古びた建物の喫茶店の白い壁に
ぶどうを描いた画が掛けられている
たわわに実った一房のぶどうと
青々とした葉
それに枯れかけて色づいた数枚の葉だ
建物も画も古びているが
その周りでうごめいているのは
いまを生きている人間だ
仲良しカップルは見つめあって話をしている
店員さんは段取りに忙しい
画を描いた人は
どこかで生きているのだろうか
私は画家がぶどうに向かう姿を想像する
画家が画を仕上げて行くときの気持ちを想像する
古びた建物の中で
古びていきながら
2013年9月29日日曜日
2013年9月28日土曜日
もうゆるしてあげても
*
もうゆるしてあげても
いいのではないか
ゆるしてくれない
あのひとのこと
*
もうわすれてしまっても
いいのではないか
わすれられないものが
おいてあるあのばしょ
*
もうかえっていっても
いいのではないか
まつひともない
まちぼうけのこころ
2013年9月27日金曜日
2013年9月26日木曜日
8歩目
貯金箱のお金を出して電車に乗って
優雅に暮らすあの人に会いに行った
あの人は僕より高いお茶を飲み
当然の如くお金を払わず扉を開けて外に先に出ていった
百円玉を積み重ねて代金を払い
7歩歩いてさよならを言った
優雅に暮らすあの人に会いに行った
あの人は僕より高いお茶を飲み
当然の如くお金を払わず扉を開けて外に先に出ていった
百円玉を積み重ねて代金を払い
7歩歩いてさよならを言った
2013年9月25日水曜日
それは世間のことなんだ
それは世間のことなんだ
そこを世間というのです
海辺にできた山脈も
蒼くて高い秋空も
それを世間というのです
そこで生きてる私たち
生かされているきみとぼく
幾星霜の星月夜
かんらからから切なさと
ともに生きてる私たち
君は世間の申し子さ
世間は宇宙とねんごろさ
すすきも螢も王様も
世間の風に吹かれてく
僕も世間の申し子さ
そこを世間というのです
海辺にできた山脈も
蒼くて高い秋空も
それを世間というのです
そこで生きてる私たち
生かされているきみとぼく
幾星霜の星月夜
かんらからから切なさと
ともに生きてる私たち
君は世間の申し子さ
世間は宇宙とねんごろさ
すすきも螢も王様も
世間の風に吹かれてく
僕も世間の申し子さ
2013年9月24日火曜日
まさかのさかな
まさかさかさまのさかなのなかまはかかさまのさかなかな
かさをささないさかなかな
かさなくなくなくかさかさないさかなかな
さかにさかさにさかんにかしずくかのさかなかな
まさかさかさまのさかなのなかまはととさまのさかなかな
かさをささないさかなかな
かさなくなくなくかさかさないさかなかな
さかにさかさにさかんにかしずくかのさかなかな
2013年9月23日月曜日
聞かせてよ
お母さん 私が子どもだったころの話を
聞かせてよ
意味のないことでいいから
うれしいと思ったことばかりを
聞かせてよ
お父さん あなたがしたかったことを
聞かせてよ
不甲斐ない私を叱ってくれてもいいから
私に して欲しかったことも
聞かせてよ
初秋の街が密かにざわめいている
私たちのことを
見ない振りして
見ているから
聞かせてよ
意味のないことでいいから
うれしいと思ったことばかりを
聞かせてよ
お父さん あなたがしたかったことを
聞かせてよ
不甲斐ない私を叱ってくれてもいいから
私に して欲しかったことも
聞かせてよ
初秋の街が密かにざわめいている
私たちのことを
見ない振りして
見ているから
2013年9月22日日曜日
おいしくないメロンパン
あの
おいしくないパン屋の
おいしくないパンをたべながら
お茶を飲みたいと思い
恋人と別れてきた
その
おいしくないパン屋の
おいしくないメロンパンを食べながら
うまくいかなかったことが
思い出され
おいしくないメロンパンとともに
反芻され
癒されていくだろう
おいしくないパン屋は
客も少なく
ゆったりと座って
いつまでもいることができたから
おいしくないパン屋は
いつまでもそこにある
おいしくないパン屋の
人気メニューは
おいしくないメロンパン
あの
メロンの香りはしない
おいしくないメロンパンの
やさしさ
おいしくないパン屋の
おいしくないパンをたべながら
お茶を飲みたいと思い
恋人と別れてきた
その
おいしくないパン屋の
おいしくないメロンパンを食べながら
うまくいかなかったことが
思い出され
おいしくないメロンパンとともに
反芻され
癒されていくだろう
おいしくないパン屋は
客も少なく
ゆったりと座って
いつまでもいることができたから
おいしくないパン屋は
いつまでもそこにある
おいしくないパン屋の
人気メニューは
おいしくないメロンパン
あの
メロンの香りはしない
おいしくないメロンパンの
やさしさ
2013年9月21日土曜日
2013年9月20日金曜日
泣いている私たち
目の高さを合わせて
見つめあったら恥ずかしい
笑っちゃう
高さを合わせただけなのに
それとも
あなたが
普段とちがうこと
思っているの?
そう
私も
あなたと同じ
普段とちがう
特別なことを
思ってる
他人から見れば
他愛ないこと
そう
私たちから見ても
他愛ないほど
あたりまえで
特別なこと
でも一番大事なこと
力が入ってしまって
おかしいね
笑ったけれど
変だな
泣いている
私たち
見つめあったら恥ずかしい
笑っちゃう
高さを合わせただけなのに
それとも
あなたが
普段とちがうこと
思っているの?
そう
私も
あなたと同じ
普段とちがう
特別なことを
思ってる
他人から見れば
他愛ないこと
そう
私たちから見ても
他愛ないほど
あたりまえで
特別なこと
でも一番大事なこと
力が入ってしまって
おかしいね
笑ったけれど
変だな
泣いている
私たち
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