これから死ぬまで
過去だけで生きていける
彼女はそう思ったが
梢で渦巻く風は違うよと言った
明日も私は
途方に暮れているだろう
だが思わぬ幸運が
彼女に飛びつこうとしていた
だから
少し早起きして
身支度をして
好きだった場所に
歩いて行くんだ
俯(うつむ)いたままでいいから
これから死ぬまで
*1
月が一つ
闇空のてっぺんで明るく光っているだけなのに
学食にはいつも幽霊がたむろしている
木の葉が横切った
あいさつもなしに
乾いた音を残して
あれ? ひょっとして
それがあいさつ?
コノハ 木の葉
木の葉 コノハ
大事な人が いなくなって
木の葉が横切った
向こうの植え込みに
消えていった
なにか相談でも
しているのか
この季節を横切って行く私の相手は
できないね
私は湿った人間だから
自分勝手な「言葉」というものを
もっているから