2013年1月20日日曜日

僕が詩を書くと

僕が詩を書くと誰かがコメントをつけて
詩を完成させてくれる
そういう詩は決まって僕が一人書いたものよりいい

そのうち
僕が詩を書かなくても詩がが完成するかもしれないね
と思う

僕は真面目に詩を書いて
誰かがコメントをつける
すると詩は完成し
それを読んでまた
僕は詩を書いて
誰かがコメントをつける

果てしのない行為のように感じられるが
いつか僕は詩が書けなくなる
その時どんなコメントが書かれるだろうか
そして誰が詩を書き始めるだろうか

2013年1月19日土曜日

9階のコピー機

9階にお化けがやってくる
9階のコピーは壊れている
1階でコピー機の会社の営業マンとサービスマンが
寛いで喋っている
そこは昼休みの食堂だ
だが上の階の夜の会社にお化けがやってくる
ヘアピンカーブをいくつも越えて登って降りてやってくる
お化けに悪魔が宿る
胸のドキドキが止まらない
体中の関節が悲鳴をあげている
体の中に筒が入っている
タケノコの皮のように体がむける
残業中の社長は暗がりで怯えて
発狂寸前だ
救いがどこにあるのか探す気にもならない
過ぎ去るのを祈るのみ

2013年1月18日金曜日

詩人のしりとり


ちくわぶ
ぶんどき
きちがい
いしがま
まめがし
しょちしつ
つりかわ
わそう
うろ
ろう
うりざねがお
おくぶたえ
えきちょう
うまのり
りんかい
いずりょこう
うつみみどり
りきてっくす
すしねた
たにし
しめ
めんこ
こうくり
りかーしょっぷ
ぷりんさんでー
でーもんこぐれ
れすとはうす
すしず
ずしまりーな
なきすな
なまり
りんぼうだんす
すーつけーす
すかんぴ
ぴろしき
きじむなー
なかのく
くく
くま
まくらばなし
しきい
いきしに
にしき
きし
しき
きく
くし
しみ
みき
きみ
みこし
しし
しーずんおふ
ふすま
まいうー
うす
すり
りみっくす
すらっくす
すしづめ
めいく
くつわむし
しすてむおぺれーたー
たぬきおやじ
じんちゅうみまい
いりこだし
しり
りし
しし
しか
かし
しじん

2013年1月17日木曜日

寒い風が

寒い風は君に何を語る
寒い風に君は何を祈る
寒い風が春を運び来るか
寒い風はただ吹き荒れるのみ

寒い風は君に何を語る
寒い風に君は何を祈る
寒い風はただ吹きゆくのみ
寒い風は心に灯を点すのみ

寒い心に君は何を告げる
寒い風が寒い心と触れ合い
友だちだと自覚する

2013年1月16日水曜日

寝心地が悪いのは・・・


きょうの風は大丈夫です
海で生まれ波を蹴り砂浜と森を抜け
雪の積もった屋根を越えて
やってきましたが
怪しいものには触らなかった

顔という丸い大地にきて
そのカラダのなかにも
分かれて入っていった

少女は産毛をふるわせて
何かをしていた

きのうの風は
だめでした
悪いものを含んでいた
怪しいものに触ってしまった

風は素直だから
そのうえ
気まぐれ風まかせだから
気づいていない

運んでは行けないものがあると

人は風のせいにして
風の強い夜には
寝心地が悪い

2013年1月15日火曜日

足は長い

足が長過ぎて邪魔なので
切ってくれないかと医者に相談したら
バカもの、
長くて何の不自由があるか、
短くて伸ばしてほしいと言って来る者はあるが、
バカもの、
痴れ者、
アホンダラ、
できない、
やらない、
あっかんべー、
と言われてしまったので
長い足を竹馬のように互い違いに前に出して
地下鉄に乗って家へ帰った

とんだ無駄足だった

足は短い


足は短い
長くはならない
あきらめなさいと
先輩が言う

胴より足は短い
僕は背の低い少年より
短い足を付けている

曇り空の凧を見上げて
あの足より短い と
嘆かわしくなる

2013年1月14日月曜日

道を湿らせて

川沿いの道を歩いた
本社の秘書たちは思い思いに
愛しい人を待っていた

社長は人間が
空き缶をかぶったようなものだ

空き缶の中の
剥かれたトマトは
震えながら恋人の体内に入ることを
夢みている

見知らぬ発情した男と
川沿いですれ違い様にガキーンと視線がぶつかった女は
カワラヒワの背中の水はけに
嫉妬しているが
互いに欲する男の前では
すぐさましっとりする

そして
川沿いの乾いた道を
湿らせて帰っていく

2013年1月13日日曜日

寂しい私を

沈んだ太陽を追いかけて
遠くの空に鳥の影が消えていきました
きょうの空は
いつかみたあの空とつながっていて
寂しい私を手招きします
過去は私の味方でしょうか

密かに隠しておくつもりでいて
そのことさえ忘れてしまった宝物が
今もどこかで光り
うずいているのでしょうか

2013年1月12日土曜日

僕が憶えていることを

僕が憶えていることを
母は憶えていない
母が忘れた辛いことだけ
僕も忘れてしまおう

父がやっていたことを
僕は斜めにみていた
僕がやったことを
父はいつもまっすぐみていた

愛する人の笑顔を
僕は大切にしようとした
僕を愛する人は
僕のすべてを守ろうとした