2013年3月11日月曜日

飛行機に乗っていました


飛行機に乗っていました

乗務員が私のことを気遣って
助けに来ましたが
命綱をつけているので
万が一風に飛ばされても大丈夫です

翼に乗るのは初めてでしたが
怖いことはありません
しかし離陸のことを思い出せないので
ひょっとしたら恐怖のために気を失っていたのかもしれません

乗客は私を客室に戻せと騒いでいます
翼にはパイロットも乗っていましたが
私は客なので
客室にいるべきだと
私以外の全員が考えたのでしょう

私は小さな窓から押し入れられて
客室の自分の席に行きました

そこには日大芸術学部放送学科の1年後輩の女性が座っていました
窓側が空いていたのでそこに座ると
周り中が日大芸術学部放送学科の出身者でした

アナウンスは「左手前方に富士山がごらんいただけます」と告げるが
それどころではない
私は後輩や同窓生と話さねばならない
この理不尽な世の中について

みな
浮き足立っている
昼下がりの飛行機
旅は始まったばかり
関西方面は
黄砂の影響があるという
あなたの存在が心の真ん中にある
目の前にいなくても
あなたを思える幸せに 私は
満たされている

2013年3月10日日曜日

小さな夢


甘いクッキーをお口に入れると
甘い願いが一つかなう
小さな夢で
見えないけれど

ビターチョコクッキーお口にいれると
苦い思い出を一つ忘れる
かすかな記憶で
気づかないけれど





2013年3月8日金曜日

たい焼きを焼いています


たい焼きを焼きます
一日900個のたい焼きを焼くのが私の仕事です

900個のたい焼きは
買っていった人を
よろこばせていることでしょう

私はおいしいたい焼きができるよう
いつも考えています
たい焼きを焼くとき
私は生地と餡のバランスと
焼き加減を考えています

繰り返し考えています

鉄板に向き合っていると
顔が熱くなり
休みなく立って焼いていると
夕方には腰や脚が痛くなります

それでも
一日焼き終わり
バスで帰宅するとき
つり革につかまりながら
私はたい焼きを食べる人のことを思うと
疲れさえ心地よく感じるのです

私は休み無く
たい焼きを焼いています
休むことがいやだからです
休みの日があれば
休みの日に何をすべきか
考えなくてはいけなくなります
それはたい焼きを焼くことを
穢(けが)すことになります

私はたい焼きを焼くことが大好きで
天職だとおもっています
それで週5日はデパートで焼き
後の二日はスーパーで焼いているのです
私はたい焼きを食べることも好きですが
一日1枚しか食べません
贅沢に思われるからです
たい焼きを食べるとき
私は神聖な気持ちになり
理想的な家族像を思い浮かべます

私がたい焼きを焼き始めて
長い年月が経ちました
これからも
いいたい焼きが焼けるよう
一生懸命やっていきたいと思います

たい焼き焼きの境地に達し
さらにその道を極めつつ
焼いていきたいと思います

私の焼くたい焼きは
デパートで90円
スーパーでは120円で売られています
これは黒あんの値段です

2013年3月7日木曜日

理解者


ぼくのそばに立って
石を投げてくる人がいる
ボッチャン
ぼくを呼んでいるのはだれ?

わたしのところへ来て
椅子に座って泣き出した子
泣き終えると鼻をかんで
自分を励まして去っていった
あんたはだれ?

池のほとりに佇んで
にんまり笑っている詩人さんは
だだ一人の理解者

2013年3月6日水曜日

すり鉢状のあの子

すり鉢状のあの子に
注意しなければならないと
彼は
思っていたに違いない

落下してきたものは
すべてすり鉢状に固められてしまう
人や宇宙の念にしてもだ
いままで見ることが出来なかったものさえ
すり鉢状に固められてしまうから
物理学者が気づいたら
あの子はひっぱりだこになるだろう

すり鉢状がいつから始まったのか
あるいは始められたものなのかは問題ではない
未来に向かいすり鉢は開かれている
誰かが伏せてしまわない限りは
すり鉢は終わることがないだろう

彼はなで肩の肩をさらに丸めて考えている
すり鉢の謎に
何故近づくことができないのかを

2013年3月5日火曜日

うつ病の友だち



ナイトガウン羽織って暖炉の脇にいる
シャンデリアの照明
湖のほとり
宝石箱や金庫や引出しの棚に納まりきらない宝飾品
財産はそこここに放置され
見張っている者はない

オーディオルームの4Kのディスプレイで
特注でリマスターしたという古い映画を流す
観客は一人だが
もう飽きて
浴室のジャグジーで足の爪の模様を眺めている
そして眼を瞑って
パパのことを思い出すことにした


誰かいい人と巡り会いたい と
月並みな言葉のあとに出てきたのは
車が欲しい というフレーズ
いつも願うのは功名が欲しい という内容だったが
きょうは違った
車が欲しい理由は
いつでもどこにでも出かけることが必要だと思い立ったからだが
すでに思いは
そこにはなかった


うつ病の友だちを思いやって
鬱々としていた
うつ病の友だちは
詩と写真の才能を持っていた
ついでに育ちもよく人気者でお金持ちだった
うつ病の友だちは
何でもよくできた
うつ病さえ克服してしるかもしれなかった

思いやる必要はなかった
思いやる必要はなかった

2013年3月4日月曜日

ストリート・ストリッパー


ストリート・ストリッパー 
スレスレのスリットにノースリーブ
ストレスレスな シースルー
スレンダーでスイート&セクシー

2013年3月3日日曜日

朝 私の 1


戸がガタガタいっている
戸はおはようと言えないだろう
私はおはようと言わずに書く
おはようと言う相手がいないからだろう

戸はガタガタいうのをやめた
風が止んだからだろう
私はカタカタとキーを打っている
ガタガタいう必要がないからだろう

朝は忘れずにやってくる
私はよく忘れるのに朝は忘れない
朝は目覚めを与え闇を追いやる
私は朝の光に追いやられる人間

2013年3月2日土曜日

いいわけ

イイワケを考えているんだね
いいいいわけがみつかったかな
いいいいわけがみつからないと
いいわけをしなくちゃならないよ
いいわけは得意じゃないんだね