2012年11月1日木曜日

その愛は

その愛は伝わりすぎる
いつまでも胸の中に
とどまっていることができない

その愛は激しすぎる
いますぐに縄を解かないと
引きずられて怪我をする

その愛は強すぎる
すべてを巻き込んで
吹き荒れて撒き散らす

その愛は死ぬことがない
あなたが死んでも
生きて愛し続ける

その愛は眩しすぎる
その愛は伝わりすぎる

生きる 雑念

生きていても
死んでしまっても
人に迷惑がかかるから
ただ慣性の法則に従うのだと
理屈をこねくり回して
毎日をやり過ごしているが
食欲を始めとしていろんな欲求が湧いてくるので
頭や体の働きもそれに任せて生き延びている

嬉しいことも
悲しいことも
楽しいことも
いらいらすることも
辛いことも
どうでもいいことも
毎日やってくる

知人や友人たちは
どうしているのだろう

長年仕事をしてきた人たちは
それなりに形になって
周囲に認められ 尊敬もされ
稼ぎや蓄積もあるだろう

あと1本糸が切れたら
自分は奈落の底へと落ちる
その一本にすがって
不安に揺れている

もし死んだら
生まれ変わるだろうか
それとも知らないうちに
誰かの人生を引き継いで
その命をやっていくのだろうか

神様に知らされることもなく
何の記録も遺らない状態で

意識が舟だとしたら
私は漕ぎ手なのだろうか

明日はやって来るものではなく
静止している風景なのだろうか

2012年10月31日水曜日

おまつり まんねり

つよがり しっゃくり しらんぷり
どっぷり とっぷり ぼったくり
やっぱり きっぱり へのつっぱり
おまつり まんねり あとのまつり

一昨年の10月31日に書いたもの

館内放送



ミミー マーガ サン さん
モーガ チチ トルノ さん
いらっしゃいましたら
クソレタッ イ レプス 広場で
シンケウコ ヨグウ の皆様がお待ちです
至急 お越しください

去年の10月31日に書いたもの

じんせいは わからない



よいことをして
わるいこともして
よくもわるくもないことをして
どちらかわからないことをして
おとなになった

おとなになっても
よいことをして
よくないことをして
どちらかわからないことをして
ろうじんになった

じんせいは
むずかしい
じんせいは
おもしろくて
つまらない

あくびをしたら
しかられる
しかったひとも
あくびをしてる

2012年10月30日火曜日

ワタシヲ タベナイデ

ワタシヲ タベナイデ
タベタラ ナカナイデ
イナクナッテモ ソコニイテ

デモ イナクナラナイカラ
ワタシヲ タノシマセテ
シツジミタイニ
イウコトキイテ

ワタシハ
ダレカノテヲ フリホドイテ
ココニキタノデス
ホシウラナイノ カードヲモッテ

アナタハ
カクゴヲキメテ
ヨワムシナノハシッテイルヨ
デモ
モウソツギョウダネ

イチバンダイジナモノヲ
ステテキテ
ソシテ
ワタシヲ
タベナイデ
アジミスルダケニ
シテオイテ

2012年10月29日月曜日

死んでいません  (書きかけのメール)

きょうも
生きていますか
息をしていますか
鼓動を胸の中で立てて

死んでいませんね

そうですか
それはよかった

私は
あなたが生きてさえいれば
死んでいなければ
まずはいいのです
生きてさえいれば
いろんな良くなる可能性がありますから

もし
あなたが何かに苦しんでいるなら
その闘いは
あなたを良くするための闘いだと思います
「良くする」ってどういうことか分からなくても
一生懸命やっているあなたを
私はすごいと思います

私は
生きているあなたを讃えたいと思います

私も一生懸命やっていますが
あなたに比べると
ずっと努力がたりないと思います
だから
私はあなたのようにもっとちゃんと苦しんで
必要な答えを見つけたいと思っています


2012/10/29

回転

お寿司が次々やってきて
目の前を過ぎていく
お寿司 こんにちは
お寿司 さようなら

押し寿司は
押されたね
巻き寿司は
巻かれたの?

お寿司が右からやってきて
左の方へ遠ざかる
お寿司 こんばんは
お寿司 おやすみなさい

にぎり寿司よ
ようこそ
お稲荷さんは
ごきげんよう

あの子もこの子もやってきて
目の前を過ぎていく
あの子 どこから来て
この子 どこへ行く

お嬢さん
トシ幾つ?
あなた
何の用?

2012年10月28日日曜日

中央線の電車

その独り身の中年男は
(初めて詩に登場するわけだが)
JR中央線のドア際の手すりに寄りかかりながら
ぼんやり考えていた
昔からその位置が好きだった

TwitterをiPhone4Sで眺めて
学生はいいなぁ と
つぶやいた

夢や希望
世間に知らないことが沢山ある
それは中年男にはないものだ
代わりに良くない常識や古傷や
幾つものシミが顔にあった

この中年男の生きる意味は
どこにあるのだろう
中年男は誰かに教えてほしいと願っていた
しかしそう願い始めてから
無駄な時が流れている気がしていた

電車は都心に向かい高架を走っていて
踏切がない
警鐘も聴こえない
走る音も静かになった

中年男には何が必要なのか
男は黙っていた
中央線の電車だけが
それを教えようとしていた

2012年10月27日土曜日

幼い魂

この身をいじめたら
誰かが何かを赦してくれるなどと
考えていた幼い魂は
正しい答えを見つけられぬまま
立ち枯れた林の間を
獣の鳴き声のようにさまよっている

さまよっている間に
いつの間にか
老いぼれてしまう

凍てつく月光をいつか
見ていたことがあったと魂は思い出そうとするが
未来の月の光と混じってしまって
分からなくなる

そうして
すべて分からなくなる
たださまよう魂は
安堵することなく
さまよい続ける
誰かの赦しを得られるはずがないと知りながら
命が果てるまで
さまよっているのか