2012年7月18日水曜日

あなたは私を無視しないの

信じてよ 私を
信じないでよ 私を
私に言われて変えないでよ あなた
私に言われて変えてよ あなた
あなたに抱かれたいの 私
あなたに抱かれたくないの 私
立ち入ってこないでよ あなた
立ち入ってよ あなた
しらけた顔で見物しないでよ 私たち
しらけた顔で見物してよ 私たち
雨が激しく降ってきたじゃないか 心の中
雨が激しく降ってきてないじゃないか 心の中
すべては私を飲み込まないの 死ぬまで
すべては私を飲み込むの 死ぬまで
あなたは私を無視するの 昨日から
あなたは私を無視しないの 昨日から

2012年7月17日火曜日

うえからものを

うえから ものをいうひと
したを みている

うえから ものをいわれるひと
うえを みている

うえから ものをいうひと
したしか みない

うえから ものをいわれるひと
ひろいうちゅうが ひろがっている

2012年7月16日月曜日

ぶんかいま

やきなす
やきな



きなこ

きな

こまったな
こまつな

こま
つた


まわり
ひまわり
まり

ひま


まり

なつのよ
つのよ


よの


りくつづき
りくつずき
くつ
つづき

くすりづけ
すりつけ

つけ



けつろん
けつろ
ろん

んろ

2012年7月15日日曜日

悲劇

崖は斜めに切り立っている
あなたの髪の生え際もまた
斜めに切り立っている

鳥は
どちらを目掛けて
降下したらいいのかわからない
という悲劇
と喜劇

日直

集中して聴いているのに
いくら聴いても分からない授業がある

簡単な足し算や
ちよっとした婉曲話法
誰もが知ってる当たり前の法則が
一箇所にまとまって何かを相談しているだけだ

いわば
私には関係ない事か
または
もともと私を欺こうと企てられた事なのか

水飲み場で
いじめる相手を待っているのは
いじめっこなのだろうか
関係ない人なのだろうか

休み時間のチャイムは
教室の大きな時計と
少しずれているが
それは
放っておいて大丈夫なのだろうか

音楽室から
ピアノの音と
歌う声に混じって
うめき声が聞こえてる

おお
ミステリー
僕らはますます集中力を空中で弄んで
巻きつけて
手首の血管を止めようとしている

何か不都合があれば
日直に言ってくださいと
きょうの日直が言っている
その日直がまずい
明日の日直のほうが
きょうの日直より
まっすぐに立っているから

2012年7月14日土曜日

おなかがすきました

おなかがすきました
「おなかがすきました」というシールを
胸に貼っておきたいくらい
いつもおなかがすいています

これは人類にとって
たいへん厄介な問題です
おなかがすくということは
食べなければならないから
食べなければならないということは
食べられてしまう側の命を奪うということだから

命を奪うということは
自分にその価値があると信じるいうことだから

ぼくはおなかをすかせて
頭を抱え込む
頭をかかえこんで
おなかを鳴らす

自分にそんな価値は見当たらない
人はぼくに価値があると
思ってくれているのだろうか
親や友だちは思っていてくれているだろう
仕事のパートナーもそう思っていてくれているだろうか
世間はどうだろうか

ぼくはおなかをすかせて
頭を抱え込むことしかできない

そうしているあいだにも
おなかがすきました
「おなかがすきました」という刺青を
背中に彫っておきたいくらい
いつもおなかがすいています

おなかがすくことから
逃れることはできないのでしょうか
食べ過ぎておなかを壊せば
もうたべたくなくなるでしょうか
いいえだめです
またすぐに食欲というものは復活を果たすでしょう
リバウンドして
ますますおなかがすいてしまうでしょう

