2014年8月14日木曜日

このブログの閉鎖について

ごあいさつ

いつも読んでくださっている方、ありがとうございます。
読んでくださっている方がいることで、書き続けることができました。
心からお礼を申しあげます。

ところで、このブログですが、新しいウェブサイトに移行するため、
8月22日をもって、一旦、閉じることにいたしました。
(また、整理して公開しることも検討しています)

新しいサイトは9月にスタートする予定です。それまではみちるのFacebookをごらんいただければ幸いです。↓

https://www.facebook.com/michirupost?ref=hl

どうぞよろしくお願いいたします。


 親愛なる読者のあなたへ


     みちる


 

2014年8月4日月曜日

回覧板からの伝言

伝言はおしまいです
それは回覧板の役目とはちがうから

立ち止まっていた回覧板が
明日のことを書き換えられずに
昨日の割れ目にはまってもがいてる

予告はもう結果になってしまったし
募集した人たちだってもう解散した

とりかえしがつかないことは
過去になると
とりかえしがつくことになるの?

雲のように浮かんでいた質問に
回覧板は
胸をはって答えようとした

だが
回覧板には
その答えは書いてなかった

2014年7月5日土曜日

おやすみ

くろうしたから
つかれたのか
つかれたから
くろうしたのか
それとも
なにもかも
きのせいか
かんがえると
つかれるから
あしたの
とりこしぐろうもやめて
おやすみ

すき

すきなもの
すきなこと
すきなひと

すきは
きみを
まっている

きみはそこへ
いけばいい

すきなものに
かこまれて
すきなこと
ばかりして
すきなひとと
つきあって

そうすれば
いつのまにかきみは
すきなひとに
みつめられている

そのしせんに
やさしさに
きづくだろう

2014年7月1日火曜日

戦争が廊下の奥に立つてゐた

戦争が廊下の奥に立つてゐた
           渡辺白泉

当たり前の日常のなかで
戦争が目撃されるようになったことに
気づいた時には
もう
戦争が始まっていた

私たちは
学校では戦争の仕方を習わなかったから
知っている人に頼らざるをえない

人の命はとても重いと
世の中は私を教育してきたので
私は安心して
そんなに重いとは思えないと
思うこともできた

ほら
やっぱりそうだった
友だちの顔を見ると
戦火にもう赤く照らされている
そういう私も
重い鉄の塊をもって
途方もなく疲れているようだ

小さな子どもたちが
大人に何かを訊ねているが
けむにまくしかないようだ

あの俳句

聴いたあの俳句を読む声が
また再生される

戦争が廊下の奥に立つてゐた

私も
その廊下に立っているのです

2014年6月29日日曜日

おしつけない歌

まっているのはいやだから
わたしは自分で出かけてく
読みたい雑誌もかいにいく
シュークリームは食べに行く

まっているのはいやだから
わたしは外に飛び出した

会わずにいるのがいやだから
わたしはすぐに会いにゆく
好きな友だちお迎えに
ケンカした子も追っかけて

会わずにいるのがいやだから
わたしは外に飛び出した

まっているのが好きだから
わたしはいつも待っている
何もなくてもおもしろい
空想ぐせがともだちだ

まっているのが好きだから
ひとりでいてもだいじょうぶ

おしつけられるのいやだから
わたしは人におしつけない
わたしはわたしのよさがある
あのこもきっとすばらしい

おしつけられるのいやだから
おしつけない歌うたいます

死んでいったひと と 生きている私

死んでいったひとが
生きている私に
何を望んでいるのかはわからない
ただ
生き残ってしまった私は
死んだ人のことばかりを
考える
それが的を射ているかはわからない
いや 多分外れているにきまっている
私はそれでも
いつも死んでいった人の傍らに戻って
いつもと同じことを『癖』のように考える
あなたは何を言おうとしているの
その笑顔は何かの皮肉なの
何度繰り返しても
その答えが
返ってくるはずはない
返ってくるとしても
きっとそれは私が何か別のことに夢中になっている時
メールの着信のように
ブルっと私の体のどこかを震わせて
やってくる
素知らぬ姿で

だから私はそれに気づかない
それに気づけない



生きている私に
死んでいる人のことは分からない
どうしても生きている人の事情で考えてしまう
生きていると
死ぬ気でやればできることがあるような気がする
けれど
私は死ぬ気でやったことがない
死んでいる人たちは
生きる気でやればなんでもできると思うのだろうか
死ぬ気で生きるとはどういうことなのか
死に近づこうとすることなのか
例えば息を止めて真っ白になって
生きるということなのか
そうすると
死んだ人と近くなるということなのか
それが死に物狂いでやったことへの
褒美だと神様は思っているのか




