死んでいったひとが
生きている私に
何を望んでいるのかはわからない
ただ
生き残ってしまった私は
死んだ人のことばかりを
考える
それが的を射ているかはわからない
いや 多分外れているにきまっている
私はそれでも
いつも死んでいった人の傍らに戻って
いつもと同じことを『癖』のように考える
あなたは何を言おうとしているの
その笑顔は何かの皮肉なの
何度繰り返しても
その答えが
返ってくるはずはない
返ってくるとしても
きっとそれは私が何か別のことに夢中になっている時
メールの着信のように
ブルっと私の体のどこかを震わせて
やってくる
素知らぬ姿で
だから私はそれに気づかない
それに気づけない
*
生きている私に
死んでいる人のことは分からない
どうしても生きている人の事情で考えてしまう
生きていると
死ぬ気でやればできることがあるような気がする
けれど
私は死ぬ気でやったことがない
死んでいる人たちは
生きる気でやればなんでもできると思うのだろうか
死ぬ気で生きるとはどういうことなのか
死に近づこうとすることなのか
例えば息を止めて真っ白になって
生きるということなのか
そうすると
死んだ人と近くなるということなのか
それが死に物狂いでやったことへの
褒美だと神様は思っているのか
*
トーストを焼きながら
死んでしまった人のことを思う
死んだ人は
トーストが焼ける匂いと
焦げ目に塗られたバターの狭間で
何を考えているのだろう
その死んだ人は
私が創りだした人と
いつの間にか入れ替わってしまっていやしないか
ミルクを注ぎ
フライパンを流しに置く
死んでしまった人は
どこにいるのだろう
まさか
私の中にいるというのだろうか
*
大事な人が死んでしまったので
大事なものが一つなくなりました
大事なものが生み出したであろう思い出は
数えきれないほどなくなりました
大事な人が死んでしまって
大事な人が大事な人であったことがよく分かりました
でも大事な人は
死んだのが自分でよかったと思っているのでしょうか
私が生き残ってよかったと思っているのでしょうか
大事な人は
本当は一緒に死にたいと思ったのではないでしょうか
もし私だったら
大事な人と死んでも一緒にいたいから
そんなふうに思えます
でも大事な人は死んでしまったので
聞きただすことはできません
大事な人は
きっと私と一緒に死にたかったのだと思います
死んで私と会えなくなるのは
死ぬこと以上に辛かったに違いありません
でも私は
たとえそうだったとしても
ひとり 生き残ってよかったと思います
大事な人と別れてでも
生きていてよかったと思います
なぜかは分かりません
あれから季節がいくつも過ぎて
またこの季節のこの芳りが
私を包むからでしょうか
きょうは
薄ぼんやりした明け方の景色の中で
そんなことを考えているのです
*
あなたがどうやって死んでいったか
何をみて
何にすがりながら死んでいったか
私にはわかりません
死が訪れて
あなたの体に何が起こったのか
あなたの思いや気持ちが何になったにか
私にはわかりません
あなたはあなたの体から離れ
目も耳も口も何もかもなくなり
脳に収められていた記憶もなくなり
体の感覚もすべてなくなり
もうあなたには何も
残ってないのでしょうか
私はあなたを思っているけれど
あなたにはもうなにも
残ってないのでしょうか
2014年6月29日日曜日
2014年6月21日土曜日
私が眠れないのは
私が眠れないのは
契約を結んでいないアイツが
どこかの街で
パーツを売買し続けるからだ
私はとりあえず眠らずに番をしなければならないのだ
アイツが誰と契約すべきか
私は知らぬ
アイツが誰であるかも
資格があるかどうかも
関係ないし分かりもしない
私がどこを見張っているかさえ
とっくに見失いどうでもいいこととなった
アイツは独りでやっているようで
時に群集だ
アイツは満足気に笑うこともあるが
