をした、春がきた
とYが言った。
春が来たし
恋もしたから
結婚しようと言おう
とRは思った。
春が来たし
恋もしたし
結婚しよう、とも言ったし
赤ちゃんもできたので
このままずっと一緒にいよう
とKは思った。
どれも
みんな
私が知っている話。
別々の誰かの
よくある話。
とTが言った。
恋をした、春がきた
とYが言った。
春が来たし
恋もしたから
結婚しようと言おう
とRは思った。
春が来たし
恋もしたし
結婚しよう、とも言ったし
赤ちゃんもできたので
このままずっと一緒にいよう
とKは思った。
どれも
みんな
私が知っている話。
別々の誰かの
よくある話。
2011年5月1日日曜日
あなたの影
あなたの影があなたを見上げている
あなたはその影を
見下ろしたことしかない
わたしはあなたを
自分の目のある高さから見ている
忙しそうなあなた
ゆったりしているときも
自分のことを忘れている
影は
あなたを見ている
あなたのことを
よく知っているのに
何も語らない
わたしは
あなたのことを
あなたに語る
あなたは
何を考えているのだろう
その答えは
あなたの中にはないのだ
あなたはその影を
見下ろしたことしかない
わたしはあなたを
自分の目のある高さから見ている
忙しそうなあなた
ゆったりしているときも
自分のことを忘れている
影は
あなたを見ている
あなたのことを
よく知っているのに
何も語らない
わたしは
あなたのことを
あなたに語る
あなたは
何を考えているのだろう
その答えは
あなたの中にはないのだ
2011年4月30日土曜日
ライムの香り
寝ているあいだに
あなたのからだに
何度も波がやってきて
連れ去ろうとしたので
目覚めたとき
あなたは疲れきっていた
こんなこと一度や二度ではないだろう
リビングのテーブルについたあなたは
無理やり笑ってくれたけど
ぼくはどうしたらいいのか
わからなかった
昼になって
あなたの手は
火に鍋をかけて
カボチャを煮
イワシを割いて小麦粉をまぶし
料理を作り始めた
大きなワイングラスに
金色の液体を注ぎ
ライムを絞って
さし出した
その一連の動きが
あらかじめ
決められていた
何かの美しい物語のように
僕の目の前にあった
ライムの香り
あなたの手から香ってきた
氷の上で
絞られたライムが見つめていた
あなたのからだに
何度も波がやってきて
連れ去ろうとしたので
目覚めたとき
あなたは疲れきっていた
こんなこと一度や二度ではないだろう
リビングのテーブルについたあなたは
無理やり笑ってくれたけど
ぼくはどうしたらいいのか
わからなかった
昼になって
あなたの手は
火に鍋をかけて
カボチャを煮
イワシを割いて小麦粉をまぶし
料理を作り始めた
大きなワイングラスに
金色の液体を注ぎ
ライムを絞って
さし出した
その一連の動きが
あらかじめ
決められていた
何かの美しい物語のように
僕の目の前にあった
ライムの香り
あなたの手から香ってきた
氷の上で
絞られたライムが見つめていた
2011年4月29日金曜日
竈(かまど)の火
不幸の手紙を自分に出した
なぜか節目に送られてくる手紙
その手紙をそのまま書き写し
自分に出すのだ
私に届いた私が書いた不幸の手紙は
あなたの幸せの役に立つだろう
不幸の手紙はあなたの幸せのために考えられたものだから
私はあなたが幸せになるのを見届けて
どこかに去っていく
居なくなった私は
もう不幸の手紙を書くことはない
ただ残された多くの出せなかった手紙が
あなたの家の竈の火を燃やし
食事の鍋をあたためるだろう
なぜか節目に送られてくる手紙
その手紙をそのまま書き写し
自分に出すのだ
私に届いた私が書いた不幸の手紙は
あなたの幸せの役に立つだろう
不幸の手紙はあなたの幸せのために考えられたものだから
私はあなたが幸せになるのを見届けて
どこかに去っていく
居なくなった私は
もう不幸の手紙を書くことはない
ただ残された多くの出せなかった手紙が
あなたの家の竈の火を燃やし
食事の鍋をあたためるだろう
2011年4月28日木曜日
あしたにはきえている
死への道をまっしぐらだよ
もう詩は書かない
書けないんだ
読む人に
未来を信じさせなきゃならないから
嘘でも
