森が白い球を隠し持っている
初夏の日
私はそれに気づいた
森は青い空を背景に
森のような顔をして
佇んでいる
(森は自分が森ではないと
自ら思おうと努力していた)
森は
人の眼を信じていないので
高をくくって
堂々と なし崩して
白い球を高く掲げている
森は油断し
木々に注意をうながすこともしない
昔はそうではなかったのだが
森は淡い夢を見ている
その白球を
あの恐ろしい強打者めがけて投げ込むことを
投げ込まれた白球は打者が翻弄する隙間もないほど速く
おそらく音速で捕手のミットに収まる
その一部始終を
私は目撃するだろう
森は完全に敗北するだろう
森としての役目は
その時終わる
森の木々は
もうただの木の一本一本となり
化石とともに
地に横たわる道しか残されていない
空気が閉じ込められた
一粒の氷
グラスの中で揺らすと
心地よい音がする
私も
心地よい音で
鳴りたいと思う
遠い雷雲から落下した滴が
地を這って希った果てない夢を
この喉で受け止めて
声にしたい
星空の電波で
この星の人に伝えたい
人としてではなく
名もない命として
ビルのガラス窓に映った雲が
流れていく
あの雲は友だち
雨を降らさない雲は
何のために漂っている?
私たちを見下ろして
気分がいいだろう
きっと自分の小ささを感じて
大志を抱いているだろう
ちからをもてあますより
なにかいいことにつかいたい
いらいらするより
みかたをみつけていっしょにてきにいどもう
うつむいてふさぎこんでも
あしもとのちいさなはなからパワーをもらおう
すぎたひびはにどとこない
これからくるひびをともだちにしよう
はなびらのかげに
かくれて
めをつむり
こわいことが
おわるのを
まっています
すると
いいかおりが
わたしに
しらせてくれます
もう
こわいことは
おわった と
わたしは
めをひらいて
はなびらのかげから
でていきます
でんでんむしが
うしろから
ながめています
こわいことはもうおわり
そこには
いいかおりのくうきが
あるだけです
わたしは
はなはつよくて
すごい とおもいました
でも
ちいさなはなのたねが
まだ わたしのぽけっとのなかで
めをつむってふるえていました
ミミナガペンギンがとおせんぼしていた
ぼくはオナラをしにあっちへいきたいのに
オナラはひっこんでしまった
そしたらミミナガペンギンがしゃっくりしはじめた
ぼくはくまざさのあはっぱで
ミミナガペンギンのみみをこちょこちょした
するとミミナガペンギンはのたうちまわって
わらうのをこらえてた
うえのほうからおならのおとがきこえた
ペリカンきょうだいがそらをとんでいた
ぼくはしゃっくりしたくなったが
がまんした
ベランダに放ってあった古い木の椅子と
1年ぶりに咲いたチューリップが
気持ちよさそうに
いっしょに日差しを浴びている
いつの間に
仲良くなったの?
言葉をしゃべらないものどうし
どうやって仲良くなったの?
友だちとけんかした日
心のなかに
空を取り込んだ
目を瞑ると
そこに青空が広がり
ゆっくり息を吸うと
雲が風に流れはじめた
静かにしていると
時間も佇んだ
頭をを回すと
宇宙が転がって
夜の星と昼の太陽が渦巻いた
心のなかに
自分もとりこんだ
見渡す限りの草原を駆けて行き
丘から世界を見渡した
地平線が空と地との境界を記していた
心を手にとって
柔らかさを確かめた
少し固かったので
揉みしだいて柔らかくした
頬が緩み
目から涙が落ちた
舌先で波が打っていた
海鳥が飛び交い
私は小舟を海に浮かべ漂よった
心の空に
花火が打ち上がった
昼間なのに
まばゆい光の輪が広がった
」
」
」
」
」
」
」
」
」
」
」
」
ある夕
急な階段を降りたところにあなたは立っていた
私が声をかけようとしたら
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あなたはサッシを開けて庭の細い道を
うさぎのように逃げていった
あれから
あなたの姿を見ない
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同じような毎日が続いた
私は再び
階段を降りてあなたを見つけようとしたが
階段を見つけることができなかった
ひとのゆめにでてきて
ねむってしまう
ねむりおとこ
ねむりおとこが
でてくると
みたひとは
ねむれなくなる
それは
ねむりおとこは
ねむりおとこをみたひとのかわりに
ねむってしまうおとこだから
だが
ねむりおとこをみたひとは
おきているとき
ねむりおとこのことを
おもいだせない
ねむりおとこは
みたひとがねむらなくても
みたひとのかわりに
ねむってしまう
たまに
ねむりおとこが
どこかにでかけると
ねむりおとこをみたひとは
ねむれる
ねむりのさかを
きゅうこうかして
ねむりにおちてゆく
そして
ねむりおとこのことを
おもいだして
こわくてふるえる
ねむりおとこが
かえってきませんように
といのる
いのりながら
ゆめをたてつづけにみる
そして
めをさます
いや
はんたいだ
ほんとうは
いま
ねむりにおちたのだが
それに
きづくことはない
↑
ここにある
ねむりおとこの
しゃしんが みえますか