さめざめして泣くことができないこともある
アイツは二人称を装った
三人称もしくは一人称だ
私は夏の太陽になまあくびをして
二の腕に刻印を押す
だがその刻印は白く濁っている
ねじりの利いたブレスレットは汗に溶けて
退色している
私はアイツを許さないだろう
だがアイツが私と会うことはないだろう
アイツはなぜ売買しているのか
私が番をしている罰として
アイツは売買をつづけるのか
売っては買い
買っては売る
買っては売って
売っては買って
契約を結んでいないアイツが
どこかの街で
パーツを売買し続けるからだ
私はとりあえず眠らずに番をしなければならないのだ
アイツが誰と契約すべきか
私は知らぬ
アイツが誰であるかも
資格があるかどうかも
関係ないし分かりもしない
私がどこを見張っているかさえ
とっくに見失いどうでもいいこととなった
アイツは独りでやっているようで
時に群集だ
アイツは満足気に笑うこともあるが
さめざめして泣くことができないこともある
アイツは二人称を装った
三人称もしくは一人称だ
私は夏の太陽になまあくびをして
二の腕に刻印を押す
だがその刻印は白く濁っている
ねじりの利いたブレスレットは汗に溶けて
退色している
私はアイツを許さないだろう
だがアイツが私と会うことはないだろう
アイツはなぜ売買しているのか
私が番をしている罰として
アイツは売買をつづけるのか
売っては買い
買っては売る
買っては売って
売っては買って
2014年6月19日木曜日
忘却 それは盆地か
昼間のノイズ
白いレースのカーテンが風に揺れている
室内と外とを往ったり来たりしている
地球の
視える限りの球の頂点にいるはずなのに
なぜだか
忘却という名前がついた盆地の底深く沈んでいるのだと
感じる
机の上のモニターのスピーカーから
自分が歌詞を作った歌が聴こえてくる
地平線の彼方には
もう還ることがない人がいるにきまっている
しばらく会わない人も混ざっているかもしれない
ピアノが歌を盛り上げる
私の心も引かれていく
こうして心が動くことは幸せなことだ
幸せは
生活を見つめた消費者のためにだけある言葉ではない
あたりまえのことだ
椅子の上に私はいる
しばらくすると
椅子の上に
私はいない
忘却のコンパスが狂ったように
回る
その針の先が私を指している
意味はわからない
ドアを開けて外にでれば
日差しが照らすだろう
時刻表が導くだろう
太陽を裏側に回した地球の闇の海の真ん中へと
2014年6月18日水曜日
どうしてこんなにキスしたいんでしょう
どうしてこんなにキスしたいんでしょう
キスしたくてたまんないんでしょう
あなたはわたしのまえで
もうはだかになっていて
わたしをこばむけれど
紐で縛り付けられて
身動きができないあなたを
いたぶるように
キスすると
それを合図に
あなたとわたしのまわりに
お決まりの虹色の輪がひろがり蝶が舞う
どうしてこんなにキスしたいんでしょう
もうあなたは
わたしと長いキスをして
合わさった部分からとろけている
どうしてこんなにキスしたいんでしょう
わたしの眼はあなたの上に
わたしを重ねて映すばかり
夏の予感が肌を刺す日に
わたしはバスに乗って美術館をあとにするけど
2014年6月16日月曜日
大事な時を
次のチャンスが巡ってきたら
今度はきっと手に入れる
と
チャンスが来るのを待っていて
前に進むの忘れてる
チャンスはどっちの方向からやってくるのか
知っているの?
きっと思いもよらない方向からやってくるから
それを手にするには
敏感なセンサーと
機敏な動きが絶対必要
だから
ただ止まって待っていても
いざという時 動けない
次のチャンスが巡ってきたら
今度はきっと手に入れる
と
今度はきっと手に入れる
と
チャンスが来るのを待っていて
前に進むの忘れてる
チャンスはどっちの方向からやってくるのか
知っているの?
