2011年1月25日火曜日

何かにかき消されてしまったようだ

朝露か夜露かは分からない
澄んだ空気の中に出ていくとみんなの顔があった
草っ原の匂い
水道の蛇口から勢いよく水を流し顔を洗い歯を磨いている
その向こうでは森が佇んでいる
その上はもうすでに青く輝きだした空だ
きのうの夜はたくさんの星が瞬く夜空だった
今は太陽の明るい白色が
空の一点から
空はもちろん
世界中を明るく照らしている
いつも制服のみんなは思い思いの格好
ミチコさんの柔らかい色の服も
ミツエさんのチェック柄のシャツも
この風景の中にある
輝く草花のような未来
過去も未来も風車の羽の一枚
そう思える不思議な時間
小峰が出てきた
僕は精一杯格好つけてあいさつをしたが何かにかき消されてしまったようだ

2011年1月24日月曜日

自由

きょうも地面に90度の角度で立っている
先端に頭を乗せて
風を受け青空を見上げて

足には革とゴムで囲いを作り接地点を守っているが
頭には細い糸状のものを生い茂らせて
熱や予期せぬ衝撃から守っているが

これら守りのシステムは急誂えのもではなく
生物の進化過程でようやくできあがったものであるので
本人のものではあるがその功罪からは本人は自由にしてあげなければならない

2011年1月23日日曜日

椅子を噛む

椅子を座る
椅子をいじめる
椅子を噛む
スイカを噛む
椅子を居座る
椅子を吸う
スイをイカ
貝を吸う
スカを椅子
かすをイカ
貝をイカ
イカを買う
貝を飼う
浮きを飼う
貝を浮く
櫛を生む
ムウを住む
スカを死す
島をスカ
カウを飼う
羽化を変え
貝を知れ
蓮を履き
キレを透け
スハを履き
椅子を酢の
キスを住む
炭を書く
破棄を聞か
騎士をして
蓮を着せ
スリを強い
椅子を噛む
椅子を住む
スカに住む
椅子を知る
椅子を知れ
椅子を踏め
椅子を噛む

2011年1月22日土曜日

あなたは

あなたは汚れない
あなたは瞳に反射する光
あなたは拒まない
あなたはTシャツの上で踊る絵
あなたは馴れ合わない
あなたは氷上を進む観測船
あなたは繰り返す
あなたは季節を変える風
あなたは流されない
あなたは彫られた表札の文字
あなたはためらわない
あなたは風見鶏
あなたは諦めない
あなたらしくあることを

2011年1月21日金曜日

詩を生むあなた

あなたたが詩を生んでいる
影に隠れて
耳を澄まして
詩が生まれ落ちる音に
聞き耳を立てている

詩は
わたしの指先から文字になり
その魂のようなものを
床に落す
木のテーブルも椅子も透けて通って
机の上に文字だけになった詩が残る

あなたは口もとに笑みを浮かべて
瞬きを少なめにして
詩の誕生を神妙に受け止めている
あなたが詩を生んでいるのに
あなたはそれに気づかない

わたしは
あなたが詩を生んでいることを
あなたに伝えようとするが
いつもあなたは
わたしのまえにいない

2011年1月20日木曜日

コーヒータイム

「ウニ」と書いてあるタンブラーで
きみはコーヒーを飲んでいる
窓辺の席で脚を組んで
手にはケータイ
誰かを待っているような表情で
しっとりと艶かしい

グロスのルージュは
取れにくいもの
髪はやわらかなブラウン
何度か染め分けてやっとお気に入りのコンディションになった
向かいのスツールにはバックとコート
テーブルには色とりどりのアンティークグラスビーズがちりばめられたペンと
手帖

一つ溜息をつくと
だれかに溜息を見られなかったか心配になって
周りを見回した

そしてウニを
またもや唇にあてた

2011年1月19日水曜日

受け持ち

自分というものを受け持ってどのくらいがたっただろう
学校の担任の先生と共同で受け持っていた時もあったが
そのころは自分を「受け持っいる」という感覚はなかったような気がする
いまでさえ なんとなく受け持っている気がしているだけで
実際に受け持てているかどうかは冷静には判断できない
自分とはなんだろう
他人や知人とどう違うのだろう
入れ替わったらどうなるのだろう
朝起きなかったら何か変わるだろうか
生活圏から消えたら何か変わるだろうか
自分が自分という担任の元でもがいている
また担任が聞き分けのない自分に手をこまねいている

ただただ卒業式が待ち遠しい
その後のことは別にして
自分とさようならできるのだろうか
担任と卒業生みたいに笑いあって涙さえ浮かべて

2011年1月18日火曜日

次に

紅茶を飲むわ
カップを温めて
奥から綺麗なアッシュトレイを引っ張り出して
煙草に火をつけるわ
カーテンを開け
風を入れる
寒いけど
ソファーに腰掛けて
音楽を選んでかけてみる
好きだった曲に続いて
別の曲が流れる
好きだった人の次に
別の人が現れるみたいに

2011年1月17日月曜日

おいしいものを

僕が見ていないと
あなたは苺ショートの苺をまず先に食べてしまう
丸ごと口にいれ頬張って食べる
その表情はとても迫力があり
愛らしい
人生の酸いも甘いも噛み分けた自信に満ちている

美しい顔立ちのあなたが
行儀良く
僕の前に現れる
僕は愛している
整った笑顔であなたは笑う
笑ってトムヤムクンを食べる
生春巻を食べる

僕はこっそり口元を盗み見る
逆に盗み見られていることにも気づかずに
あなたはお待ちかねの
マンチュアムをたべる

2011年1月16日日曜日

LOTOで人生変えますか

LOTOで人生変えたローっト
と甲高い叫び声がテレビからこだまする
日本中のテレビのスピーカーを使って
地響きのように人々の住むこの島の隅々にまで到達する

CMの男は
屋根をぶち抜いて家でキリンを飼うだけでは飽きたらずに
今度は「雪降らし機」なるものを購入して
友達と雪遊びをするらしい

みずほ銀行は
その宝くじを売るため
山手通り沿いの高層ビルの支店の一角にに小さな店舗を設けている
雨が降ると水浸しになる道路の奥まったところにその売場はあり
みずほ銀行はその辺りに自転車を止められるのを嫌って
プラスチックの黄色い鎖を数十メートルにたって張り巡らせ
空き地を作っている
歩行者はやむなく水たまりの道路を歩いて鎖の切れ目から乾いた空き地に入り
くじを買う
くじ売り場にはスピーカーが設置されていて
空き地越しの道を歩く人に「あなたも億万長者」と呼びかける
こんにちは、西田敏行ですというタレントの挨拶で引き付けて

CMによると
億万長者は倍増中で億万長者を作る機会を開発したという
「けっこうあたるぜナンバーズ」というあやふやな唄もヒットさせたという

新宿西口地下の宝くじ売り場は
当選金の払い出し業務は早めの時刻で終了し
販売だけは引き続き行う
11時を過ぎると辺りはホームレスと呼ばれる人々でごった返し
その合間を家路に向かう人や遊び場を移動する人などが通り過ぎる
公衆トイレにはトイレ内でいかがわしい事をしないようにと貼り紙がされている
このトイレも深夜は閉鎖される

宝くじは日本中で売られている
テレビ局は宝くじのCM獲得に熱心だ
国民的スターが宝くじを宣伝する
国民をその気にさせて宝くじビジネスを成長させるため

人々は思う
宝くじが当たったら人生が変わる
お金にはその力がある と