2012年8月10日金曜日

悲しみを持っている人が

悲しみを持っている人が手にしたら
にぎやかな花火まで湿気ってしまい
何度やっても
火が点かない

私の心も同じ
でも
それでも
あなたのそばに 
ずっと居たい

2012年8月9日木曜日

泣きたい心は

泣きたい心は蝉にあずけて
ぼくはすました顔をする
どこにいくかは電車にまかせて
知らない駅で降りましょう

2012年8月8日水曜日

友達の数は多いほうがいいですか

友達の数は多いほうがいいですか
少ないほうがいいですか
友達とは
言葉で喋れたほうがいいですか

いいものは分け合ったほうがいいですか
独り占めしたほうがいいですか
車より電車のほうがいいですか
電車よりバスのほうがいいですか
日暮れより朝焼けの空が好きですか
何もない空と雲のある空とどちらがいいですか
途中でやめるよりやらなかったほうがいいですか
やるときには準備したほうがいいですか
苦し紛れに
言い訳を言ったほうがいいですか
言わないほうがいいですか
お金より命のほうがいいですか
お金のほうがいいですか
五月蝿いのと静かなのとどちらがいいですか
詩と散文ではどちらがいいですか
詩でないものは散文でないものより良くないですか
私にはわからないことがたくさんあるのと
わかることばかりなのとでは
どちらがいいですか
あなたは答えるのと質問するのとでは
どちらがいいですか
耳を塞ぐのと
目を塞ぐのではどちらがいいですか
喋れないほうがいいですか
いいものは分け合ったほうがいいですか
分け合うなら
ないほうがいいですか
あったほうがいいですか

2012年8月7日火曜日

北京のメモ用紙

僕は北京のメモ用紙が好きだ。
四角く白いやや厚めの紙。
手のひらに持つと指だけが鈎(かぎ)のように引っかかる。
天糊で綴じてある。
僕はそこにメモリたいことを書くのが好きだ。
寝ぼけ眼で起きぬけに夢を書いたりするのが一番好きだ。
書かれたことは他人には意味不明でも自分には分かる。
メモ用紙が応援してくれるからだ。
メモ用紙は威張っていない。
とても律儀で控えめで主張し過ぎない。
誰かさんに見習って欲しいくらいだ。
私はメモ用紙をよく持ち歩く。
鞄の中へ放り込み、ついでにペンも放り込んで、よく、手探りで見つけ出して取り出しては使う。
メモ用紙にはなくならないで欲しい。
一生そばに居て欲しい。
そして私が人生を終えた後にも、私の友だちや親しかった人の言葉をメモして欲しい。
その場に居ない私に対するメッセージをメモして欲しい。
消えないインクでも、消しゴムで消せる文字でも、落書きのような絵でも、なんでもいいから。
逆らわないでメモ用紙は答えてくれるだろう。
自分の役目を全うして、きみはそのあとどうするのか、その計画はどこに記せばいいのか、答えを知らなくても。


注釈
じっさいには「北京のメモ用紙」は中国国内で製造されたものではなく、輸入されたものである。筆者が賞賛するメモ用紙は、筆者が宿泊したホテルの備品として設置されていたものであり、「北京のメモ用紙」と呼称するにはいささか無理がある。ただ筆者にはそう呼ぶことしか出来ない「何かの特別な思い」が存在し、その「何かの特別な思い」こそがこの詩の主題となっていることは、誰の眼にも明らかだろう。

2012年8月6日月曜日

それは私のこと

もう一つの入口は他人の家の中
畳にスリッパの影がうつり
小さな二人乗りモノレールが
柵だらけの広場からやってくる
公共の乗り物なのに民家のお茶の間を通るルート
別れる寸前のカップルがしんみりして向き合っていたり

死んだ人も生きていた時と同じようにゲラゲラ笑って団子を食べている
民話の登場人物や動物たちも朝から晩まで持ち場に集い
人の気配を気にしている

深刻な人は首すじに汗を流している
腹は膨れすぎ
引きこもりに根が生える


2012年8月5日日曜日

おなじことを

おなじことをなんどもくりかえすことは  いいことです  おなじことにあきてしまうのは  それはこころがわるいのです  いいことはくりかえしやる   わるいことだけくりかえさないというのはわがままです  わるいことをくりかえしたとき   いいこころがたいこうしようとしてそだちます  まいにちくりかえすものを   みならいましょう   しぜんとちきゅうがまわるように   みずがひくいところへながれるように   まわりじゅうのものと   いったいになります   そうすればちいさなじぶんのなかに   ひろいうちゅうがひろがり   からだのにくも   ひふも   そとがわも   うちがわも   かんけいなくなります    くりかえしおなじことをおなじようにすると   じぶんがうちゅうであることに   みたされます

世の中の人間に混じって

世の中の人間に混じって遊んでいるが
自分は世の中の人間ではないので
いつか世の中から出なければならない
 
このような人はもちろん私だけではなく
大勢いるのだ
たとえば砂場で遊んでいる砂田君や
川上で木の実を取っては選別している川上さん
猫と遊んでいる猫田さん
野原で口をあけて眠っている野口さんだってきっとそうだ
 
だが井戸の上で食事ができるのを待っている井上さんは
世の中の人間だ
広い神社で「末吉」ばかり出るという噂のおみくじを作って売っている広吉君も
そちらの人間だ
 
けして差別しているわけではない
差別されることは多いので
差別の意識からは離れられないが
 
世の中にいろんな居住区があやふやに設置されているが
(これは昔 誰かが暗黙のうちに共闘してこのようにしたものなのだが)
もうそのことを意識する人も知る人も少なくなった
 
 
 
 
 
 
 

2012年8月3日金曜日

あなたがいるから

母に抱かれて初めて外に出た日の
風の香りを覚えていますか?
背中に感じた自分の重さを
日差しの中に輝いて見えたものを

あなたは何もかも
いまはなかったことに
しているのではありませんか

あの日と同じように太陽が巡っている
どこかで同じ花が咲き乱れている
あなたがいなくても
あなたがいても

だが
あなたがいて初めて
私のこの世界は美しく
地球とともに公転し始める

2012年8月2日木曜日

わたしはだあれ?

ぐーにゃんは
女の子
ぐーにゃんは
自分のことを
ぅおあ
といい
友だちは
りんりんと呼び
教会の牧師さんは
しゃおちえと呼び
外国の友だちは
りょうと声をかけくる

日本人は
りゅうさんと呼び
中国人は
しゃおりょうとよび
妹は
ちえちえと呼ぶ

ぐーにゃんはだあれ?
ぐーにゃんは女の子
私は女の子
私はだあれ?


2012年8月1日水曜日

ちょっと変なプロポーズ

不安な時間には
胸を締め付けられ
首根っこを押さえられ
手足を縛られ
猿轡をされている

不安定な時間には
崖に追い立てられ
宙に吊るされ
真っ暗闇に魑魅魍魎が蠢き
耳の奥で断末魔が聞こえる

やりきれない時間には
すべてが台無しになり
辱めを受け
大事なひとを人質に捕られ
台風と火事と事故に見まわれる

そんなことばかりの私です
あなたは私をどう攻めますか