2013年4月11日木曜日

かの女はいなくなった


心に小石を握りしめて
となりのオバさんとあいさつした

おはよう!
こんにちは!

見れば太陽はもう高く
車の騒音 工場の音
賑々しく聴こえてくる

もう春ですね
きょうは涼しいですね

蝉の声がして
心がどっぷり懐かしさにまみれ
淡い初恋がツンと鼻を突いた

こんばんは
さようなら

きょうは夕暮れの景色の記憶がない
下校放送も
休みだったらしい

もしもし
何だ 使われてないって



2013年4月8日月曜日

もう夢中

音楽が先に行ってしまうので
気持ちは引きずられていく

リズムを刻んで流れていく歳月
私の思いはあなたの前にとどまり
やって来た電車を何本も見送っている

音楽が先に行ってしまうので
私は足踏みしてタイミングを合わせる
あなたはチャンネルを換えて
新しい番組のお話にもう夢中

2013年4月7日日曜日

謝らずに訣れたあなた

いま ここで謝れてよかった

あなたのプロフィール写真が
スマホの画面に突然 現れた

あなたには
ずっと謝ってきた

いま ここであなたに謝れてよかった

私にはしなければならないことがあると
いまハッキリ悟った

あなたのおかげだ

私は明日からあなたに向けて
それをするために
生きていく

空よりも暗い山
見ているか?
聞いていてくれ

私は無言で
誓ったのだから

2013年4月6日土曜日

小石をよけて

よってたかって ひどいことをやってしまっても
そのことに気づかないのは
昔も今も同じ

古代から現代まで
変わらぬ営み

だだ技術は進み
いい訳もうまくなり
やさしさは文明的に洗練されたけど
涙の滴は塩辛いし
血を嘗めれば鉄の味がする

よってたかって ひどいことをやってしまったから
だれかがそれを償ってる

ひどいことをやった人は
今も昔も地獄に行くのだろうか

捧げるべき生け贄は
どこにいる
ハイエナがうろついている

星明かりの下
子どもたちは
眠りにつく

そして夢を見る
春の草原に花が咲いて
会いたかった人が呼んでいる

だからあとは
ただ足を前に出して
小石をよけて
駆けていくだけだ



福島の花


毎日Facebookページ『福島の花』(写真・野口勝宏)で連載しています。
毎日送られてくる花の写真に詩をつけて、翌朝5時までにメールで送ります。
2−3編書いて選んでもらうという方法で共同制作しています。
さあ、きょうはどれが選ばれたでしょうか?
花はフランネルフラワーです。


1

坂を駆け下りたの
青空に雲が流れ石の柱の影で猫が鳴いてた
私は何かから逃げてきたみたい
座り込んでうっとりとキミのことを思うよ

2

あなたの何もかもがステキだわ
抱きしめられてまだぎくしゃくする感じも
新鮮で すき
もっと私に魔法をかけてくださいますか

3

厚手の綿のワンピは体になじまない
空気が入ってくる
あなたはそれを見て
手を滑り込ませようとしているわ

4

私の名前を呼ばないあなた
私から何を奪い去ろうとしているの?
いいえ きっと 私が
あなたから何かを奪ってしまったんだわ



https://www.facebook.com/FukushimaFlower

2013年4月5日金曜日

そこいらの 風




だれが あなたの 
手をひいてくれたの?

だれが あなたの
背中を おしてくれたの?

それは 風
やさしい 風?

いいえ
ただの 風

ふるさとの でもない
ただ
吹いてきた 
そこいらの 風

2013年4月4日木曜日

かんじてるこころ

みつめてみよう
たいせつなこと
めをそらさずに
はなしをすりかえずに
だれかとはなそう

やってみよう
できること
きばらずに
ひとめをきにせず
いいとおもったことを

やりすごせる?
わるいこと
だましたりしないで
よわいものまもって
しぜんたいで

おもっている
いろんなこと?
じぶんにといかける
こたえをあせらず
かんじているこころ




2013年4月3日水曜日

大きらいなひと




大きらいなひとのことが
いつまでも わすれられない

好きな人の顔が
思い出せないというのに

忘れそうになるたびに
思い出してしまう

忘れそうになるたび
メールがくる

好きな人は
メールをくれないのに

大きらいなひとと出会った日
台風の後の夕空が
燃えているようだった

きっと
私の顔も真っ赤に染められていたに違いない

好きな人と最後にわかれたのは
きのう

私がきょうも思い出すのは
あの夕空ばかり




2013年4月2日火曜日

社長が帰る

社長が帰ってきた
煙草の匂いも帰ってきた
古い皺だらけの財布をポケットに
おみやげの冷凍ピザを持って

専務は部屋でお出迎え
僕はピザを受け取り電子レンジへ
妹は部屋で漫画描いてる

社長は着替えて晩酌の準備
焼いたタラコを専務が持ってくる
ビールの瓶と一緒にお盆に載せて

2013年4月1日月曜日

桜前線から逃げながら


自分が偉いんだと
つい勘違いしてしまう
右と左を間違えて
シャツがうまく着られない

うつ病らしく生きるのだ
誰も待ってはいなくとも

朝日の時間に夕日が出て
生活必需のノルマをこなしつつ

きみの大事な誇りはとうに
埃だらけ

曇った空気を胸にいっぱい吸い込んで
自分のなかの何か
余裕はないけどゆっくりと
芽吹くのをまっている

世間は春で浮かれているし



桜なんかきらいだ
とっくに飽き飽きした
桜の花から逃げて
北上したり南下したり

だけどそれは現実ではなく
ことばだけのこと

ミルクも賞味期限を知らぬ間に過ぎて
流しのステンレスに広がりたい

何もかもが壊されるため
理由を待っている

捨て去る勇気さえ手に入らず
何が必要か
迷い慣れても また
忘れて繰り返し

みんな自分のことで頭がいっぱい

それが憲法に成れば
反発するかな
世間の風は世間の噂を作って
ぬるい春を作っていく

みんな自分のことで胸もいっぱい