2011年8月8日月曜日

松に木の枝の葉に 『松の木の下で』に寄せて

御徒町凧さんへのオマージュ


松の木の枝の葉の間を吹く風は
尖っているだろうか

日差しの糸が幾重にも絡みついて
ザラザラしていて
円錐の底面を貼り合わせた形となっている

吹き方は流し素麺が
乱れ飛ぶ感じだ

松の木の枝の下で
松ぼっくりと栗鼠のことを
考えると
風が一層強まって
吹き飛ばそうとする

吹き飛ばされるのは
私の蛇のような邪念だ

栗鼠は木陰に身を寄せ
松の木は
金箔の夕日を背負って
見得を切ろうとしている

私は家路ににつく

この松林の上空にそびえる
都市を
緑に染めようと
虎視眈々と狙っている
詩人たちの姿を
羨望の視線で見やる

2011年8月7日日曜日

好きなケーキ

好きなケーキがえらべる
そんなことが
お金があれば可能だ

その場で楽しんでも
お持ち帰りにしてもいい

ケーキに気持ちをきく必要はない
こちら側の気持ち次第で
あちら側には拒否権はないのだ

ついでににいえば
ケーキを作った人の気持ちも無視していい
わたくしの素性も
関係がない

ショーケースに並んでいる限り
わたくしには
それを買い求め
我がものとすることができる

うっすらと汗をかいている
美しいケーキ
寒天が光り
リキュールとフルーツが香っている

毎日食べたい
いつも傍においておきたい
あなたと過ごす時間を
永遠に楽しみたい

他人に買い求められる前に
目当てのケーキを買い求めなければ

背中にひんやり刃(やいば)のような感覚が降りてゆく

2011年8月6日土曜日

天使の涙

天使が横たわっている
傷ついて

誰かの代わりに
傷ついているのだろう

私だって
あなたの代わりに
傷ついているのだから

あなただって
天使の代わりに
傷つくことができるはずだ

それが
本当は
あなたの願うところではなかったのか
天使の味方になること……

あなたが気づかない代わりに
私は気づいている

私が気づかないことに
天使が気がついている
傷つきながら
天使の代わりに
あなたが涙を零した

2011年8月5日金曜日

夏の日のひと駒

懐かしい香りがしたので振り向いた
優しさを感じたので近づいた
ゆるされる気がしたので触れてみた

消えてしまった

美しい虹が
低い空にでて
遠くから
あなたの笑い声が聴こえてきた

2011年8月4日木曜日

三日月の空

噛み合わないところが
あなたのいいところだと思えてきたんだ
ちょっと悲しかったり
寂しかったりすることも
いいところだと思えてきたんだ

自分の全体像だってみえないじゃないか
かみ合う相手を見つけるなんて
無理なんだ

2011年8月3日水曜日

いつも見に行きたくなる

君の二つの目が
離れているので
君はぼくとの距離感をとる
君の二つの目は
近くのものが歪んで見えるので
君はぼくを遠ざけて
眺めている

君の二つの耳は
片方で電話しながら
片方で音楽を聴くことができるので
ぼくの声はラジオドラマのようになり
フィクションとなる

君の二つのものは
君自身が制御できないので
君はそれらをもてあましたまま
ぼくにおしゃべりする

ぼくの二つの目は
求めているものを見るために
君の前にいくが
目は記憶ができないので
いつも
繰り返し見に行きたくなる

2011年8月2日火曜日

見えない

大事にしていたのものが
ものではないことに気づいたのは
失った後だった

周りには
ものがいっぱいあるが
もの以外の姿が見えない

2011年8月1日月曜日

2011年7月31日日曜日

悲しみの形

あなたは遠くにいて
表面張力でとどまっている
悲しみを
アイレベルに捉えて
そこに
過去の海の水平線を重ねるようとするが

一つにしつこいカモメに邪魔され
二つに地球の丸さに阻まれて
うまくできずにいる

そのせいで
悲しみは
とどまったまま
おとなしくあなたのまえに
いつまでもある

あなたは私にメールしてきて
悲しみの扱い方を
質問した

私は
フリーザにいれて
固めてしまうことをすすめようとして
思いとどまった

固めるまえに
一度
見てみたくなったからだ

2011年7月30日土曜日

あなたに教えるのは

あなたに本当のことを教える人がいないから
あなたは嘘の土台で造られた世間の中で生きている

私もあなたに本当のことを教えないので
世間の人間と大差がない

人はみなそうしているのだ

ただ
本当のことは
自分で知ることができる

そのことを
あなたに教えよう

それは
ある朝目覚めると
寄り添うように
隣に横たわっていたりする
息の音も立てずに
自然にあなたのことを見ている
他の出会い方もあるがだいたいこんな感じだ

その時
あなたは気づく
本当のことは
自分で知ることができると
自分で問いかければいいのだと

起きて
活動を始めるとそれは
どこかに隠れてしまうが
気配だけがときどき現われる

そんなゆるい
宙ぶらりんな私のアドバイスだが
じっさいそんなものだ

強く堂々とした
自信に満ちたものなど
無理してでっち上げられたものばかりなのだ

だから
あなたに教えるのは
あやふやな話

私のあなたに対する感情と同じ