君は柿の実を1つ僕に落とした。
これが、僕の最初の1行となった。
それ以来、どんな言葉を綴っても、
その1行を超える言葉は出てこなかった。
君は柿の実を1つ僕に落とした。
君に届く言葉はない。
僕が吐き出したどんな言葉も、
枯葉となって風に舞い、
どこかに消え去っていくだけだった。
その静寂を打ち破って
どこからか無節操な笑い声が聞こえてくる。
胸の鼓動が何かを語ろうとしたが、
それはもちろん言葉になるはずもなかった。
はっとして振り返ると
切なさはという友達が・・・
そう思う間もなく、
君は柿の実を1つ僕に落とした。
いくつもトンネルをくぐって
世界の外側に出ようとしてみたけど
くぐっても くぐっても
外側に出ることはできなかった
そういえば
外側ってどんなところなのかを知らない
ひょっとしたら
最初から外側にいたのかもしれず
そういえば
内側がどんなとことなのかも
誰にも習った記憶はなく
トンネルをいくつもくぐったようで
それも錯覚だったということも考えられ
自分の感覚を信じようと焦ったけど
焦っているのが感覚なのか自分なのか
その自分も
自分の夢か錯覚なのか
分からなくなってきて
というか最初から
何かに分かたれていて
それをまとめることができなくて
その気分をトンネルをくぐって
癒そうとしていただけのようにも思えて
外側というのはただの比喩で
実体を求めても
どこにもないということのようにも思えて
きょうはふとんを被って
おとなしく
疲れ果てるのを待つことにした
疲れはどこからやってくるのだろう
闇を見張っていよう
闇を見張ってみないか
闇を這っていく