2012年12月25日火曜日

それが私の人生さ

隠すことに夢中になって
大事なことは後回し
それが私の人生さ

真剣勝負はなるべく避けて
誤魔化しやりくりしてばかり
それが私の人生さ

気づいたときには手遅れで
それでもそれも知らんぷり
それが私の人生さ

それが私の
つまらぬ人生さ

2012年12月24日月曜日

吹きだまりの星

吹きだまりでやさぐれた心を自ら癒そうとして
煙草に火をつけた
赤い火の玉を燃やし煙を纏う君
クリスマスの音楽と騒ぎ声で溢れるあたりに
人気がなくなったら星屑でも拾いに行ってみるかと君は
頭の端っこで思っているが
疲れに襲われたらいつものように
朝まで夢の中をさまようことになると知っている

幸せの記号がどんなものか知らないまま
それはいつか引っ越してきたお嬢さんが首につけていた
あの光るナニのようなものかと思っていたこともあったが
幸せを掴み損ねた脱落者とつるむようになり
幸せがどんなものなのか考えるセンスも
ヒントさえも忘れてしまった
ご縁がなかったということでごめんなさい
と世界中の天使や神様や悪魔にも言われたような気がしていた

クリスマスツリーは
よく燃えるのかな
飾りをいっぱいつけた巨木はさぞかしよく燃えて
山裾の廃墟の低い窓からもよく見えることだろう

寒さがどんどん増してくるのがわかる
煙はまだその辺を漂っているが
こんな夜に猫は喧嘩して唸っている
沈黙がこわいわけじゃあるまいに

壁の中が透けてみえるのは
マッチ売りの少女の話
あれは本当は娼婦の話だとどこかのバカが言っていた
あの子は幸せになったのか憶えていない
多分なっていないだろう
なっていたとしてもすぐに終わっただろう

人が幸せを感じるのは他人よりマシだと感じた時
あるいは諦めがついた時
あるいはどうでもよくなったとき

吹きだまりの君は煙草を投げ捨てて空中で
スニーカーで蹴り上げた
赤い流れ星に気づいたものはいなかった

風を光に変えます

風を光に変えます
光を言葉に変えます
言葉を風に変えます

ケーキはいかがでしょう 2

2012年12月23日日曜日

自転車があったなら


私は客なのだが成り行き上 床を掃除している

昨日までは社長をやっていた

店員より私のほうが上手いだろう

線路際の食堂は冬には寒々とするほど全面ガラス戸で囲われていて

電車が通るたびに長閑にがたがたいっている

さっきまで私は秘密の女と石段の下の踏み切りのところで

いちゃついていた

秘書に知られたら彼女がかわいそうだと気もそぞろに

その落ち着きのなさに久々の新鮮な快楽を得て

 

しかしこの汚れやすい床は

いくら掃除してもきれいにならない

まるでそれが狙いであるかのように

油汚れを永遠に引きずり回すようだ

それでも

私は掃除が上手だ

 

巷では安部政権が発足するというが

その稼働率が四割ほどになったとき

私の口の中で

液晶表示装置の白い文字が

16ドットのゴシック体で

文字をスクロール表示することになっている

 

八又(やつまた)さんとできちゃった

私の中はそのニュースで持ちきりで

すごく忙しいから

夕方になるのも忘れて床をしごいている

自転車があったなら

すこしは

はかどったかも知れない

ケーキはいかがでしょう

2012年12月22日土曜日

望み

秘密の人ごみ
やわらかな路
暗い気持ちには
居留守をつかい
知らん顔

あったかいブーツを履き
近場へトリップ
あのこはストリートダンサーを
振ったばかり

群馬県の家から
東中野まで
体力勝負で通い
スレンダーな体に
お尻の上までの長い髪を
なびかせて
香りを振りまく

許されるなら
土星の影で
すべてを奪い確かめたい
彼女が何をしたいのかを

2012年12月21日金曜日

20121222

親切そうな男の人が
お金の振込先を教えてくれる
そしてお待たせしたら悪いからと
預かり証を用意して
あとは自分がやるから
もう帰っていいという

小雪が昼下がりの郊外の街の
ビルの谷間に舞い降りる

駅ビルにはちょっと値段が高めの
この国の何処に行ってもある
安心感のあるお店が連なり
客を誘い込んでいる

親切そうな男の人は
預かり証を渡して
さあお帰りくださいと
笑顔で挨拶する

本社は彼の人柄とは関係なく
別のものと繋がっていて
人々の間に根を張って
養分を取り入れている

ニュースでは
戦地で死んで行った
ジャーナリストの特集が流されている
昨日は傭兵のアルバイトの暴露話の番組が流されたばかりだ

グラッとまた震度3の地震

2012年12月20日木曜日

思い出は整理しなくていい

思い出は整理しなくていい
カバンを振り回して
好きなあいつも踏み越えて行け

2012年12月19日水曜日

マツザキヨシユキ

私の名前には
いつも雪が降っている
松の木のこずえに
気障に積もった雪が
私を励ましてくれる

「よし!」と
元気いい声を出して