役に立たなきゃ価値がないんだ
価値がないのを
知っていて
取り繕うのは駄目なんだ
下手な詩が
下手な書き手から
見放され
道ずれを求めてやってきたんだ
ついさっきのことだ
追い返すことはできなかったよ
深呼吸して
生き延びようとするように
死んでいくよ
相似形なのかな
分からないけど
悔しさは繰り返しやってくるだろう
いいところもあったから
あきらめがつかなかった
神様に指導して欲しかったよ
いまからでも見守っておくれ
文字は仲間だったな
最後まで
看取ってくれよ
よろしく
寝入るように
言葉ともお別れ
役に立っておくれ
希望を与え
やさしくいてくれ
もう詩は書かない
書けないんだ
読む人に
未来を信じさせなきゃならないから
嘘でも
役に立たなきゃ価値がないんだ
価値がないのを
知っていて
取り繕うのは駄目なんだ
下手な詩が
下手な書き手から
見放され
道ずれを求めてやってきたんだ
ついさっきのことだ
追い返すことはできなかったよ
深呼吸して
生き延びようとするように
死んでいくよ
相似形なのかな
分からないけど
悔しさは繰り返しやってくるだろう
いいところもあったから
あきらめがつかなかった
神様に指導して欲しかったよ
いまからでも見守っておくれ
文字は仲間だったな
最後まで
看取ってくれよ
よろしく
寝入るように
言葉ともお別れ
役に立っておくれ
希望を与え
やさしくいてくれ
2011年4月27日水曜日
ゆっくりやればいいんだ
ゆっくりやればいいんだ
ゆっくりやればいい
ゆっくりやればいいんだ
ゆっくり
ゆっくり
ゆっくり
慌ててやってもいい具合にいかないんだ
慌ててやってもいい具合にいかない
いい具合にいかない
慌ててやっても
やっても
やっても
どうにもならない一筋縄では
一筋縄では
どうにもならないんだ
慌ててやっても
ゆっくりやればいいんだ
慌ててやっても
一筋縄ではいかないんだ
どうにもならないんだ
いい具合にいかないんだ
いかないんだ
慌ててやっても
どうにもならないんだ
一筋縄では
いい具合にいかないんだ
ゆっくりやればいい
ゆっくりやればいいんだ
ゆっくり
ゆっくり
ゆっくりやればいい
ゆっくりやればいいんだ
ゆっくり
ゆっくり
ゆっくり
慌ててやってもいい具合にいかないんだ
慌ててやってもいい具合にいかない
いい具合にいかない
慌ててやっても
やっても
やっても
どうにもならない一筋縄では
一筋縄では
どうにもならないんだ
慌ててやっても
ゆっくりやればいいんだ
慌ててやっても
一筋縄ではいかないんだ
どうにもならないんだ
いい具合にいかないんだ
いかないんだ
慌ててやっても
どうにもならないんだ
一筋縄では
いい具合にいかないんだ
ゆっくりやればいい
ゆっくりやればいいんだ
ゆっくり
ゆっくり
2011年4月26日火曜日
野山の野と山の間
のこのこと
やってきた私は
しめしめと
待ち構えていたあなたに
みすみすつかまった
やれやれと
帽子で顔を覆う人をしりめに
私たちは
幸せだった
トントン拍子にことは進み
しんしんと更けた静かな夜に
私たちはミシミシとベッドをきしませて
朝まで眠らなかった
だれもがそれぞれの思いを抱えて
スースー寝息をたてて眠っていただろう
私たちの時間は濃厚で
薄まる気配さえなかった
星の光のなかで
シクシクと泣く姿は見えなかった
恋人はなくなく去っていった
そうして
あなたと私は自然に結ばれた
自然は私たちによって
イキイキと薫ったのだ
やってきた私は
しめしめと
待ち構えていたあなたに
みすみすつかまった
やれやれと
帽子で顔を覆う人をしりめに
私たちは
幸せだった
トントン拍子にことは進み
しんしんと更けた静かな夜に
私たちはミシミシとベッドをきしませて
朝まで眠らなかった
だれもがそれぞれの思いを抱えて
スースー寝息をたてて眠っていただろう
私たちの時間は濃厚で
薄まる気配さえなかった
星の光のなかで
シクシクと泣く姿は見えなかった
恋人はなくなく去っていった
そうして
あなたと私は自然に結ばれた
自然は私たちによって
イキイキと薫ったのだ
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