2012年7月9日月曜日

権利がない私

私には香りのいいおいしいお茶を飲む権利がない
私は水道の水を冷やして飲むから平気
私にはJRとメトロを乗り換えて目的地に行く権利がない
どちらか一つに絞っても行けるので平気
私には医者で健康診断を受ける権利がない
暴飲暴食をせず睡眠をとっていればたぶん平気
私には道の真ん中を堂々と歩く権利がない
道はたいてい端っこをおどおど歩くと安全なので平気
私には焼肉屋に誘われても一緒に行く権利がない
もう誰も誘わないので肉は牛丼屋で食べるし 平気
私にはカビたパンを捨てる権利がない
カビを削ってしまえばほぼ元通りのパンなので全く平気
私は穴あき靴下を捨てる権利はない
穴あき靴下は空いた方だけ靴磨きに使えばいいので平気
私には期日通りに電話料金を支払う権利がない
電話が止まる前にハガキが来てコンビニで支払えるので平気
私には結婚して子どもを作る権利がない
たとえ権利があっても結婚して子どもを生む相手がいないので平気
私には他人にはある様々な権利がない
でも何とかやっていっているので今のところたぶん平気

2012年7月8日日曜日

スターバックスという

スターバックス
コー ヒー

コー コー コー
ヒー ヒー ヒー

スターバックスと
コーヒーは別れ
コーヒーの 葉とコーヒーの 実は
さよなら し 慣らし

鳩と 富とは
コーヒー飲みと はとこ とは
一緒にいない
コー と ヒーは 離し合う
手と手 権利と管理を

スター と バック ス
コーヒーも別れ
その名がなくとも
珈琲店と判れば

後ろから 前から トモダチは
やってきて確信をつく
うそをつく
木をつつく のは きつつき
傷つのは グラスとコップと
炒られたナッツ
入れられた夏
無理矢理に入れられた膣
入れられたナッツ
夏に入れられたnuts

濡れられたnutsペンギンマークのnuts
nutsマークのペンギン
銀色のペン
ペンの形のnuts
nutsの形のペン
ペンの 先っちょのスター
ペンの先のmoon
moonのとなりのスター

後ろのトトロ
とろろ飯のトトロ
ロートルのトロロ
トロッコのスター
とろとろのスター

Tバックのスターバックスのスタジャン
ペニンシュラの
サマーの通り雨
イースターのスター トースター

の の の
ヒー ヒー ヒー
ノーヒー ノーヒー
コー コー コー
ノーヒー トーヒー

離された
コー ヒー
スターバックス
なにはなくとも 友もなくとも
珈琲店には
コー ヒー なくとも
泣くとも 無くとも

2012年7月7日土曜日

必死に生きているのに

必死に生きているのに
なぜ自分は生きているのかと
問いかけている人は
いませんか

雨が石段の苔を潤して
上空でカラスが
けたたましく啼いている
カラスは答えてくれない

無風のせいで
蒸し蒸しする
この世は巨大な盆地
山の向こうに幸せの塊があり
それが溶け出して
人に注ぎ込むと信じている

必ず死ぬというのが必死の意味?
空気は風になることなく立ち止まっているが
答えてはくれない

心が盆地のくぼみにはまって
もがいている
居心地が悪いのだろう
くぼみを揺すりながら
息をする

手足だけでも外に出せれば
心地よく動けるだろうか

上空でカラスが
けたたましく啼いている

福島の花+詩 Facebookで連載


2012年7月6日金曜日

ピーナッツが好き

懐かしいヒッピーの香り
さっきまでそこでマリファナ吸っていたのかな?
腰に入れたtattooは気にいってる?

川と道が交わるところに
一体誰が橋なんぞ作ったのだろう

森の上にある月を眺めて
聴き古した曲をかけて
踊るんだね
踊っているかどうかも
もう分からない
途中からは相手と舌を絡ませていたし

しっとりと
時間は湿って流れている
風よりも時間のほうが
軟かい

あなたの背骨は
くねっている?

