封筒の中に
何が入っているのか
思い出せない
それは
見たことがある
よく知っている封筒
封が外れかかっている
でも
凛とした封筒
誰が何をいついれたのか
分からない
それを誰が知っているかも
忘れてしまった
でも
ここにある 封筒
私がここに来る前から
ここにあった
静止した風が
出てきたがっているかも
知るよしもない
隣人に不利な何かが
入っているのか
信心深い人を喜ばす何かが
入っているのか
見ていると
目眩さえしてくる
四角く視界をふ塞ぎ
静かにたたずむ
封筒
 
 
 
            
        
          
        
          
        
いつもあなたがいたキッチンに いまも
あなたがいるような気がして
見てしまう 何度も
でも そこに あなたはいない
いつもあなたに注意された 悪いくせ
あなたに見られたようなきがして
ハッとして 振り向く
でも そこに あなたはいない
あなたは ほんとうに
いなくなってしまった
どこかへ いってしまった
私は あなたを
待つことはできない
あなたは
帰ってこない
あなたの気配を
まって
生きていくだけ
 
 
 
            
        
          
        
          
        
ゆきだるまが
おこっていたのは
つくったひとに
みすてられたから
ゆきだるまだって
ずっと
おもっていてほしい
つくったひとに
そんなこと
ぼくにだって
わかる
つくったのは
おとな
せけんをわたり
よごれてしまった
おとな
ゆきだるまは
おしえてくれた
あんなおとなに
なっちゃいけないと
ぜったいならないよ
ぼくは
つくったものをだいじにする
おとなになる
あんな
よごれたおとなには
ぜったいならない
そして
よごれたおとなに
いつも
きみのことを
はなしてあげたい
 
 
 
帰り道が待っている
少し表情を暗くして
帰り道に足を踏み入れる
来たときの足跡をチラ見して
帰り道は家へとつづく
それはいつも変わらない真実
帰り道で寄り道しても
また帰り道に組み込まれる
帰り道を逆に歩いて
帰らない勇気はまだない
いつも帰り道が待っている
凡庸が顔を現す
けれども すがりつきたい毎日がある
 
 
 
            
        
          
        
          
        
わごむひいて
あのこのせなか
ねらってあてる
ごめんね あてて
てくびにはめて
ちをせきとめる
だれかにじまん
したくって
たくさんつなげ
ごむとびしよう
ぱんつのごむも
ひきいれて
こわれたふたを
わごむでとめて
がっこうへいく
いいきぶん
 
 
 
            
        
          
        
          
        
むっつりがおが
かわいいね
おこったしぐさが
しんせんだ
ほおづえついても
えになるね
ないてすがるの?
スヌーピーに
あっさりしてて
さびしいよ
だまったままは
かなしいな
わらうのこらえて
おこりがお
あまのじゃくだね
マイ・ダーリン
 
 
 
            
        
          
        
          
        
私が疲れて帰ってきて表紙をひらいても
きみはため息をつかない
居住まいを正して
八百屋がトマトやごぼうやレタスを並べるように
活字を並べている
きみは愚痴を言わず
飽きることもなく
同じ話を
どこからでも
話してくれる
だがきみは 表紙を閉じると
話すのをやめてしまう
その表紙を誰かが開けてくれるのを
ひたすら待っているだけだ
この家にやって来たとき
きみは私のかたわらで
幸せそうにしていた
私の不幸と釣り合って
私に居場所を支えてくれた
私はきみに何ができただろう
愛を注いだことはあったが
旧い昔の恋人のように
思い出の中にしまい込み
たまに取り出してみるだけだった
そして
きみのページの間に
映画の半券をはさみ
どんよりと雲がたれ込めた日に
きみをテーブルの上に投げつけた
そのときもきみは
怒りもせず
ただ表紙を再びあけてくれるのを
待っているだけだった
 
 
 
            
        
          
        
          
        
くやしいときは
なみだかくして
おおきなこえで
わらうのさ
くるしいときは
そとにとびでて
だいすきなもの
にらむのさ
さびしいときは
あまえたことば
きいてもらおう
ののはなに
 
 
 
            
        
          
        
          
        
おとこのこは
ひそかにちんこを
おもってる
ともだちたちの
ちんこのことをよくしっている
おとこのこは
ひそかにちんこをくらべている
いいちんこには
いいじんせいがまっているから
おとこのこは 
ちんこにいっしょうをささげる
だからちんこをほめられるとしあわせで
けなされるとふしあわせだ
おとこのこはちんこを
ぴかぴかにみがきあげ
なんどでもみつめる
ちんこにじしんがもてないこは
ちんこいがいでじしんをもてないか
いっしょうけんめいかんがえる
そんなことには
とうのちんこはおかまいなしだけど
あるひちんこはたびにでる
すきなあなをもとめて
ながいだびにでる
おとこのこは
おずおずとついてゆく
そして
あるひ
ちんこから
こういわれる
「きみはぼくより
   りっぱなにんげんだろうか」
すると
おとこのこはきまって
うつむいたままこうこたえる
「ぼくはもっとりっぱになる
   きみがいてもいなくても
   へいきなくらい」
ちんこはだまってきいている
ちんこには
ともだちがいなかったから
おとこのこは
そんなちんこを
ふびんにおもう
ちんことは
もちつもたれつのかんけいだ
ぱぱのちんこが
ゆめのなかでかたっている
ちんこのことは
あまりきにするなと
どんなちんこをもっていても
にんげんはじぶんのじんせいが
じぶんでつくれるから
ちんこにかんけいなく
いいじんせいが
まっているから
と
 
 
 
            
        
          
        
          
        
ちんこがぼうちょうして
そらをみあげてた
ぼくはそれをむりやり
ぱんつにおしこんで
がっこうへかけていった
おんなのこのおっぱいが
あるくたびに
ちいさくなみうって
すかーとが
ゆれて
なかからぼくをさそっている
ぼくはちんこで
おいでおいでする
ぼくのからだは
おんなのこに
むいている
こんなにはなれているのに
くっついてはなれない
ちえのわみたいに