もやは八方ふさがりです
八方焼きです
八宝菜です
たべたいです
おいしいものを
自分を生き延びさせる価値があると信じて

あなたは食べますか
食べ続けますか

あなたは食べていいとおもいます
ぼくはあなたに生き延びて欲しいです
あなたは生き延びる価値があると思います
食べられてしまう側の命より

だから生き延びて
ぼくに手本を示してください
そしてできれば
ぼくの価値を教えて欲しいのです
生きていっていいかどうかのその価値を

2012年7月13日金曜日

ホーホケキョ

変わり者だとうわさされ
誰も近寄らないあなたの
やさしさを私は知っています

普段はどんな服を着ているの?
初めて出会う人がいつも私に尋ねてくる

青空とは別れたわ
曇が好きなの
台風みたいに饒舌な人はキライよ
微かに葉を揺する夜風が最高ね

太陽が消え去ろうとしている
別れを惜しんで空が真っ赤に染め上げられる
想い出があなたの前に現れ
夜の闇が悪戯をそそのかす

楽しげな話には首を突っ込まない
出来上がった物語は
ドラム缶に突っ込んで燃やしてしまう

トンネルから夜の電車が飛び出すとき
ウグイスの鳴き声を重ねるあなた
ホーホケキョ

2012年7月12日木曜日

手のひらの町

君が手の指を立てて
手のひらで囲った小さな町には
雨が降るとフナの稚魚が泳ぐ
ベッドの上でカメラのレンズを見つめる瞳は濡れて
華奢な体がワンピにつつまれている
大胆な胸のカットからつややかな肌を現し
その肩がなめらかに見るものの視線を
滝つぼに誘い落とす

君はだれにとっての君なのか
君は私に君と呼ばれて何を考えるのか
柔らかい日差しの差し込む過去のある日のベッドの上で
君は答えなど持っているはずもなく

2012年7月11日水曜日

詩を書いていた

昔 毎週3編 詩を書いていたんだけど
一つは ラジオで朗読する用
一つは ブログに載せる用
一つは 雑誌に載せる用

ターゲットが決まっていたので
幸せな気分で書いていた
書く際の留意点を自分で決めて
それに添って書いていた

その時書いた詩は
残っているものもあるが
なくなってしまったものもある
会社がつぶれた時に
人に迷惑をかけてしまうんだからと
処分される机やパソコンと一緒に運びだされるのを
気配だけ感じながら見送った

詩は埴輪のように
黙って笑い土に埋まっただろう
僕の中には
幸せだった感覚がまだ残っている
凍えそうになったときは
その残り火に手をかざして
体が冷えきってしまうのを防いでいる

やることがある
人のためにやることがある
もしやらなければ
また自分の書いた詩を見捨てる


2012年7月10日火曜日

あなたと出会ったたとき

石造りの街であなたに出会ったとき
私は別の人と一緒でした
あなたはひとりで
何をしに来ていたのでしょう

オープンカフェで昼下がりに
穏やかな季節の風景を眺めながら
蜂蜜を絡めてこんがりローストしたフォアグラの
サンドウィッチを片手に
私は遠い街で出逢った別の人のことを考えていました

私の連れは舞踏会に行く準備がしたいと
そそくさと食事を終えて
ホテルに帰ってしまったのです

あなたは再び現れて
私の目の前をとぼとぼと通りすぎて行きました
とぼとぼと

その牧歌的な雰囲気に
私はいいしれぬ可笑しみを覚えて
思わず顔の筋肉を
映画スターのようにキュートに締めたのです

それからあなたのことを
しばらく考えていました
なんとなく
いろんなところで出会い
挨拶を交わし
すれ違ったあなたと私

いつのまにか夜になって
私は石の外壁の周りを回りこんで
舞踏会の会場に連れと行きました

シャンパングラスとワイングラスは
こうも様々な種類の優雅な線と輝きを
描いているものなんだと感心していると
そこに銀の皿でカナッペをサーブして回る
あなたが現れました

階段の上の壁には
ライオンの彫像が貼り付けられています
私は笑顔を作って
舞踏会をこなし
部屋に帰りシャワーを浴びると
ベッドに倒れ込みました

そこにはあなたが居たのです
なんということか
連れはあなただったのです