きっと思いもよらない方向からやってくるから
それを手にするには
敏感なセンサーと
機敏な動きが絶対必要
だから
ただ止まって待っていても
いざという時 動けない
次のチャンスが巡ってきたら
今度はきっと手に入れる
と
言っていたあの子が
チャンスが来るのを待っていて
前に進むの忘れてる
あの子が
自分自身がチャンスをまとっているのに
気付かずに
いまも
大事な時を
やり過ごしてる
あの子が
自分自身がチャンスをまとっているのに
気付かずに
いまも
大事な時を
やり過ごしてる
2014年6月12日木曜日
一枚の葉
まだ寝ているのかい と
風に翻った葉っぱが
窓越しに語りかけてきた
ぼくは
眩しくて眼を覆った
そして
あたらしい一日に挑もうと
心にエンジンをかけようとした
オイルが切れているのか
エンジンは頼りない悲鳴をあげて
ぼくに助けを求めてきた
ぼくは
素知らぬふりを決め込んで
小さなエンジンを抱えたあの子のことを
考えた
歩く早さを合わせれば
話すことができる
ぼくが見つめれば
見つめ返してくれる
ふたりが歩いて行く遠景を
眺めている
高台にある一本の樹の
一枚の葉よ
風に翻った葉っぱが
窓越しに語りかけてきた
ぼくは
眩しくて眼を覆った
そして
あたらしい一日に挑もうと
心にエンジンをかけようとした
オイルが切れているのか
エンジンは頼りない悲鳴をあげて
ぼくに助けを求めてきた
ぼくは
素知らぬふりを決め込んで
小さなエンジンを抱えたあの子のことを
考えた
歩く早さを合わせれば
話すことができる
ぼくが見つめれば
見つめ返してくれる
ふたりが歩いて行く遠景を
眺めている
高台にある一本の樹の
一枚の葉よ
2014年6月10日火曜日
みちるからのお知らせ
みちるです。
いつも読んでくださっている方、ありがあとうございます。
いままでこのブログを、ほぼ毎日更新をしてきましたが、
暫くの間、不定期とさせていただきます。
毎日更新することも可能といえば可能なのですが
もっと創作の方向性をきちんと打ち出すために、
それに適わないものは発表しないことにしたいと思うからです。
そうはいっても、
まだ方向性に迷いがあり、揺れ動いて入るのですが。
どうか、わがままをお許し下さい。
そしてこれからも
みちるの詩をご愛読くださいますよう、お願いいたします。
みちる
いつも読んでくださっている方、ありがあとうございます。
いままでこのブログを、ほぼ毎日更新をしてきましたが、
暫くの間、不定期とさせていただきます。
毎日更新することも可能といえば可能なのですが
もっと創作の方向性をきちんと打ち出すために、
それに適わないものは発表しないことにしたいと思うからです。
そうはいっても、
まだ方向性に迷いがあり、揺れ動いて入るのですが。
どうか、わがままをお許し下さい。
そしてこれからも
みちるの詩をご愛読くださいますよう、お願いいたします。
みちる
2014年6月7日土曜日
古傷のようになってしまったわ
私は西の空に太陽を沈めているというのに
あなたは日が暮れるのを見ることもできない
私は八百屋と肉屋でアルバイトして
サラミを店主の目を見てつまみ食いしたが
新入りのカレとカノジョのカップル(アルバイト)は
生ハムとワインまでいただいちゃってる
古傷のようになってしまったわ
空の割れ目から声が聞こえてきた
階段を登るとき
西日が差して胸が傷んだ
私は傷ついた人が口にするまえに
声を出して言う
古傷のようになってしまったわ
と
あなたは日が暮れるのを見ることもできない
私は八百屋と肉屋でアルバイトして
サラミを店主の目を見てつまみ食いしたが
新入りのカレとカノジョのカップル(アルバイト)は
生ハムとワインまでいただいちゃってる
空の割れ目から声が聞こえてきた
階段を登るとき
西日が差して胸が傷んだ
私は傷ついた人が口にするまえに
声を出して言う
古傷のようになってしまったわ
と
2014年6月6日金曜日
あなたのとなりにねころんだら
あなたのとなりにねころんだら
ちくちくした
あなたからはなれたら
こころが しくしくした
あなたがどこかへいってしまったら
しくはっくした
あなたがべつのひとといたら
はなが ぴくぴくした
あなたがわたしをころすっていったら
ちかちかした
おかしいな
もう おほしさまになったにたい
わたし
ちくちくした
あなたからはなれたら
こころが しくしくした
あなたがどこかへいってしまったら
しくはっくした
あなたがべつのひとといたら
はなが ぴくぴくした
あなたがわたしをころすっていったら
ちかちかした
おかしいな
もう おほしさまになったにたい
わたし
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