トーストを焼きながら
死んでしまった人のことを思う
死んだ人は
トーストが焼ける匂いと
焦げ目に塗られたバターの狭間で
何を考えているのだろう
その死んだ人は
私が創りだした人と
いつの間にか入れ替わってしまっていやしないか
ミルクを注ぎ
フライパンを流しに置く
死んでしまった人は
どこにいるのだろう
まさか
私の中にいるというのだろうか




大事な人が死んでしまったので
大事なものが一つなくなりました
大事なものが生み出したであろう思い出は
数えきれないほどなくなりました
大事な人が死んでしまって
大事な人が大事な人であったことがよく分かりました
でも大事な人は
死んだのが自分でよかったと思っているのでしょうか
私が生き残ってよかったと思っているのでしょうか
大事な人は
本当は一緒に死にたいと思ったのではないでしょうか
もし私だったら
大事な人と死んでも一緒にいたいから
そんなふうに思えます
でも大事な人は死んでしまったので
聞きただすことはできません

大事な人は
きっと私と一緒に死にたかったのだと思います
死んで私と会えなくなるのは
死ぬこと以上に辛かったに違いありません
でも私は
たとえそうだったとしても
ひとり 生き残ってよかったと思います
大事な人と別れてでも
生きていてよかったと思います
なぜかは分かりません
あれから季節がいくつも過ぎて
またこの季節のこの芳りが
私を包むからでしょうか
きょうは
薄ぼんやりした明け方の景色の中で
そんなことを考えているのです




あなたがどうやって死んでいったか
何をみて
何にすがりながら死んでいったか
私にはわかりません

死が訪れて
あなたの体に何が起こったのか
あなたの思いや気持ちが何になったにか
私にはわかりません

あなたはあなたの体から離れ
目も耳も口も何もかもなくなり
脳に収められていた記憶もなくなり
体の感覚もすべてなくなり

もうあなたには何も
残ってないのでしょうか
私はあなたを思っているけれど
あなたにはもうなにも
残ってないのでしょうか

2014年6月21日土曜日

私が眠れないのは

私が眠れないのは
契約を結んでいないアイツが
どこかの街で
パーツを売買し続けるからだ
私はとりあえず眠らずに番をしなければならないのだ

アイツが誰と契約すべきか
私は知らぬ
アイツが誰であるかも
資格があるかどうかも
関係ないし分かりもしない
私がどこを見張っているかさえ
とっくに見失いどうでもいいこととなった

アイツは独りでやっているようで
時に群集だ
アイツは満足気に笑うこともあるが
さめざめして泣くことができないこともある
アイツは二人称を装った
三人称もしくは一人称だ

私は夏の太陽になまあくびをして
二の腕に刻印を押す
だがその刻印は白く濁っている
ねじりの利いたブレスレットは汗に溶けて
退色している

私はアイツを許さないだろう
だがアイツが私と会うことはないだろう

アイツはなぜ売買しているのか
私が番をしている罰として
アイツは売買をつづけるのか

売っては買い
買っては売る

買っては売って
売っては買って


2014年6月19日木曜日

忘却 それは盆地か

昼間のノイズ
白いレースのカーテンが風に揺れている
室内と外とを往ったり来たりしている
地球の
視える限りの球の頂点にいるはずなのに
なぜだか
忘却という名前がついた盆地の底深く沈んでいるのだと
感じる

机の上のモニターのスピーカーから
自分が歌詞を作った歌が聴こえてくる
地平線の彼方には
もう還ることがない人がいるにきまっている
しばらく会わない人も混ざっているかもしれない
ピアノが歌を盛り上げる
私の心も引かれていく

こうして心が動くことは幸せなことだ
幸せは
生活を見つめた消費者のためにだけある言葉ではない
あたりまえのことだ

椅子の上に私はいる
しばらくすると
椅子の上に
私はいない

忘却のコンパスが狂ったように
回る
その針の先が私を指している
意味はわからない
ドアを開けて外にでれば
日差しが照らすだろう
時刻表が導くだろう
太陽を裏側に回した地球の闇の海の真ん中へと

2014年6月18日水曜日

どうしてこんなにキスしたいんでしょう

どうしてこんなにキスしたいんでしょう
キスしたくてたまんないんでしょう
あなたはわたしのまえで
もうはだかになっていて
わたしをこばむけれど
紐で縛り付けられて
身動きができないあなたを
いたぶるように
キスすると
それを合図に
あなたとわたしのまわりに
お決まりの虹色の輪がひろがり蝶が舞う

どうしてこんなにキスしたいんでしょう
もうあなたは
わたしと長いキスをして
合わさった部分からとろけている
どうしてこんなにキスしたいんでしょう
わたしの眼はあなたの上に
わたしを重ねて映すばかり

夏の予感が肌を刺す日に
わたしはバスに乗って美術館をあとにするけど