チグリス・ユーフラテス川の岸辺
乾いた靴音で歩いて行く学者
澤登博士は
ピーナッツが好き

2012年7月5日木曜日

てれ - ビジョン

てれ
ビジョン

電磁波浴び
遠くを見る
試合
刃物を持ち
新しいヒカリエの
柔道場
厚い畳は沈みやすく湿りやすい

母は寝顔を覗いた
美しい夕焼け

家に忍び込もうとする
暴漢
ハニービー

ハエ ビー

生き残ったほうが勝ち
刃物を持った闘い

女武闘戦士
Marukoは白い胴着
黒い帯

2012年7月4日水曜日

大人びた小学生に教えてほしい

大勢の大人びた小学生たちが
古い小学校の校舎を改装したホテルに
無言で宿泊している
(無言というのはそういう印象だということだ)

いつから泊まり始めたのか
なぜそこに居つづけるのか
誰も疑問を差し挟むことは出来ない
(きっとそれは宇宙の真理に由来する現象に違いないから)

小学生たちは
大人社会の事情をすでに飲み込んでいるためか
黙々とやるべきことをやっている
自らの性的な行為さえ自らの判断でコントロールし
揺るぎない確度のもとに行なっている
(小学生たちは大人の事情を
すでに凌駕する行動理念と方法を獲得していたのだ)

大人である私が宵の口の時刻にそこを訪れると
昇降口の辺りにもまだ小学生たちはあふれていて
遊びとも仕事ともつかぬことを楽しげにやっている

私は大人びた小学生たちが
一見して幸せに暮らしていることを悟り
おおいに驚いた
大人は幸せと縁遠い社会を作り
作るべきもの目指すべきものが見えず
試行錯誤に苦しんでいたから

小学生たちは
大人対子どもという対立軸からさえも自由に
現実を受け止めている

私は学者の中沢新一と一緒に
次の選挙について
選挙事務所の候補場所のカフェで落ちあい
打ち合わせし物別れに終わってここにやってきたところだった

小学生たちは
大きな鍋で夕餉の支度をしている
私はそれを一緒にいただいて
これから自分がどうするかについて
小学生に学んで
結論を得ようと考えている
私がいま望んでいることは
間違っていないのだろうか

小学生たちが整然と食堂に向かい始める
私もあとについて食堂に入っていった

2012年7月3日火曜日

旅人

ある日 あるときに
同じ土地を 訪れている人の
眼差しは
優しい

いつか どこかで
きっと 出逢ったたことがある
見たことがある

湧き水の まえで
ペットボトルに 水を 注ぎ入れている
かがんだ 後ろ姿は
かわいい

葉を茂らせて 覆いかぶさっている
大きな樹の上に 青空があり
雲が こんもりとして 漂っている

いつか こんなシーンがあった
そのシーンに
私は 入っていく

一枚の絵に
私は 描きこまれる
その絵を
誰かが見つけて
見入っている

懐かしい家の
揺り椅子の前

2012年7月2日月曜日

山盛りごはん

山盛りのごはん
食べるのだ
ごま塩とたまご
チェリートマトと一緒に

冷たい水を飲み
一気に
味わうことに集中して
よく噛んで
食べるのだ

何も考えずに
のどごしを楽しみながら
元気に生きるために一心不乱に
食べるのだ

食べ終わったら
眠るのだ
灯りを消して
明日のことなど考えずに
体を休め
心を鎮め
眠るのだ

2012年7月1日日曜日

帰る場所がない

何に憧れて
何を手に入れようとしていますか
それとも
もう憧れは
わすれてしまったの?

初めて経験したとき
ドキドキして
すごいね! と思ったことが
いまは誰も見向きもしない

いま
あなたは
どう思う?
初めての経験した時の感動のこと

答えを聞くまで
きょうは帰りたくない

というか
帰る場所がない